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夢追人  作者: 北西みなみ
第八話
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幽霊の 正体見たり 枯れ尾花 梨亜

「そんな訳で、今日はデパートに入ります」

「入ります」


「ふぅん、呪いのデパート、ねぇ」


胡散臭そうにする計人。


まぁ、私達だって呪いの仕業とは思っていない。念の仕業でもなければとっとと帰ればいいだけだし、文句は言わないの。


「どこから行ってみる?」


私が聞くと、計人は美奈を見、美奈は口に指を添えるようにしながら言った。


「デパート行ったって人達に聞いたんだけど、どうも具合悪くなった人たちは長時間デパートにいたみたい。休みの人もいるし、全員に聞いたわけでもないんだけどね」


――凄い、いつの間にそんなこと調べたんだろう?


「場所は近いのか?」


「ううん、バラバラ。それに、具合悪くなってない人達と同じ場所行ってる人もいたの」


「ってことは何か? ここは関係ねーってのか?」


「まぁ、その可能性はないとはいえないけど。そうじゃなくて、短時間の人の中にも具合悪くなった人がいたんだけど、その子達が言ってたの。『外で遊んでたせいで暑かったから入った』って」


「で?」


「暑くて涼みに入った人や、長時間デパート内にいて疲れた人が行くところっていったら……」


「喫茶店、ね」


「うん、多分。新刊買いに寄った程度の人は、態々喫茶店に行こうとはしないだろうけど、じっくりお買い物してたら、ちょっと一休みしたくなるものね」


「こん中、三件あるな」


どれか聞いたか? と尋ねられた美奈は、事も無げに答える。


「一応、気付いてからは聞いてみたんだけど、皆同じお店に行ってたよ」


「どこだ?」


「ここ。甘味処ひがしやま」


美奈が案内板を指差す。


「うし、じゃあそこ行くか!」


そうして私達は店へと向かった。



「おぉ、ビンゴ」


計人がぴゅうっと口笛を吹きながら呟く。


甘味屋の奥、厨房との出入り口付近に渦巻く靄があった。しかし、簡単に見つかったはいいが、客がうろつくような場所ではないため、不可視の掃除機モードを使うことに。


「いけっ、ミニコン」


計人が変な掛け声と共に掃除機を放つ。掃除機は狙い過たず靄を消し去った。


「なんとかなったな」


「ふぅ、良かったねぇ」


喜ぶ二人を見つつ、首を傾げる。あの程度なら、勝手に消えてもよさそうなのに、人々の具合を悪くするほどの力がどこにあったのだろうか?


ひょっとすると、元々は強い念が段々弱って消える寸前だったのかもしれない。


「人がそんなに通らない所だったから、残ってたのかしら?」


「ん?」


いけない、考えがいつの間にか口に出ていたみたい。


「あぁ、いや、あれだけ弱い念だったら、既に消えてておかしくないのになって思って」


笑いながら手をぱたぱた振ると、美奈が不思議そうに眼を瞬かせた。


「でも、お客さんが来た時、注文受ける時、注文運ぶ時に必ず通る所だから、下手な場所よりずっと通ると思うよ?」


確かに。


「まぁ、いーんじゃねぇの? どっちにしろ消えたんだし。それよりとっとと食って帰ろうぜ」


少し釈然としないものを感じながら、注文したわらび餅を食べる。


うーん、まぁ丁度消えそうなタイミングに出くわしたと思えばいいか。


そんなことを思いながら食べていたわらび餅の味は、あまり分からなかった。しかし、黒蜜を気に入った美奈がお土産に一瓶買って、何か作る気の様だ。是非ともご相伴に預からせていただきたい。


――この時、そんな暢気なことを考え、きちんと調査していなかったことが悔やまれてならない。

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