見舞い客 梨亜
皆が家まで様子見に来る頃には、美奈の具合もすっかり良くなっていた。
広く豪華な客間に通され萎縮していた皆は、顔色も良い美奈の姿を見て、ほっと安堵の息を吐いた。
皆、思い思いにお見舞いを述べる。
「美奈ちゃん、大丈夫?」
「もう起きてて平気なのか?」
「ごめんね、大勢で押しかけて」
「倒れたって聞いてびっくりしたぞ、無事か?」
「うん、心配してくれてありがとう。全然平気だよ」
「私が、肝試ししようなんて言ったからだよね。ごめん……。本当に呪われるなんて思ってなかったの! ほんとだよ?」
美奈の不調を自分のせいだと項垂れるクラスメイトに、美奈が慌てて首を振る。
「ち、違うのよ。これは呪いとか関係なくって、単に私の自業自得」
実は……、と言いにくそうに指を遊ばせながら、
「私、怪談ちょっと苦手で。明日は呪いのデパートか、と思ってたら寝不足になっちゃって、そのまま出掛けたからあそこで電池切れしちゃったの」
あはは、と笑う美奈。
「でも、いきなり意識失ったように見えたけど。平気なの?」
倒れる瞬間を見ていた男子だけは、それでも心配そうにしているが、こけそうになった時の落下感が、眠りに落ちる寸前の浮遊感と似ていて、つい眠っちゃったみたい、と明るく舌を出す美奈に、なんだかんだで言いくるめられていた。
少し寝て顔色も良くなっている美奈を見て、皆は納得したようだ。ほっとした顔から一転、面白そうに好き好きに話し始めるクラスメイト達。
「美奈ちゃんって、そういうの駄目だったんだ?」
「じゃあ、今日はゆっくり休まないとね」
「わぁ、みんなのお茶持ってきてくれたの? 偉いねぇ、僕。美奈ちゃんの弟さんかな?」
「おいお前、気をつけろよ。このねーちゃん見た目通り強暴だから……いでっ」
「このおバカなにーちゃんの言うことは気にしちゃだめよ? 馬鹿が感染るから」
「小学生の前でどつき漫才やってんなよ。ビックリしてるだろうが」
「こんな凄いとこだと、緊張して眠れなくね?」
「バカね、美奈っちにとってはこれが普通なんだから、眠れないわけないでしょう」
「むしろ、お前んちのあのゴミ溜めで眠れる方が俺には凄いと思うよ」
「いやいや、そんなに褒めんなよぉ」
「「「「褒めてない(ねぇ)よ」」」」
ひとしきり皆で話した後、誰ともなく言い出す。
「もう休めるように帰った方がいいんじゃないかな?」
「そうね、眠った方がいいよ」
「あ、でも折角来てもらったんだし、もう一杯お茶でも……」
美奈が引きとめようとするが、健康を心配する皆に固辞され、帰ることに。私達も残っているのは不自然なので、一緒に家を出る。
「皆、今日はありがとう」
「ううん、早くよくなってね」
「また学校で」
「お大事に」
それぞれ、別れの挨拶をして去っていき、私達も家路に着いた。




