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夢追人  作者: 北西みなみ
第二話
18/175

『風』へ 隊長

サブタイトルのみ変更。

美奈の話は、にわかには信じがたいものだった。


「結城が『北』に連行!? ――鳥谷」


「そのような報告は来ておりません。結城さんに連絡とってみますか?」


「頼む」


しばらく端末を動かしていた鳥谷だが、ため息をつきつつ首を振る。


「結城さんの端末、応答がありません」


駄目、か。


だがおかしい。仮にも部下が投獄されれば、上司に真っ先に報告が来るはずだ。


だが、実際に結城は姿をくらましている。一概に嘘だと決め付けるわけにもいかない。そもそも、こいつが本物の美奈なら、そんな嘘をつく理由が分からない。


「梨亜ちゃんがいなくなった後、私達も捕らえられました。『北』ではないらしいですが」


地界人を捕まえて、一体何になるんだ?


「目的は何か言ってなかったか?」


「分かりません。ただ、いきなり帰るよう言われたので、梨亜ちゃんを待っていたいと答えたところ、命令に従わないなら逮捕する、と」


何だそれは。


「そこでやっぱり帰る、と言えば見逃してもらえたようなのですが、二人で残ることを選んだので、牢に入れられました」


「そこがどこだか分かるか?」


「あちらの方にある、白っぽくて真四角な建物です。椅子だけ付いた個室のある」


子供は、指で窓の向こうに見える建物を指し示した。


「『風』か」


「恐らくそうでしょう」


俺の言葉に、鳥谷も同意する。


あそこなら、そんなに罪は重くない。ただ単に、結城が戻らない! と騒がれても邪魔だから入れられた、といったところか。


そうすると、結城が問題という事になるわけだが。


ここしばらく地界に行ったきりで、戻るのが本当に久しぶりな結城に、一体どんな過失があったというのか。


目の前の子供から聞く限りでは、理由は思いつきそうにもない。


「一旦、二人を先に出すか」


もう一人巻き込まれた、五十嵐計人に話を聞けば、また違う発見があるかもしれないしな。


そう考えていると、鳥谷がため息をつく。


「簡単にいけば良いのですが」


何故そんなに憂鬱そうなのかが分からない。


――『風』ならば、隊長格が出向けば、それなりの融通を利かせられるはずだが。


『風』は、元々が長くて二、三日入れられているところなので、手が足りない時など、責任もって労働させるから、と釈放させることはままあることである。


すると、こちらの疑問が伝わったのか、更に続ける。


「本日は十五日ですから」


そうか、今日は監察日か!


いつもは、大抵の融通を利かせてもらえる『風』だが、月に一度、係の上司が部下の仕事ぶりを確認にくる監察日だけは別だ。


上司の前で成果を見せるべく、皆張り切るし、監察者も報告を纏める必要があるため、イレギュラーな行動は許容されない。


まぁ、俺の立場ならごり押しは出来るだろうが、上策とはいえない。


「面倒だな」


「はい、面倒です」


それでも、やはり今のままでは情報が足りない。


「行ってみてから、どうするか考えるか」


一応、隊に何か連絡が入ったら転送されるようにして、鳥谷と美奈と共に『風』に向かうことにした。

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