学校の裏山にて 1 梨亜
さてはて、次話の投稿の仕方が分からずに、人物紹介だけで終わりそうになったこのお話。一体、どうなりますやら。
夕焼けに染まる学校の裏山。
一本の木に寄りかかる彼女が、振り返る。
「悪い、待ったか?」
「ううん、今来たところ。――で、話って何?」
まるで、ドラマのワンシーンの様な会話の後、男は説明をし始め……
「――そんなわけで、俺、夢追人やることになったから」
……終わった。
いきなり言われた言葉に、ぱちくりと目を瞬かせた後、女は言った。
「分かった、頑張ってね!」
「おぅ、まぁそれなりにな。――あ~、何か腹減ったな」
「あ、お菓子あるけど、食べる?」
「食う食う、何?」
「えっと、「ちょっと待って!」
そのまま延々と続きそうな会話を遮ったのは、地の底から聞こえてきそうな低い音を出す私 ――結城梨亜―― の声だった。
「ぁ? お前もほしいのか?梨亜?」
「皆で食べられるよう、沢山作ってるから、よかったら食べて?」
全然見当違いの会話を進める二人に、くらくらしつつも、何とか声を絞り出す。
「違う! そうじゃなくて、計人あなた、事情を話すって言ってなかった?」
そう。元々、私のせいで夢追人なんてやる羽目になった彼 ――五十嵐計人―― が、唯一、幼なじみの彼女 ――山口美奈―― にだけは、事情を話しておきたい、と言ったため、今この場と相成ったはず、なのだ。
それなのに、計人の言った事といえば、前述の
『――そんなわけで、俺、夢追人やることになったから』
のみ。
ひょっとして私、白昼夢でも見て、聞き逃したんじゃないか、という位、見事になにも説明していない。
何を考えているんだ、という目で睨むと、何を今更、という顔をされる。
「別にいいだろ? 言いたいことは伝わったし」
「どこが? 何が!?」
キョトンと見つめてくる二人に問い掛けると、計人は、美奈に言う。
「伝わったよなー、美奈ー?」
なー? と、小首をかしげながら言う計人に、おずおずと美奈が口を開く。
「えっと、細かい部分は私の想像が入るんだけど……」
言ってやれ言ってやれ、と後ろではやす計人の言葉を受けて、美奈が話し出す。
その内容は……。