副隊長の優雅な休日 2 鳥谷
気を取り直して、洋服店へ。
最初は、子供服から。
ふりふりのレースたっぷりリボンワンピースやうさちゃんのふわふわ着ぐるみなんて、とっても可愛いと思うんだけど、やっぱり男の子には着てもらうのは無理よね。
うちの隊長は、とても可愛い。
何といっても夢守隊の隊長なので、その実力を疑う者はいないけれど、その愛くるしさの威力もなかなかのもの。
どうにかして、可愛らしい格好をしてほしいと思っているのだけど、仕事にそんな格好はしてられるか、と、着ぐるみやふわもこ洋服は着てくれない。残念。
でも、可愛いお洋服は見ているだけで楽しいので、隊長が着ているのを想像しつつ見て回る。
――あら? このコート。
そこには、子供サイズの茶色のすっきりとしたコートが。子供に着せるにはちょっと地味な色、と思うかもしれない。
しかし、このコートの真価はそこにはない。重要なのは、このコートに付いているフードが可愛いくまさんの耳とおめめ付きということ!
くまさんのおめめは黒いのでそんなに目立たないし、お耳も、変わった形のついているフード、と思えば特に気にされないかもしれない。
これは正しく、可愛い格好をしたがらない子供 ――と書いて隊長と読む―― のためのコートに違いない!
少しだけ、よろしいお値段に勢いを挫かれるけれど、負けはしない。
敬愛する隊長のためならば、部下は喜んで身銭を切るものよ。
「すみませーん、これください」
「はい、ありがとうございますお客様。――お客様、こちらをお買い求めの方に人気の商品が」
十分後、コートと共にくまさんの肉きゅうマークのついた手袋とほわもこ靴下を手に入れて、ほくほくした気分で歩く私がいたわ。
お財布は、ちょっと予想以上の出費でやせ細ってしまったけれど、これなら隊長の愛らしさを思う存分伝えることが出来ると思うの!
私は、確かに感じる達成感を胸に、柿のフルーツパスタをいただく。本当は、桃のパスタが一番好きだけれど、柿もなかなか。もう少し経つと、苺のパスタが出てくるかしら?
その後、自分の洋服やなんかも見て、歩いていると隊舎の近くへ。
そうね、隊長のためのコート達は、いつでも差し出せるよう、隊舎においておいたほうがいいかもしれない。
善は急げと隊舎へ行くと、仕事をしている隊長が。
「鳥谷? 休みの日に何してるんだ?」
「防寒用の衣類を買ったので、置いておこうと思いまして」
「そうか」
何だか、隊長は難しそうな顔をしている。何か問題でもあったのかしら?
「何かお手伝いしましょうか?」
私は十分休んで英気を養ったので手伝おうとしてみたのだけれど、休みは休め、と断られてしまった。
まぁ、お言葉に甘えて帰らせてもらいましょ。
さて、お夕飯はどうしよう。
うーん、折角のお休みなんだから凝ったものにしようかとも思ったけど、一日歩き回って疲れたから、ちょっと手抜きにしちゃおうかな。
鍋にオリーブオイルを引き、ささっと玉ねぎを入れる。玉ねぎは、みじん切りにして油で炒めたものを小分けにして、冷凍保存しておくと色々お役立ち。時間のある時に作っておくのがお勧めよ。
鷹の爪を入れて、油になじませ、上からお米をざっと入れる。
お米が透明になったら、ワインを入れてじゅわっとアルコールを飛ばす。
たっぷりなみなみと自家製ブイヨンを入れて、十五分程煮込む。お米が顔を出しそうになったら、ブイヨンを足すのを忘れずに。
今回は魚介類をたっぷりと。
仕上げに塩・胡椒。胡椒が少なめなのが我が家風。
さて、リゾットを煮込んでいる間に、鶏の笹身をささっと茹でる。
大根の千切りと玉ねぎスライスをさっと酢にくぐらせて、ちぎった笹身と和える。ポン酢を掛ければ、あっさりサラダの出来上がり。
「さて、いただきます」
食べ終わったら、新しい我が家の住人の居場所を吟味。うさぎさんの横だと、うさぎさんが怖がるかしら?
色々考えて、皆納得のいく居場所を確保。今日からよろしくね、可愛い狐の親子さん。
さぁ、後はゆっくり音楽でも聴きながら湯船に浸かって、ゆったり体をほぐした後、明日のために眠りましょ。
うん、今日もいい一日だった!
因みに、ここで買ったくまちゃんセットが、隊長初登場の時に勧められていたコートです。
天界では、普通の人はすぐに育って着なくなってしまうため、新品の子供服はかなり高級品なのです。




