警告と拘束 2 計人
サブタイトルのみ変更。
「北って……、北のどこですか? 投獄とはどういうことですか?」
美奈が、呆気に取られたまま思考停止した俺の代わりに聞く。
「『北』というのは凶悪犯罪者の入る牢のことです。ここに入った者は、殆どが獄中死を遂げることとなります」
ごくちゅーしおとげる。ゴク チュ~ 塩 トゲる。ごく中止をとげる……。あ、獄中死を遂げる、か。
…………。
「はぁ!?」
脳みそがやっと理解に追いついた途端、思わず叫び声が口から漏れる。
「何故梨亜ちゃんが、凶悪犯罪者になったんですか?」
「さぁ?」
「教えてください。お願いします」
「存じません。国に甚大な被害をもたらす地界人を不当に連れ込もうとした、とかではないんですか?」
ちろり、とゴミを見るような目で見ながら言われて納得する。
――最初から、こいつらが喧嘩腰だったのはこれか。
俺ら自身が、凶悪な犯罪者 ――連れてきた者を『北』なんて場所に放り込む程性質の悪い―― だと思われていたのか。
ふざけんな! とわめき散らしたいが、相手は武器持ち大勢で、こちらは丸腰二人。更にいえば片方は非力な女だ。
しかも、こちとら現在右も左も分からない状態なのだ。
どうすればいい? 何が正解なんだ?
一つ間違えると、ここで殺されかねない、というプレッシャーに、考えれば考えるほど頭が真っ白になっていく。
「私達が連れて行かれるのも『北』、なのですか?」
「いえ、地界人は普通の牢で十分ですから。――合流して何とかしよう、というのは不可能だとお考えください」
「私達が、今からでも帰るといえば、解放されますか?」
「本来は無理ですが、おとなしく帰り、二度と来ないと約束するならば、見逃しましょう」
「そうすれば、梨亜ちゃんは牢から解放されますか?」
「それはお答えしかねます」
「出られないということですか?」
「さぁ? お答えできません」
まるで、出来の悪い生徒に言い聞かせるように繰り返す。
これ以上聞いても無駄だ、と判断したか、
「ケェト、どうしたい?」
特徴のあるイントネーションで、美奈が呼ぶ。
「そっちこそ」
「私は……。一人で残る」
「却下」
すぐに否定すると、分かっているかのように頷く。
「ん。どっちがいい?」
「まぁ、ここで『はい、さようなら』は無理だろ」
一応、仲間が連れ去られたって状態なわけだしな。
「危険だと思うよ」
「あぁ、これ以上ないほどな」
「何も出来ないかもよ」
「出来ないかもな」
こちらの意志を確認するようにじっと見つめてくる大きな瞳に、こちらも負けじと見つめ返す。
やがて、ふぅ、と瞬きをした美奈が言う。
「なら、捕まろっか」
こちらも、一応返事の分かった質問をする。
「俺一人残るってのもあるんだぞ?」
「や」
「ミナ?」
「お願い」
両手を組んで、上目遣いにじっと見つめてくる。
どうやら本気らしい。自分の身が危ういのに、それでも梨亜をおいてはいけない、と決めているようだった。
通常ではあり得ない反応に、一瞬ここがどこかを忘れて、確認したい気持ちになるが。
――さすがにそれどころじゃねーか。
「分かった。気をつけろよ」
「うん」
美奈の返事を聞いて、周りに相対する。
「おとなしく、連行される。――今はな」
あれ?まだ天界に入ってないな。




