『北』へ 隊長
サブタイトルのみ変更。
部屋を出た後、島田に謝られた。
「悪いな」
やっぱり、罪を犯したとも思えない人間を無理矢理拘留しているのは、罪悪感があるのだろう。
「何言ってんだ、仕事だろ?」
すらっとぼけておく。
「まぁ、な」
それでも多少後ろめたそうなそぶりを見せる島田に、後で正攻法で取り戻すから気にするな、と告げつつ、来た道を戻る。
待合室に戻ると、美奈は鳥谷のひざに頭を乗せて寝ていた。
なるほど、あれなら反応なくても不自然じゃないな。
「お疲れ様でした」
「あぁ、悪い、待たせた。戻るぞ」
「はい。――ゆかりちゃん、起きて?」
鳥谷の言葉に反応し、眼をこすりながら起きた美奈は、こちらを見るとぱちっと眼を覚まして
「あー、たいちょーさんだー! おかえりなさーい!」
と、立ち上がる。
「あぁ、ただいま。帰ろうか?」
俺が手を伸ばしながら返事をすると、
「うん! ゆか、おなかすいたー! ごはんっごはんっ♪」
と、俺の手を握ってくるくるとせわしなく動く。どこからどうみても、ちっちゃい子供にしかみえない。芸が細かいな。
外へ出て戻り始める俺達に、島田が手を振りながら見送ってくれた。
「ゆかちゃん、またねー」
美奈もぶんぶん振り返しながら、
「おじちゃん、ばいばーい!」
と、元気に返事して『風』から遠ざかっていった。
周りに誰もいないことを確認し、美奈に聞いてみる。
「ところで美奈、鳥に戻れるか?」
さすがに、『北』へ子連れで行くことは出来ない。鳥になって、遠くから見ている、程度がせいぜいだろう。
すると、美奈は
「出来ますけど、鳥だと中に入れそうにないので……」
言いながら、ぽんっと姿が消え、代わりに現れたのは、画面に【こんなのも出来ますけど】と表示された小型端末だった。
宙に浮かぶそれに、美奈か? と尋ねると、【そうです】と表示される。
【これなら、会話もしやすいですし、中に入るのも楽チンですし】
【北って、こういうの没収されます? それだったら、ボールペンかライターになりますけど】
――何故ボールペンかライター? 何かこだわりがあるのか?
喋りたい時にはペンが勝手に動いたりするんだろうか? と思いつつ、返事をする。
「いや、平気だ」
持ち込もうがどうしようもないところだからな、あそこは。
【なら、周りが見えるように頭が出る感じでポケットにでも入っておこうと思います】
「それだと、そっちが何か言おうとしても見れないだろ。手に持ってても平気か?」
【あ、はい。それじゃあお願いします】
触っても平気そうなので、持ってみる。
握っている状態で周りが見えるか尋ねると、画面に♪マークが踊った。どうやら平気らしい。
「それじゃあ、行ってみるか」
俺たちは、『北』へと向かっていった。
さてはて果たして、鬼が出るか蛇が出るか。事態がうまく進展してくれれば良いんだがな。




