気付いた事 計人
サブタイトルのみ変更。
「ところで、さっきの続きなんだけど」
梨亜が連れ去られた時に気付いたこと、だったか?
「つっても、何もわかんねーぞ?」
眼は二つで鼻は一つ、口もあったし腕もあった……。うん、流石にこの情報が何の役にも立たねーことは俺にも分かる。
「梨亜ちゃんの様子で変だったこととか」
「様子? やけにあっさり付いてっちまった位しかわかんねーが」
首をひねりつつ答える。
「でも、知り合いには見えなかったよね?」
「まぁ、相手は顔くらいは知ってたみてーだけどな」
梨亜か? って聞いてたのは、確認の意味だったっぽいしな。
「相手が来た時、梨亜ちゃんの方には心当たりあったように見えなかったんだけど、どう?」
言われて、その時の様子を思い出してみる。
「そうだな。一体何だ? って顔してたもんな」
顔整ったやつが表情消すとこえーんだよな……。
「それにしては、すぐについていくこと決めちゃったよねぇ?」
まー、そう言われりゃそうだが。
「待たねーって言われて焦ったんじゃねーの?」
「うーん。私はむしろ、あんまり慌ててないかなーって思ったんだけど。今の状況からしたらおかしいくらい」
ここで、隊長さんとやらが口を挟む。
「どういうことだ?」
「いえ、今ふと思ったんですけど。『北』が殆ど生きて戻ることの叶わない場所だっていうのは、梨亜ちゃんも知っていることなんですよね?」
「あぁ、そうだな。こちらの人間が知らないことはまずない。勿論結城もだ」
タイチョーサンの言葉にうんうんと頷く美奈。
「そうだとすると、連れて行かれる時、あっさりついていき過ぎかなと思ったんです」
「……確かにな」
戻って来れねーなら、もっと抵抗していい気はするな。
「第一、梨亜ちゃんは私達にすぐ戻る、と言ったでしょう? 戻れないなら、私達だけでも帰すなり、隊長さんに連絡して引き継いでもらうなりすると思うのよ」
ちょっと考えるようにして、美奈は続ける。
「多分、梨亜ちゃんは『北』に行っても、直ぐ戻れると思ってたんじゃないかなぁ? それも、隊長さんに言っておかなくても平気な位すぐに」
「私達がそこまで心配してなかったのも、梨亜ちゃんに気構えた様子がなかったからだし。こう、『面倒だけど仕方がない』くらいの感じだと思ったんだけど、どうかな?」
言われて、梨亜の様子を思い出してみる。
「確かに。入国許可貰うから待ってろってのと、ちょっと行ってくるから待ってろってのに、そんな差がなかったな」
でしょ? という美奈に、タイチョーサンが聞いてくる。
「つまり、どういうことだ?」
「例えば、『北』で働いている人や捕まっている人に知り合いがいて、その人が面会を望んでいる、とか……」
美奈のたとえに、タイチョーサンは首を振って
「別に、北の職員は出られないって訳じゃないから、わざわざ今来いって言われても、そう簡単について行こうとはしないだろう」
それから、と更に続けて
「囚人なら尚更、他人動かして面会要請、とかは無理だな。何せ、凶悪犯罪者だからな」
それは分かっていたのか、美奈も頷きながら同意する。
「……ただ、梨亜ちゃんは、帰れるだけの根拠が何かあったと思うんです」




