人気作品 計人
今日も今日とて清掃活動。
段々と暑くなってきたので、俺としては室内を見回りたいんだが。デパートとかスーパーとか。何でいっつも外なんだ。
「まぁまぁ、終わってうち来たら、冷たいお菓子食べさせてあげるから」
美奈の言葉に、やる気が出てくる。さっさと終わらせて、うめーもん食いに行くぞ。
「――しかし、ここ、いつ見ても念溜まってるよな」
「前見たの三日前なのにねぇ」
二人で首をひねっていると、梨亜が諦めたように息をつく。
「あぁ……。ここは仕方がないのよね」
「あれか? 害夢の汚染とやらがここにもかかってるのか?」
他の場所は、特に固定の場所に念が渦巻いていることは少ない。せいぜい『あれ、ここ前にもあったところか? 違ったか?』と思う程度だ。
だが、ここ ――公園のジャングルジム近く―― は、毎回来る度に念が渦巻いている。
「そうではないんだけどね。ここは今、空前絶後の大ヒット作品のところなのよね」
念をちょんちょんつつきながら言うのは梨亜だ。
「大ヒット作品?」
「うん、そうなの」
何でも、漫画を始めとして、アニメや実写ドラマ、小説化までしたような作品の場所らしい。
何でも、主人公以上に人気のあった脇役が、物語上何の意味もなく死ぬんだとか。
あまりの救いのなさと、その理不尽さに、その小説を読んだ人達が怨嗟の声をあげているんだそうな。
成程、不満に思う数が多いから、いつでも念が溜まるのか。――しかし、
「夢人でもない人間が怒って、こっちに念が出来んのか?」
実際にこっちに来れるわけでもないのに、念だけ飛ばすなんて出来るんだろうか?
「ううん、流石に普通の人が怒っただけじゃあ、こちらの世界に何の影響もない」
だけど、と梨亜は続ける。
「夢人みたいに自ら世界に共鳴する力はなくても、他人の見たものを追って感応することが出来る人達がいるの」
そいつらは、夢人のつけた道をたどって夢人の見たものを見るため、皆が理不尽に思うこの場所で次々に念が生み出されていくらしい。成程な。
「――って、おかしかねーか?」
「何がよ」
「夢人が共鳴して、そっから小説なり何なりが出来るわけだろ? そんなら、他のやつが見ようとする頃にはその話の状態は終わってんじゃねーか」
それをどうやって見るってんだ?
まさか、異世界からは過去も未来も自由にいけるとかじゃねーだろうな? 冗談じゃねーぞ。俺らの世界、そんな切ったり貼ったり出来る様な薄っぺらなもんじゃねーはずだ。
「あぁ、そうか。詳しく言ってなかったっけ。あのね、通常の夢人って、異世界には共鳴できないのよ」
「は?」
――何言ってんだ、こいつ?




