勇者の黒歴史(ブレイブ・クロニクル)
ゆうしゃのふるきずがえぐられる!もうらいふはないのよ!
ひとまずソニアのことは棚上げし、魔導スピーカによる洗脳解除実験を行う。
城の闘技場の一角を天幕で覆い、そこに拘留中のアンチ預言書のメンバーを何人か檻に入れて移動する。
赤竜王には僕と双子、もえが乗り込んでいる。
メンバーからは僕たちが見えないようになっている。
そして檻の中からはいつものフレーズが聞こえている。
万が一に備えてバラの騎士団および宮廷魔導誌のみなさんが待機した。
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「それでは照射実験開始します!」
何を照射するのだ!適当な言葉を思いつかなかったのだ。
双子が赤竜王の魔導スピーカの出力を徐々に上げる。流れているのはモーツァルトだ。
魔力の「音」の効果はすぐに現れた。実験に「参加」させられたメンバーのほとんどが正気に戻った。
しかし、自分の意思で入団したと思われる幹部らしき人物には効果が無かったようだ。
正気に戻ったメンバーは一人ずつ尋問を行うそうだ。誘拐された魔人の行方と黒髪のゴーレムマスターについて聞くという。
何か分かればサフランの父親に連絡を取るつもりだ。
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なるべく目立たないよう、闘技場からターボジャンプを行い、「自宅」に戻る。
赤竜王から分離した双子ともえをねぎらい、居間に入ると精霊女王とソニアが談笑し、なにやら盛り上がっている。
その隣で興味津々と言った感じで聞き耳を立てる姫さまとサフラン。そして、アルマ。
ちゃっかりナタリアも参加している。
「ソニア、なにか脚色がひどくないか?」
僕は「猛獣愛撫」の構えを取り、妖精の背後に回り込む。
「エイト!」
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おそらく三ヶ月よりは長く、半年より短い期間。
マイア女王(当時は王女だったと思う)とソニアに僕は翻弄され続けた。
お寺で会ったその後、二人は僕の家に遊びに来た。
母親は外国人の女の子を二人も連れてきて驚くかと思いきや、何故か親戚の子が遊びに来たと言い出した。
今にして思えば二人の魅了スキルが影響していたのだろうかと思うのだが、そのあたりの細かい記憶が戻ってこない。
その日の夕方、僕の家に綺麗なドレスを来たお姉さんがやってきて、二人を連れ帰った。
お姉さんは二人をきつく叱り付けていたので、うちにくるのはそれっきりだと思っていた。
すぐに夏休みに入り、予想に反して二人は三日に一回くらいのペースでうちに来た。
日陰でコロのブラッシングをしたり、ビニールプールで遊んだり。何度かうちに泊まったこともあった。
寝付けないソニアを抱えて、逆に僕が寝られずに朝まで起きていたことも。
マイアはいいとして、ソニアのいたずらにはほとほと手を焼いた。
いくつかの事例を挙げると、夏休みが終わる間際に僕の宿題が塗り絵になっていたとか、学校が始まってから時々、ランドセルの中身が「2日後」の授業につかう教科書に入れ替わっていたり。
しかし、ある日を境に二人はぱったりと来なくなった。
そして、僕は今朝までそのことを忘れていたのだ。
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僕の机の中に間違ってラブレターをいれたのは誰だったとか、そんな話はやめてほしい!
少年時代の黒歴史を語っていた妖精の語り部は、もふもふ地獄へと突き落とされる。
さすがに十六夜さん程度まではやらないでおいた。
二人が来なくなった理由を知りたい。
「マイアさん、あの時何があったのですか?」
「エイト、すまぬがそこまでは思い出せないのだ。ただ、精霊と妖精の交流が無くなったのがわらわ達に関係があるという…」
そこまで話すと精霊女王は黙ってしまった。
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夕食後、精霊女王は地精霊とエリーナを伴って帰っていった。例の自動人形は次回つれて来るそうだ。
精霊女王の話を聞いていた姫さまの関心は僕の子供の頃にシフトしていた。
寝る前に三十分くらい、思い出せる範囲で取り留めの無い話をする。
僕自身はあの二人と何をしていたのか、ロックされていた鍵が外れたように記憶が鮮明になっていく。
ただ、重要な部分にはもやがかかり、それ以上は思い出せない。
姫さまを見ると、すでに夢の世界に入っていた。
明後日から姫さまとサフランの学校が始まる。僕もすこし予習をしないと、狐耳の先生に怒られそうだ。
ひなちゃんから届いた「めぇる」に返事を書いて、ベッドに横になった。
電力を魔力に変換か…。さすが十六夜さん。
そして、久しぶりにまともな「夢」を見た。
二人が勇者のいる世界に来た理由。そして、アンチ預言書の黒髪の女性。
姫さまとサフランの学校編も始まります。
話はどんどんとスパゲティになっていきます!




