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夢追人  作者: 北西みなみ
第八話
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倒れた理由 梨亜

電話してから約十分後、私達三人はひとまず先にお迎えの車で美奈の家に帰った。


車の中で連絡したため、隊長は家で待っていた。運ばれていく美奈を一目見て、一瞬驚いた様な表情になる。


「申し訳ありません」


私が謝ると、隊長は下げられた頭をこつんと叩いて美奈の連れられていった部屋へと促した。


「謝るようなことなのか? とにかく、話は後だ」




「――で、何があったのか分かってんのか?」


ベッドに横たわる美奈を見守りながら、計人が問う。


「うん……。その前に、計人は大丈夫? 気分悪いとかない?」


「あぁ、俺は特になんとも」


全く問題なさそうな様子に、ひとまずほっとする。


「そう。よかった。――えっと、美奈が倒れたのは、急に強い念に当たっちゃってショック状態になったから、なの」


「どういうことだ?」


「美奈が倒れる直前、真っ黒な念が美奈の足元から吹き出すのが見えたの」


そう言いながら、ポケットからデパートで拾ったものを取り出す。


「それは!?」


掌に乗せ、差し出したものに隊長が反応する。


「知ってんのか? たいちょーさん」


計人の疑問に、眉をひそめながら答える。


「あぁ。これは、収束器だ。これを使うと、近くの念が強制的に集まる」


そう。弱い念を纏めて消すために使う、夢追人の道具。


「普通、余程強力でないと、人がいる時に念がいきなり出現するってことはない」


隊長は計人のために、一から説明するつもりらしい。


「生物、特に人間は想いの力が強いからな。通常なら少しくらいの念は、人が無意識に放っている想いに負けるんだ」


肉体もない想いは、その場に留まる力も弱いもの。他の想いが周りにあれば、それに弾かれ磨耗して消えてしまう。


「ただ、人がいない状態で念が少しずつ吹き溜まってくると、人に影響を及ぼすだけの力を持つ」


それが、いつも見回りで消してるやつだな、と。


「そーすっと、それがあると勝手に消える筈の念が人に害を及ぼすくらいになるってことか?」


「そうだ。自然に出来るものより強力なやつが、だ」


「そんで……」

「……ケェト?」


計人が何かを言おうとした時、ベッドの方から弱弱しい声が聞こえた。


はっと振り向くと、ぼうっとした表情の美奈がこちらを向いていた。


「美奈、起きたのか?」


「うん……」


「具合はどう? 何かしてほしいこととかある?」


少し考えた後、喉に手を当てて


「……喉、渇いた、かも」


と呟く。それを聞くやいなや、計人が駆け出していく。


「待ってろ、今持ってくっから」


「……でも、内線、あるよ?」


美奈の言葉は聞こえなかったようだ。


「美奈、ごめんね」


「謝らないで。謝らなきゃならないのは、こっちでしょ?」


美奈は、泣き出しそうな顔で手を伸ばしてきた。


「ごめんなさい、りあちゃん」


こんなになってまで私を気遣おうとする美奈に堪らなくなり、頭を引き寄せてぎゅっと抱きしめた。

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