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夢追人  作者: 北西みなみ
第七話
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夢の中で 計人

さて、今日は他人の夢に入って相手を説得……という予定だったはずなんだが。


「何で、美奈の夢入ってんだ?」


ついていった先は、美奈の夢の中。


しかも、抜けるような晴天の下、学校のグラウンドに教壇とホワイトボード、二つの机と椅子がぽつんと置かれ、片方の椅子に美奈が待機。


ホワイトボードの上には『第一回 青空術教室』という看板が花紙の装飾付きでついている。何だ、この完全受け入れ態勢? ま、知り合いの秘密にしたい夢覗くよりはましだが。


「いらっしゃいませ~」


「場所提供ありがとね、美奈。助かった」


どうも、術の勉強のための場所として、美奈の夢を使わせてもらっているらしい。一体どんだけ明晰な夢なんだよ。


――相変わらず、何でも出来るなこいつ。


思わず遠い目になった俺は悪くないと思う。


「じゃあ、始めましょうか」


こうして、青空術教室とやらが始まった。


「まず、基本として、術とは何か。…………」


うん、訳が分からなかった。


そりゃそうだな、俺、前にもこれ聞いたはずだもんな。


なまじ、綺麗に校庭が再現されているせいで、草木やトラック、雲の形なんかを見てるだけで時間が潰せるのが困ったもんだ。――お、うさぎ雲。


ついつい校庭の植木本数数えに夢中に ――後で現実でも数えて、同じ本数か確かめたくなった―― なっていると、目の前に何かが出現し、ぱしっという音がした。


――風呂敷?


何だ? と思い二人を見ると、少し残念そうな顔をしている梨亜と、にこにこと話しかける美奈の姿があった。


「こんな感じでいいですか? 先生」


「えぇ、ばっちり。――失敗しても良かったんだけどね」


ちっ、と舌打ちせんばかりの勢いでこちらを睨む女一名。それを避け、美奈に聞いてみる。


「今、何やったんだ?」


「ん? 実習よ。梨亜ちゃんが計人に向かってチョークを投げたのを、私が術でガードしたの」


おい。


「てめぇ、俺が怪我したらどうするつもりだったんだ!?」


「ちゃんと聞いてたら避けられたわよ。一発で成功した美奈に感謝することね」


「つまんねーんだよ! 聞いたって訳なんて分かるか!」


つんとすまして、まったく悪びれない梨亜にむかつき、反論する。


「そっちの理解力がないだけじゃない! 美奈は一回でちゃんと出来たわよ!」


「まぁまぁ、二人とも落ち着いて? ここ私の夢だから、私が作ったチョークで怪我しないこと分かっているから投げただけなんだし」


ここなら、少しくらい術が暴走しても平気だから、教室として選ばれたんだよ? と、美奈が宥めてくる。


「計人が全然ダメだから、態々美奈に場所提供してもらったんだからね。さっさとやりなさい!」


「だから、分っかんねーって言ってんだろ!」


睨み合いを始める俺らの前に、突然色とりどりの花が出現し、蝶に変わって飛んでいく。


「まぁまぁ、私が簡単に説明するから」


驚いて口論をやめた隙をついて俺らの間に割り込んだ美奈が、解説を申し出てくる。


「おう、頼むわ」

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