飲茶 梨亜
うちの飲茶の仕方は、結構てきとーバンザイです。いいのです、人それぞれ、楽しいやり方でやれば。
「最後は、飲茶しましょうか」
そう言って、美奈が取り出してきたのは、可愛らしい茶器セット。
まず、大きなお碗の中に急須を置き、お茶っ葉を入れる。
続いて、溢れんばかりに ――いや、実際に溢れた!―― お湯が注がれていく。
お椀の中に豪快に溢れたお湯をそのままに蓋を閉め、小さな壷にお茶が移される。
更に、一列に並べた湯飲み ――何故か、長いものと丸いものの二種類がある―― の上で壷を傾け、横に一気に移動した。
成程、湯飲みの下の深みのあるお盆は、お茶がこぼれても平気なようにするためだったのね。
壷の中身を全て出し切った後、お椀の中に戻されていた急須にお湯を注いで ――今度は溢れなかった―― 蓋を閉めた。
最初の一杯は、どちらの湯飲みで飲むものなんだろう?
何となく、どうぞ、と言われるのを待っていると、せっかく入れたお茶が次々に急須に掛けられてしまう。
ビックリするが、計人は平然としているのを見て、そういうものだと見守ることにする。
少し待って、もう一度お茶が壷に移される。
今度は長細い湯飲みの方だけにお茶が注がれ、空のままの丸い湯飲みと一緒に差し出された。
「はい、どうぞ」
うん、何をしていいのか分からない。
「こうやって、聞香杯から品茗杯に移して、聞香杯をちょっと振ったら香り嗅げばいーんだよ」
計人が、説明しながらやってみせてくれる。
「品茗杯を被せて裏返すやり方は、難しそうなら、普通に注いでも平気よ」
美奈が補足する。
「聞香杯は、香りを楽しむためのもの。中国茶は、温度によって香りが変わるから、聞香杯を振って、少し冷ますと香りが際立つの」
成程、香りを逃し難いよう、長めの器なのね。
見よう見まねで聞香杯を嗅いでみると、確かにほんのりと甘いような香りが漂う。
「おいしい」
一口飲んで、ふんわりとした味に思わず言葉が漏れる。
「あぁ、うまい」
「俺の好きな葉だな」
私達の素直な感想に、美奈はにっこり笑って、言った。
「お口にあって良かったです」
お茶のついでにお茶請けを進められたが、流石にもう入らないかな。
………。
計人、それおいしい?
「食ったら分かるぞ」
そうね、計人の顔見てても分かるね。
隊長、まだ入るんですか?
「あぁ、別に限界まで食べてたわけでもないしな。これ茶の味が引き立つぞ」
そうですか、お茶によく合うお茶請けですか……。流石お茶請けというだけありますね。
「少しだけしかいらない、とかなら、好きに残していいよ」
…………。
「じゃあ、いただきます」
結局、美奈とお茶請けを半分こして食べ合った。――うーん、おいしぃー!




