美奈の家 梨亜
週末、連れて行かれた先は、豪邸だった。
えっと、全体の大きさが分からないんですけど? 美奈は ――使用人はいるらしいけど―― 一人暮らしって話じゃなかったっけ? あれ、これ豪華な見た目のアパート? 一人一部屋で生活するとか?
計人が、呆気に取られて見ている私をよそに門に立って呼び鈴を押すと、そのまま門が開く。
防犯は平気なの? と危ぶんだが、どうも計人が顔パスになっているらしい。凄い。
「ま、今日俺らが来るってのを、先に知ってるからこんなに簡単に開いたんだけどな」
そういって、まっすぐ建物に向かって歩いていく計人。遅れない様に慌ててついていく。――それにしても、門から家までが長すぎない?
綺麗な植物に眼を奪われ、きょろきょろと周りを見回しながら建物の目の前まで着くと、今度は何も言わずに扉が開いた。
「いらっしゃいませ」
目の前には、満面の笑みで出迎えてくれる美奈の姿があった。
「来たぞ~」
「お、お邪魔します」
「邪魔をする。急にすまない」
「いえいえ、大勢の方が楽しいので、来ていただけて嬉しいです」
隊長の言葉に首を振って、気にしないでという風に笑う美奈。
そう、この場には隊長も来ている。
ここにお邪魔する直前に、隊長がこの世界に来ることになったので、一緒に行ってもいいかと尋ねた ――勿論、計人の指示したタイミングで―― 所、一も二もなく賛成してくれたので、一緒に訪ねたのだ。
「さて、どうする? 早速お夕飯にしちゃうというのは、流石にいきなりすぎますよね?」
豪華な照明と触るのも躊躇われる家具に囲まれた広々とした部屋で、これからの予定を決めようとする美奈。しかし、
ぐぅ~
言葉で答える前に、計人のお腹が返事をした。お腹の音を聞かれた計人は、特に恥ずかしがるでもなく美奈に訴える。
「俺ら、昼食い損ねて腹減ってんだ」
そう、今日の巡回が思ったより長くかかってしまったせいで、お昼を食べるには微妙な時間となってしまった。
折角美奈がごちそうしてくれるというのに、お腹が減っていなくてよく味わえないなんてことになっては失礼なので、いっそのことお昼を抜いてしまおう、ということになったのだ。
そのせいで、どこかから流れてくるおいしそうな香りに、私のお腹も反乱を起こしている。多分、計人のお腹が鳴っていなくても、その内私のお腹が主張し始めるだろう。
「ふふっ、ならちょっと早いけれど、お夕飯にしちゃいましょうか」
嬉しそうに笑ってこちらへどうぞ、と案内する美奈について、私達は食堂へ移動した。――廊下は広く、食堂までは長かった。
これは、アパートで、食堂は共用部分なのよ……って訳はない、よ、ね。
私は、これから見るもの全てに驚く覚悟を決めた。




