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夢追人  作者: 北西みなみ
第七話
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実践と挫折 計人

さて、美奈の夢の中で術に対するレクチャーを受けた後、試しに術を使ってみた。


挫折した。


何故かって? 出力調整が出来ねーんだよ。


俺が『力』について分かっていない状態で、とりあえずこの術名唱えればこんな結果になる、というのだけを頼りにしてるのが悪いんだろうことは分かる。


美奈が術未満、と言っていた『力』の方向を変えるだの、集めるだのってのは未だに出来ねーし。


『力』自身に対する理解が出来るまでは、術は使わない方が良さそうだ。


ちなみに、美奈は現実でもさらっと使ってみせた。


美奈が言うには、


「自分の中に存在している『力』を、自分自身の一部だと認識し、その『力』を体の外にある『力』まで共鳴させる感じで使うと、加減は分かりやすいよ」


とのことだが……。何言われてんだか、さっぱり分からん。


あいつは一体、どうやってそんなん理解したんだか。天才の考えは理解できんよ。



「初めてにしては十分成功なんだけど……」


見え透いたおべんちゃらで梨亜が機嫌を直そうと試みてくる。が、書かれた文字をなぞっただけで自分が文字を書けるようになった、と思うほど自惚れてはいねーよ。けっ。


「でも、術が発動するってことは、『力』の流れはある程度制御できてるってことなのよ?」


すっかりやさぐれて、箒一本で生きていく決心を固めた俺に、慰めともつかない言葉がかけられる。


「つったってなぁ。俺的には『力』を少し弱めに、と思ってんのに、どっかぶっ飛んだ反応しかしねーぞ?」


そう。風を弱めようと、術の発動時に『弱めになれ弱めになれ』と、『力』を抑えてみようとした。


ら、風は吹かず、火柱が上がった。


なんだそりゃ? 訳が分からん。


他にも、氷を飛ばそうとして鎌鼬を起こしたり、念を捕えようとして岩を落としたりと、何がどう間違ってそうなったのやら。


まぁ、美奈に言わせると


「一部の『力』を固定した上で、周りの『力』を動かしたせいで、摩擦が起こって火柱になったのよ」

「飛ばすほうに意識を向けすぎて、氷にならなかったのね」

「固定しようとして、気体の窒素を凝固させちゃったみたい」


ということで、きちんと筋の通った理由があるらしいが。そんなことしてる意識がないので、下手にいわれた部分を直そうとすると、更に変な事態が巻き起こる。


とにかく『力』がどういうものか、どんな性質があるのか分からないせいで、美奈や梨亜が無理矢理俺を通して発動させた術を、そのままそっくり同じ規模で使うことしか出来ない。


あれだな。1+1=2、1+2=3、2+3=5を教わった子供に、1+1+1+1+1=? という問題を出して、答えが出せない感じ。


3つの式をきちんと分かれば、(1+1)+(1+(1+1))=2+(1+2)=2+3=5という答えが出せるわけだが、意味も分からず丸暗記なせいで、足し算の途中を分けて考えるとかいう発想が浮かばないんだ。


つまり阿呆なんだな。考えなしなんだな。センスもないんだな。


才能ないのに夢追人とか……。そもそも、元は夢人にすらなれてねーやつだもんな。才能なんて考えるまでもなく、ある訳ねーわな。


やっぱ、美奈に正式にやってもらった方が良いんじゃねーの?


五十嵐計人、普通の人間に戻ります。


因みに、最後の言葉の元ねた、私は知らなかったりします。確か、芸能人が引退する時に使う言葉だった筈。

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