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夢追人  作者: 北西みなみ
第三話
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説得 2 梨亜

――そもそも、こちらの世界にとって監視って普通は何するものなの?


監視されることに怒るのなら分かるけど、何を監視するかが問題というのは、一体どんなものなのか。


思わず首をひねっていると、計人に軽く睨まれる。


「言っとくが、いくらあいつが小っせぇっつっても、風呂だのトイレだの寝室だのについていくのは無理だぞ」


ぶっ! ごほごほ、げほ……。


「おい、平気か?」


吹き出しそうになるのを無理矢理こらえ損ねてむせた私を見て、計人が慌てているが、それどころではなかった。


「う、うちの隊長は変態か!?」


一体、何を監視するんだ、何を! ……って、そういえば、計人も何をって聞いてたね。計人が懸念してたのはそこだったの? そんなとこだったの!?


何だかくらくらしてくる頭をおさえながら、それでも反論する。


「まず、うちの隊長はちっちゃくない。あれでも軽く計人の何十倍も生きてるんだからね」


ここ重要。何より重要です!


「それに、いくら行動を監視するって言ったって、そんなプライバシーまで侵害したりしません!」


私は、美奈が力を使用する際に特有の気配が発生すること、その気配は近くにいれば、美奈の『心残り』から感じ取ることが出来ることを説明した。


「それもあって、隊長が監視役になることになったのよ」


「は? どういう意味だ?」


「だーかーらー、美奈の『心残り』、隊長が持ってるでしょ? だから、一緒の家にでもいられれば、直接監視しなくても、力使ってるかどうかわかるでしょうが」


――あれを持っていなければ、未登録の通行者が美奈だとばれなかったんだろうけど。


今回の天界訪問はつくづくタイミングが悪いなぁ、と考えていると、計人が訳がわからない、という顔をしていた。


「美奈が隊長に心残り? 一体何の話だ??」


一体あいつは美奈に何やらかした? と聞いてくる。


「何って、……あ」


そういえば、美奈の『心残り』預かった時、計人はいなかった気がする。


「『心残り』って、珠よ? 透明な光る珠」


「は? 何でそんなのを美奈が欲しがってるんだ?」


やはり、知らないようだ。私は、隊長に預けられた『心残り』について、計人に説明した。


「……美奈の力と心の一部が入った結晶だと?」


「そう、そのまま捨てていくのはちょっと不安だからって、隊長が預かることになったの」


必死に説明をしていると、計人の顔が険しく、何かを考えるような仕草になっていた。


「計人?」


私に呼ばれて、計人ははっとした様に顔を上げた。


「いや、なんでもない。……分かった。協力する」


「え?」


「たいちょーさんが、美奈んち住めるようにすりゃいーんだろ? あいつんち、部屋は余ってるからなんとかなんだろ」


「本当!?」


一体急にどうしたんだろう? という思いもないでもないが、こんなチャンスは逃すわけにはいかない!


私は思わず、計人の腕を掴んでいた。


「つっても、基本的にはお前がやるのを見てるだけだぞ。直接説得とかはしねーからな」


例え説得は自分でやるとしても、こと美奈に関する説得なら、計人がいるかどうかは、その難易度に大きく影響を与えるはず!


私は、計人の気が変わらぬよう、慌てて頷いたのだった。

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