表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢追人  作者: 北西みなみ
第二話
8/175

天界へのお誘い2 計人

――それにしても、珍しいな。


美奈が ――俺が一緒にいるとはいえ、それとはあまり関係なく―― 夢追人の手伝いを楽しんでいる気がする。


他人に知られたら変人扱いされかねないのに。


いつもと違う美奈の行動を疑問に思っていると、梨亜が話してきた。


「ところで二人共、今度の土曜日、暇?」


「別に用事はねーけど、何するんだ?」


突然の質問に、また面倒くせーことやるのか? とげんなりするが、美奈にも予定を聞いたことを疑問に思う。


美奈が「私も予定ないよ」と同意すると


「私の代わりに地界人が夢追人やるって、きちんと報告しておこうかと」


一応上司に口頭説明はしてるんだけどね、と言われても、そうなのか、としか言いようがない。


よく分からないが、報告ってのは俺達の予定に左右される様なものなんだろうか?


勝手にすればいい気がする。


そんな俺らに、梨亜の言葉が続いてくる。


「だから、用事がないなら、うちの世界へ行ってくれる?」



――梨亜の世界は、他から見ることも出来ないんじゃなかったのか?


外界から隔絶されただの、そこだけが特別だの、なんだかめんどくせーことを聞いたような気がしたんだが。


そんな俺の疑問が分かったかの様に、説明が入る。


「私達の世界は、いうなれば、大きな膜で覆われているようなものなわけ」


「夢人ってのは、自分に合いそうな世界を選んで共鳴するから、存在するか分からない世界を見てみようとする事はないのよ」


「適当にふらふらさ迷う意識があっても、膜が邪魔してたどり着けないしね」


「つまり、普通なら行けないけれど、そこへ行こうとする明確な意思さえあれば、行けなくはないということ?」


「そう。それと、膜の通り方を知っていれば、ね」


美奈の質問に、にっこり笑って言う梨亜。


「でも、行くって、具体的にどうするの?」


――まさか、空飛べとか言わねーよな?


でも、飛べたら楽しそうだ、とか考えていると、梨亜は小さなピコピコハンマーの様なものをぷらぷらと揺らした。


どっから取り出した? 今。


「これで地面を叩くと、向こうへ帰るための穴が開くのよ」


帰るための、『穴』ねぇ?


「……。で? どうすんだ?」


嫌な予感はするが、一応、聞いてみる。


すると、にっこり笑って梨亜は答えた。


「勿論、中に入る。大丈夫、怪我したりはしないから」


フリーフォールに決定のようだ。……やっぱ、用事あったわってのは、流石に無理か。


なかなかにスリリングな休日になりそうだ。


「いつくらいに行くんだ? 行ったら観光位はさせてもらえんだよな?」


「あ、一日がかりなら、お弁当とか作ってもいいよ?」


一応、こちらの要望を出してみると、美奈からもうまそーな提案がされる。


――美奈の弁当か、それは悪くねーな。


弁当の中身を注文すべく、何を頼むか考えてみた。


やっぱ、唐揚げは鉄板だな。竜田揚げでも構わねーけど。後は、ご飯は散らし寿司にしてもらうのもありだし、食べやすいよう茶巾寿司もいいかもしれない。


後は適当に作ってもらって当日の楽しみにするのもありだな、と考えていたら、


「それも魅力的だけど、うちの料理も食べてみない?」


と言われる。


天界の料理か。それはそれで興味あるな。


美奈も、どんなものか食べてみたいというので、現地調達となった。


基本はこちらと変わらないようなものがあるらしい。今から行くのがちょっと楽しみになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ