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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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最初の計画に戻る勇者

僕は目を閉じ、深呼吸をする。


「赤竜王で突入しようかと思いましたが…どう考えてもいい結果にはならないですね」


と、素直に白状した。


乗り込もうにも向こうの様子はひとつとして分かっていない。


それと、僕の力は世界の危機を救う為に使われるものであり、国同士のいさかいを収めるのはあくまでも当事者同士。


もちろん、行き過ぎがあれば介入するつもりであるが。


「そんなわけで…まずはアトレーンのフリードリッヒ国王に古代遺跡の調査を持ちかけようと思います」


まぁ、最初の計画に戻ったわけで…。


---


思いついたら即実行。グランディオーラ国境近くの平原から「赤竜王」を飛ばすことわずか十数分ほどでアトレーン王宮の車寄せに到着。いつもと逆方向から飛んで来たのでグランディオーラ側にある門の衛兵が大騒ぎしていたようだ。


「アルマ…いや、レビン・トパーズ・アトレーン姫。元気そうで何よりだ」


出迎えてくれたイケメン国王、フリードリッヒさんがアルマを軽くハグする。実に絵になる。それを見守るラダさん。


「お、おひさしぶりで、しゅ」とアルマがかみかみで答えるが、実際はそれほどご無沙汰しているわけではない。


アルマをダシにしてアポなし突入し、すぐさま応接室に通された僕たち。本日のメンバーは双子にもえ、姫さま、アルマ、マッスルキングさん、ソネッタさん。洞窟入り口付近の村人代表としてエリオも連れてきている。アルマがアトレーンの姫さまだとエリオにバレてしまったが…。


ちなみに定員オーバーなので、僕はいつもどおりナーバルスーツ「深緑の慈悲」を着て機外の人である。


応接間に入り、深緑の慈悲をパージしてからフリードリッヒ国王に報告をする。


「国王様、アトレーンとグランディオーラ国境の近くで新たな遺跡を発見したのですが…地下部分がグランディオーラの国境を越えているので調査の前に連絡をと思いまして」


それに答えるフリードリッヒ国王。


「早朝に預言書からの神託がありまして…勇者殿が何かを見つけられたという内容の…」


僕が来るのは分かっていたようで、ライスリッチフィールド側の門には連絡をしたようだが、まさか逆から来るとは…と苦笑するフリードリッヒ国王。


その遺跡について発見のいきさつをエリオの話を入れつつ説明。


エリオは二人の国王に挟まれ、ぷるぷると震えていたがなんとか持ちこたえたようだ。


「失礼します、お茶の用意が…!!!!」


ある程度話が進んだところで、お茶を運んできた裁縫メイドたちが目を輝かせる。


「「「すてきなデザインですわ!!!」」」


どちらかといえばパーティに着て行くようなシックなドレスを主体に作っていた裁縫メイド達。


エリオのアイドルコスのような、スカート丈の極端に短い派手な服は初めてらしく…。


「あの、こちらのお嬢様の衣装をぜひ拝見させていただきたく」


「にゃあああああ!」


彼女を含め姫さまやアルマ、もえや双子はそのまま外に連れ出されてしまった。


ソネッタさんも付き添いのため、応接間を後にする。


---


応接間に残されたのはフリードリッヒ国王、マッスルキング国王、ラダさん、そして僕の四人。


「さて…少々強引な人払いとなってしまいましたが」


ラダさんの表情が若干厳しいものになる。


「預言書の神託には勇者殿が落盤事故に遭った作業員を保護していると…。これは私とラダのみが知る内容でして」


僕は遭難者の救出の件、そして坑道に現れた巨大な魔獣、迷宮核との会話など所々省略して説明した。


魔獣の話は少々刺激が強すぎたようで、ラダさんから不可視の力があふれ出て大変なことに。


フリードリッヒ国王がやや青ざめた表情で話を続ける。


「そのような場所で借金奴隷を働かせるというのは、通常では考えられないことです」


鉱山というのはそれなりに熟練した職人でなければ作業出来ない過酷な職場である。


素人同然の借金奴隷を投入したところで作業効率は低下、危険度も増すだけで良いことはない。


「ひとつ考えられるのは、奴隷証文を使った口止めでしょうか…」


借金奴隷の証文には、雇い主の事について口外できないような縛りをつけることができるという。


同業者の間で対価として労働力をやり取りする際、ライバル側に情報が漏れないようにとの配慮だが…。


マッスルキングさんが、そういえば。という顔になる。


「あの村長が明かした内容は、グランディオーラにしてみれば機密事項に当たるはず。どうしてしゃべることが…」


村人を片っ端から拘束して働かせるなど、あってはならないことだ。おそらくは仕事の内容など喋れないようにするはず。


「婿どのの魔力で証文の効力が…」


証書と腕輪がセットになっており、借金奴隷は証書の効力が続く限り、外れない腕輪をつけたまますごすという。


僕自身は何もしていない。証文や腕輪の存在も今知ったところだ。


「たぶん、シースとレーネが…」


「がちゃり」とドアノブが回る音と共に応接間のドアが開き、その二人が顔を覗かせる。


「「しつれしますなの」です」


「「せいれいさんがこまっていたので、きょうりょくしましたなの」です」


証文の魔導陣に宿る精霊があまりに理不尽な内容の契約に悲しんでいたので、二人が開放したらしい。救助した全員分。


二人はニカッと笑顔を振りまいた後、「「しつれしましたなの」です」と言って「ばたん」とドアを閉じた。


しつれ、じゃなくてしつれい、ね…。と言おうと思ったが既に二人は居ない。


当然だが、応接間には防音魔導とドアロックが…。


ラダさんがドア横にある魔導パネルが緑色に光っているのを確認し、頭を抱えた。


「すいません、二人には後で言って聞かせますので…」


双子は呼ばれたと思って顔を出しただけ…。別室にいてどうして分かったのか、それも聞かねば。


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