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夢追人  作者: 北西みなみ
第二話
13/175

牢屋にて 2 計人

サブタイトルのみ変更。


ネズミの美奈で、ネズミナ。何となく気に入った言い方です。

俺がじとーっと見つめていると、ネズミは自分の身体を見た後に聞いてきた。


『変かな? 忍び込むならネズミかなーって思ったんだけど』


「変だな。人間がネズミになるのは変だ」


そういう問題じゃないだろ、という思いを力いっぱいこめて断定してみたんだが、美奈はいつもの理解力を放棄したようだ。……いや、ある意味いつもどおりか。


『あ、本体は隣にいるよ? これは思念体みたいなもので』


美奈の説明曰く、美奈が他世界を見ている時の状態の応用ということらしい。


『こう、ネズミに意識乗っけて、ネズミが見る世界を感じ取るような感じ』


うむ、全く分からん。


『夢追人なんだから、計人も出来ると思うよ。数年くらい練習すれば』


とりあえず、細かいことは考えない方がいいことと、美奈がある程度自由に外の状態を見て回れそうだということは分かった。


ついでに、俺も出来ないかと思ったんだが、どうやら無理そうだ。意識の一部を切り離す感覚で独立させて動かすなんてもんが、やってみたら出来た、なんてもんじゃねーだろ。


そもそも何でやってみようと思ったんだ、お前は。幽体離脱に憧れでもあったのか?


常識人な俺は、理解を放棄することにし、建設的な質問をすることにした。


「で、どうするつもりだ?」


『ひとまず外に行って、梨亜ちゃんを助けてくれそうな人がいないか探してみるよ』


「っつったって、そんなん、分かんのか?」


どいつが助けてくれるかなんて、この世界に知り合いの一人もいない俺らが分かるもんじゃねー気がするんだが。


ネズミのお願い聞いてくれるお人よしで、かつ助け出せる力を持ってるやつなんて、そうそう都合よく転がってるもんじゃねーぞ。


『駄目で元々、かな? 梨亜ちゃんが今日、私達と会わせようとしていた人達が見つかればいいんだけど、そうでなくても、『北』ってのの情報を探ってみる』


さっきの門や、ここの人達なら、何か役に立ちそうな噂話してるかもしれないしね、と言われる。まぁ、それくらいなら可能性もなくはないわな。


『何もなくても、一回り見終わったら一旦戻ってくるよ』


そう都合よく情報が手に入るとは思えねーし、それがいいだろーな。


「まぁ、方法は任せるが、気をつけろよ」


『うん、ありがと。何かあったら、こっちの部屋の壁叩いてくれれば気付けると思う』


コクコク頷きながら左の壁を指差して言うネズミナに、


「踏み潰されんなよ」


と声を掛けると、


『鳥になっていくから大丈夫』


と返ってきた。……今度、思念体の作り方とやらを詳しく分かりやすく教えてもらおう。


一瞬、すべてのことを忘れ、空の世界へと思いをはせた俺の前で、ネズミの輪郭が歪み、やがて小さな鳥の形に変わった。


『それじゃあ、行ってきます!』


壁をすり抜けて飛んでいく美奈を見ながら、暫く考えた俺は、動き出す時に備えて体力を温存することにした。


「――さて、寝るか」


決して現実逃避ではない。

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