牢屋にて 1 計人
サブタイトルのみ変更。
やっと天界内に入りました。まともに入ったのか、と言われると答えられませんが。
「こちらにお入りください」
そうして入れられた場所は、椅子が一つ申し訳程度に置いてあるだけの、牢屋というより狭い小部屋のような場所だった。
とはいえ、窓には格子があり、扉も内側から開かない様になっているが。
美奈とは離され、それぞれ別の部屋に閉じ込められてしまったことになる。
「さて、どうすっかなー」
椅子にぷらぷらと座って呟いてみるものの、特に何か出来そうなことがあるわけではない。この状態で一体何が出来るかを考え……。
――やっぱ無謀すぎたか?
あっちに戻って、他の夢追人探して頼む、とかした方が良かったかもしれない。
うちの世界に、他に夢追人がいるのかすら知らないが。
流石に、連行された先に梨亜がいて後はなんとかなる、とは思ってなかったが、この状況に、少し早まった真似をしたという思いは禁じえない。
はぁーっとため息をついていると、下から音が聞こえた気がして、そちらを向いてみる。
――なんだ? これ。
椅子の脚を、ネズミがトントンと前脚で叩いている。
思わずつまみ上げて目の前に持ち上げてみると、ネズミが鳴いた。
『ケェト』
……まて。まてまてまて。
落ち着け、俺。
流石に違うだろ。
確かにあいつは色々ぶっ壊れてるし、多芸多才で変わった特技なんかも沢山持ってるが、いくらなんでもネズミにはなれねーだろ。
あれだ、罠だ。俺に情報吐かせようとしてるんだろ。俺は騙されねーぞ。そうだ、脅しには屈しねぇ。でも、俺らから聞かなきゃなんねーような情報なんてあるのか?
聞き覚えのある声で話すネズミにパニックになっていると、ネズミはつままれたまま暴れもせず、器用に首を傾げて聞いてきた。
『ケェト、大丈夫?』
……。うん、違う、と、思いたい。
が。
長年の付き合いで、これが本物かどうかが分かってしまう自分がいる。
――本物、だよな。
言い方、表情、この動じなさ。どうみても美奈だ。ちまっとした感じも、まっすぐ見上げてくる瞳も、人間の美奈にそっくりだ。まぁ、そもそもネズミの表情なんて分かるのかよ、と自分に突っ込みを入れたくなるが、何故かこのネズミに関しては分かるのだから仕方がない。
認めたくはないが、事実は受け止めねばならない。例えそれが、十年来の幼馴染が人外なのかもしれないのかもしれなくとも。
微妙に痛むこめかみを押さえ、さらば常識、と黄昏つつ答える。
「この短期間にダイエットしすぎじゃね? 美奈」
ネズミがあははっと笑った。
『流石にダイエットしただけじゃ、こんなに姿変わらないよー』
知ってる。




