決意 梨亜
最終話いっき更新です。最初から見てね。
「そんな……」
あの時、美奈は天界の法なんて知っているはずもないのに……。
そこまでして、美奈を排除したいというのだろうか?
「議会は、私達が常に監視しているにも関わらずこれといった報告が何もなかったのは、山口さんが天界を害なすために意図的に力を隠しているのではないかと疑っています」
知らず俯いていた私の肩に、誰かの手がぽんっと置かれる。――計人だ。
「どうすりゃいいんだ?」
何かあるんだろ? と続きを促す計人。その眼は確信の色を宿しており、少しだけ冷静になる。――そうだ、なければ副隊長がここにいるはずがない。
計人の言葉に、一旦眼をつぶった副隊長は、一言一言区切るようにゆっくりと答えた。
「私達に、議会の決定を覆すのは、不可能です」
「……」
「誰、なら、覆せるんだ?」
誰なら……?
「っ! あに「待ってください!」
閃いた考えを口に乗せようとした瞬間、副隊長に無理矢理さえぎられた。
「一般論として言いますが、私達下の者が ――妹とは言え―― 統括者に意見など、ありえません。そして、それを統括者がおいそれと受けるということもあってはならないことなのです!」
……。
「ですので、結城さんが統括者にそんなことを頼もうとしているのを事前に知ってしまえば、私も隊長も止めねばなりません」
「成程な。そりゃそうだな、知っちまったらどうやったって止めなきゃいけねぇよな」
「はい、そうです。――結城さん、変な考えは持っていませんよね?」
私利私欲で権力を使うのはいけない。いけないことだけど……。
「はい。おかしなことを考えたりしていません」
私の考えは、おかしいことなんかじゃない。――無実の友人を助けたいってことは。
私達は、眼を見て頷きあった。
「議会の終了は三日後ですので、正式決定もそことなります。隊長には、その時に知らされる事となります」
「つまり、三日後にならねぇと、たいちょーさんは議会の決定も知らねぇってことだな?」
事情を知らない隊長は、私が急に思い立って天界に行ったり、兄上に会うのを不審に思う理由がない。――だから、私を止められなくても責任はない。
「そうです。少しは気にしているかもしれませんが、天界に戻って聞くほどでもないのでしょう。私も予定が詰まっていますので、わざわざこちらに来てまで報告をする時間はないのです」
「分かりました、ありがとうございます」
私は、心からお礼を言った。
「それでは。私は戻ります」
副隊長は、よろしくお願いしますといって去っていった。
「計人……。私、苛めにあったことがどこかから兄上達にばれたら大変だから、先に上手く説明しておく必要があると思うの」
「そうだな、そりゃ必要だな」
計人は、大きく頷いてくれる。
「だから、隊長に許可もらって明日にでもちょっとあっち帰ってくるね」
「おぅ、行ってこい。気をつけろよ?」
頼んだぞ? そんな無言の言葉が聞こえた。
それから、体調が優れないことを理由に早退し、計人が帰る頃には隊長から天界へ行く許可をもぎ取っていた。
「明日は、体調が戻らないのでお休みってことにしておいてね」
「今から行かねぇのか?」
なるべく早い方がいいんじゃないかという計人に、ふと黄昏てしまう。
「兄上は、私が来てるっていったら、ほぼ全てのことを放り出して時間作ってくれるから……」
「だったら……」
一体何が悪いんだ? と言わんばかりの計人に説明する。
「お仕事、放り出されて困るの、部下の方達なんだよね……」
「…………」
「側近の方に連絡してみたら、今日は結構重要かつ私が来たら放り出される程度のお仕事があってね。明日の昼、いきなり飛び入りで挨拶するのが一番影響が少ないらしいから……」
こっちは急ぎとはいえ三日間は猶予があるわけだし、そんなに急いで目立てば、兄上に会える前に阻止される可能性もある。
「だから、悪いとは思うけどちょっとだけ待ってくれる?」
「あぁ」
計人は、気にすんなとばかりに頭をぽんぽんっと撫でてきた。




