確認と追及 隊長
サブタイトルのみ変更。
「……ところで、その子、誰なんだ?」
部屋に入り、さぁ説明を、と促す前に、こっちが聞かれる。
――まぁ、確かに変だな。
いきなり見られた少女は、ビックリして慌てて俺の後ろに隠れ、俺の後ろからちらっと島田を見てはまた隠れている。
うん、本当に幼子みたいだ。
「あぁ、この子は、ちょっと訳ありで今日一日預かってる子でな」
一旦、少女の方に顔を向け、言う。
「こっちのおじちゃんは、島田といって、顔は怖いが子供にはやさしいおじちゃんだ」
島田は、屈んで目線をあわせるようにして、怖くないよー、と手をにぎにぎさせている。
少女は、俺の裾を掴みながら少し顔を出し、
「川岸ゆかり、ななさいです」
と言った。
――しまった。
俺らが美奈の世界よりかなり長生きするってのを言い忘れてた。七歳じゃあ、親から離れてるのは、よっぽどの訳ありだ。
これは追求されるか、と身構えたが、
「そうか~、ちゃんと言えて偉いねぇ」
と返した島田に対し、少女がおずおずと俺の後ろから出てきて、はにかむ様ににこっと笑ったことで、場がなごみ、ほんわかムードに包まれる。
……はっ。俺まで一緒になごんでどうする。
「で、悪いんだが、説明してもらえるか?」
「と言っても、こちらも教えるようなことは何もないんだよな」
弱ったように、島田が答える。
「そもそも、誰が連れてきたんだ?」
「普通の兵だったらしいぞ。どこ所属かは特に聞いてない」
職務怠慢と思われるかもしれないが、これについてはそんなもんだ。
後で、隊からきちんとした報告書 ――逮捕状みたいなものだ―― が届くのでそちらを見ればいいし、兵を騙るなど、軽々しくこの世界でやるようなバカはいない。
「その後の連絡は?」
「それがこないんだよ。いくらなんでも遅いだろうって、いくつかに聞いてみてるんだが、今のところ、どこもうちじゃないって返事ばっかでな」
いぶかしく思っているところに、丁度俺たちが来たらしい。
「連れてきた際の理由は何だって?」
「霧への『侵入』及び勧告無視、だな。これ以上ない程、妥当な理由だろ? ただ、複数人で来たってのが珍しいとは思ったが」
「こちらが連れてきてるんだから、『進入』は当たり前だな」
意味を変えて反論する。
「……流石に、偶然たどり着いた別人ってことはないか? というか、うちに来たのは二人だけだぞ?」
一緒にいるはずの結城がいないから人違いじゃないのか? と聞いてくる島田にもう一度、結城は別の場所に連れて行かれたことを告げ、
「連れてくる地界人の名前は、五十嵐計人と、美奈っていう男女二人だが、違ってるか?」
と聞くと、あちゃー、と額を押さえながら、
「報告に上がっている名前も一緒、だな。同姓同名が偶々同じ時に紛れ込んだってのは……、いくらなんでもあり得ないだろうなぁ」
と返ってくる。まぁ、こっちは本人に聞いているわけだから、当然間違いはありえないんだが。
ふぅ、と深いため息をつきながら首を振る島田に、俺もつられてため息を吐く。
「……無理があるだろうな」




