夢追人とは 梨亜
長い。説明が長い。
読むのが面倒な人は、一番最後の『夢追人というのは~』部分を読めばいいと思いマス。
夢追人。
これについて説明する前に、この世の成り立ちについて説明する必要があるだろう。
この世には、天界と地界の二つがあり ――といっても、天界も所詮、ちょっと他と毛色の違う世界の一つに過ぎないのだが―― 、地界には、沢山の世界がある。
それぞれの世界は、基本的には干渉しあわず、別々に存在している。
互いに関わる事のない世界だが、時に、別の世界に共鳴するものが生まれることがある。
世界の姿を確認できる者を、夢人という。
といっても、地界の夢人は、それを別世界との共鳴とは認識していない。
大抵、自分の想像、空想、時に妄想だと思っている。
夢人の数は、実は結構多く、大抵の小説家なんかは、多かれ少なかれ、別世界の共鳴から、話のヒントを得ていることが多い。
よく、『話を書いている内に、キャラが勝手に動き出して、自分でも思ってなかった展開になったんです』とかいう人がいるが、なんの事はない。実際に勝手に生きているのだから。
勿論、全員夢人かと言われると、そうでない者もいるが、ベストセラーになる様な作家は、殆どこれだといっていい。
夢人は、自分の性に合った世界に共鳴しやすいらしく、自分の想像だと思いながら、世界と接していく。
但し、いくら自分に合った世界とはいえ、気に入らない展開になることもある。
そうした際、自分の作品を捨てたり、そこから先は自分で作ろうとしたりする。しかし、共鳴をやめない限り、物事は望まぬ方へ進み続ける。
それを自分の想像だと思っている作家は、望まぬ展開を打ち砕こうとする。そんな念が共鳴先の世界に届くと、それは世界に害なす力となってしまうのだ。
ところで、天界は他の世界に比べ、夢人の数が圧倒的に多い。
――天界人は、皆、他の世界が存在していることを知っているのが関係している、という者もいるが、それが本当かは誰にも分からない。
そして、一般的に天界の夢人は、地界と比べ物にならないくらい力が強い。
地界の夢人が、いくつかの世界と共鳴出来るだけなのに対し、天界の夢人は、全世界を見渡すことが出来るのだ。
また、天界から他世界は見ることが出来るが、逆は出来ない。天界は、他の世界から侵略を受けない唯一の世界なのである。
このように、色々な違いがあるが、天界と地界の夢人の最も大きな違いは、他世界に自分自身を投影できるかどうかだろう。
地界の夢人は、世界に共鳴していても、自分自身がその世界に存在することはない。あくまで、意識が世界を見るにすぎない。
しかし、天界の夢人は、その世界の生物として実体を持ち、動くことが出来る。
よって、私の様に、その世界の人として、こっそり紛れ込むことも可能となるわけである。
話を元に戻そう。
夢追人というのは、身も蓋もない言い方をすると、異世界の干渉による世界の崩壊が見えてしまって、後味の悪い思いをした天界人が、それぞれの世界の行く末が、他世界によって干渉されてしまうことがないように守ろう!と立ち上がった、お節介集団なのだ。
段々と厨二病と呼ばれるものが表に出てきました。
「夢追人」を「ドリームウォーカー」、「夢人」を「ドリーマー」と発音する無駄設定とかあったり。