梨亜の上司 計人
サブタイトルのみ変更。
梨亜の上司らしきやつが現れた。
梨亜に今何が起こっているのか知りたいという男を前に、俺は黙り込む。
――ったってなぁ。俺だって訳分かってねーし。
こういう説明は、美奈がうまいから、そっちに聞いてほしいんだが。まだ帰ってこねーのか?
八つ当たり気味に、ガンっと左の壁を蹴ると、ひょこっとネズミが現れた。
『計人、呼んだ?』
あ、来た。
……って、お前、他人がいるのに、むやみやたらと喋ったらアブねーだろ。
摘みあげて注意しようとしたところで、男がネズミに話しかける。
「美奈、か?」
何だ、もう知り合いなのか。
美奈は、俺の手の上に乗っかり、答える。
『はい、隊長さん。――計人、この人は梨亜ちゃんの隊長さん。もう聞いた?』
「いや。でも、さっき夢守うんたらとか言ってたぜ?」
聞き違いか? それとも、、、覚え間違えか?
『夢守隊ってのは、夢追人の所属する隊の名前なのよ』
「ふーん」
そうなのか、しちめんどくせーな。びびらせんな。
『隊長さん達は、私達を助けてくれようとしているの』
前脚をぴっと向けながらそう言う美奈に続いて、指さされた隊長さん(とやら)が聞いてくる。
「そのために、何が起こってるのか知りたいんだが」
が、そこは当然さらっと流す。説明は任せた、美奈。
『うーん、でも私はもう説明しちゃったし。計人、何か気付いたこととかない?』
気付いたことなぁ……。って何を気付けばいいんだ?
『梨亜ちゃんが何で連れ去られたのか、とか』
「どっかの誰かが、北へお連れしろ~って言ってきたから、だろ?」
それ以外、俺らは知りようねーんじゃねぇのか? 特に梨亜は何も言わなかったし。
『うん、そ――』
何かを言おうとしていた美奈が、唐突に消えた。
「おい?」
「美奈? どうした?」
何事かと、左の壁を叩いてみるが、ネズミは出てこない。二人で困惑しながら人を呼んでみるかどうかを検討していると、いきなりガチャガチャと音がして、扉が開かれた。
「失礼いたします。島田隊長の命に従い、地界人を纏めることとなりました」
入ってくるなり、隊長さんに向かって敬礼しつつ、そんなことを言う。
そうして、二つの椅子と共に、一人の女が連れられてきた。
俺らの近くに椅子を置き、女を乱暴に部屋に押し込んだ後、
「では、木崎隊長。失礼いたします」
俺のことは一切無視して、去っていった。
部屋に残された女は、椅子に腰掛けながら話してきた。
「いきなりだったからビックリして、ネズミ動かすだけの余裕なくなっちゃった」
こうして、美奈(本体)と合流した。




