学校の裏山にて 2 梨亜
「まず、結城さんが夢追人だったんだけど、つい最近、計人を助けるか何かしたせいで、やれなくなってしまった、と」
「昨日だけどな」
どうでもいい茶々を入れる計人。
「で、計人には夢追人の素質があったのか、誰でも出来るか、どっちかな? 結城さんが、計人に夢追人になる様頼んで、やることにした、と」
「俺が力あったんだよ」
何故か偉そうに補足する男に、ふぅん? と頷きながら
「で、夢追人は、危険もあって、急に何かやらなくなったりならなくなる事もあるから、心配しないでねって、いうお話、だよね?」
「おぅ、そうそう。そんな感じ」
正にその通り、とばかりに頷く計人。
「今日遅刻してきたのも、夢追人関連かな?」
「そうそう」
「結城さんは、サポートしてくれるためにいるんだよね?」
「まさか、学校にまで来るとは思わなかったけどな」
ビックリしたぜ、とこちらを見ながら言ってくる。
「あと、知っておいた方がいいことってある?」
「いやぁ? 俺は元々、夢追人になったって言っとけば、時々消えたりなんかした時にフォローしてくれっだろ、位だったしなぁ」
あまりに適当な考えに、美奈がふふふっと楽しそうに笑う。
「計人、大雑把~。授業サボった言い訳は、そうそう考えられないよ?」
「代返とか?」
「うちのクラスでどうやって人がいないのを誤魔化すの?」
「俺人形置いとくか」
おかしなことを言い始める計人に、ますます楽しげに笑いつつ、
「それじゃあ、ばれない精度で作らないと。でもそこまでやったら、人形が勝手に代返してくれるんじゃない?」
「目指すはアンドロイドか?」
和気あいあいと続けられる会話を聞きながら、私は馬鹿みたいに、口をぽかんと開けているしかなかったのだった。