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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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ひざの上のちみっこ(ユースィア)

勇者はワイバーン邸で倒した「りざーどまーん」の討伐報告にギルドへ行きます。

ギルド長のちみっこユースィアが職権乱用であんなことやこんなこと!


※精霊女王との記憶交換の半日ほど前のお話です。

精霊の追憶(仮題)は次の次くらいになる予定です。

記憶の話は一度保留にして、「りざーどまーん」の魔導結石の受け渡し方法などを相談するために僕はギルドへ向かう。

同行するのはマーガレットさん1名。

姫さまと精霊女王はまだバトル中なので放置して行くことにした。


がやがやとにぎやかなギルドの中を進み、依頼完了報告カウンターへ向かう。

「いらっしゃいませ!討伐記録の確認ですか?」

受付嬢が営業スマイルを放つ。

「はい、魔導結石の数が数だけに持ち帰れなかったので、引取りの手配などもお願いしたいと思いまして」

「持ち帰れないほどですか?それではギルドカードをこちらへ」


なにかの魔獣の皮で出来た青いカルトンにカードを乗せると、受付嬢がうやうやしく受け取り、確認用の魔導装置へと差し込まれる。

カードが自動的に記録した魔導結石の魔力を照合する装置のようだ。


「エイト・マスダさま」

「「ぬるすらいむ」が20、「中型ぬるすらいむ」が4、「大型ぬるすらいむ」が1」


周りで見守る冒険者の注目を集めてしまう。


「ええっと、「りざーどまーん」が…いちじゅうひゃくせん…すいません。上司を呼んできます。装置が故障しているようです。」

カウンターの上の表示装置には(「りざーどまーん」5380)と表示されていた。


マーガレットさんが受付嬢に伝える。

「勇者様は「りざーどまーん」数千体を一度に浄化しています。私と同行したバラの騎士団も確認しています。間違いありません」


ギルドの中が急に静かになった。


受付カウンターの中を小さい子が走ってきて、装置に差し込まれた僕のギルドカードをすぱっ!と引き抜く。

表示装置の数字がふっと消える。


「勇者殿、続きはあちらで!」


ちみっこギルド長、ユースィアが僕の手を引いて別室へと案内する。


「あ、あの!」


一人置いて行かれたマーガレットさんが後を追う。


「マーガレット隊長は外でお待ちください!」


ちみっこはそう言うとドアをばたん!と閉める。


---


「勇者殿、これからは直接ギルド長を指名して来てほしい」


ちみっこは紅茶を飲みながら言う。


「あの、ギルド長」


「どうしたのかね?」


「ギルド長の席はあちらでは?」


ここはギルド長の執務室。目の前には立派な机があり、その後ろには立派な革張りのいすがある。


僕はソファーに座り、ギルド長は僕のひざの上に座る。


「小さいことは気にするな!」


「はい」


今のは小さい事と小さい子とがかかった高度な(ry


おこさま特有の高い体温でひざの上が非常にあたたかい。この心地よさは癒しマイスターのリーナや「はうはうどっぐ」状態のルティリナに匹敵するくらいだ。

うっかりなでなでしてしまった。


「さて、「りざーどまーん」の件はこちらで何とかしよう。まだ五千越えはいいとして」


ちみっこはソファーの前に置かれたカード読み取り装置に僕のギルドカードをかざす。


「「ほぼごぶりん」を約四万体退治とは。どういう状況だったのか、聞かせてほしい」


僕はワイバーン邸での出来事から地精霊や精霊女王のことも含めて説明した。


「地精霊の分身を盗み出し、勇者殿にも危害を加えようとし、精霊女王を一時的にとはいえ操ったのか」


ちみっこはううむとうなりながら僕のひざの上でもぞもぞする。


「さて、そろそろ勇者殿を解放しないと」


ちみっこは僕のひざの上から飛び降りるとすばやく自分の席に座る。


がちゃがちゃ。ばき。ばーーーーーーーん!

おそらくロックが掛かっていたであろう執務室のドアが勢いよく開く。


「エイトさま!ご無事でしたか!」

「エイト!ここにいたのか!」

「勇者さま!」

「あるじさま!」


ソネッタさん、精霊女王、シルフィール姫の三人がものすごい形相で部屋に入ってきた。

もえはいつもの感じだ。


「なんだい、騒々しい」

さわやかな笑顔で出迎えるちみっこ。


シルフィール姫は僕に近づくと胸元に顔をうずめて深呼吸する。

「勇者さま、大丈夫ですか!なぜギルド長のにおいが!」

姫さまの嗅覚は「はうはうどっぐ」以上かもしれない。


精霊女王は精霊女王で。

「わらわの分身がエイトの身に危険が迫っていると言うので駆けつけてみれば、いったいなにをしていたのだ!」


ソネッタさんはにこにこしている。

危険信号だ。


もえは普段どおり、僕の足にしがみついている。


「「りざーどまーん」の事で勇者殿からお話を伺っていただけだ。何をそんなにあわてているのです?」


途中からなぜか僕を食べる食べないの話に変わり、30分くらい口論がつづき、僕はぐったりして執務室を出る。


マーガレットさんはずっと執務室のまえでおろおろしていたので、謝りついでに今度何かおごる約束をした。

ただし、マーガレットさんだけを連れて行くと今日のような惨事になるので全員で。


---


今回の討伐の報酬が出るのは当分先になりそうなので、ギルドに来たついでに簡単な依頼を受けてみることにする。

私的に使ったお金も返さなくてはならないし、身内が増えて屋台で何か食べるにしても食費がバカにならない。特に精霊女王の食欲はおかしい。

ちなみによほど変な目的で無い限り自由にお金を使ってもいいと言われているが、なんでもかんでも頼るのは心苦しい。

それと、僕自身の力でどこまで出来るのか見極めもしたい。


隣ではまだ興奮冷めやらない感じの3人が僕の監視をしている。1人は冷静だ。


「それでしたらこちらの「はいはいこぼると」の退治などはどうでしょう?」


ギルド内の初心者向け相談窓口に立ち寄り、説明を受ける。

「こちらの図のような体長50Cシンほどの小型の魔獣です。攻撃時に発する「ハイ!ハイ!」という掛け声が特徴です。5体退治で依頼達成となりますが多い分には問題ありません…あの50体くらいまでなら大丈夫です」


青黒く目つきの悪い魔獣、1Cシンが0.9cmくらい?1cmでもいいかな。


先ほどの騒ぎを聞いていたのか、数について釘をさされる。


「ちなみに依頼達成で50Rリーン1体上乗せごとに10R追加となります」


1Rリーンが約100円くらいの換算になるようだ。

長さや通貨のしくみはあとでソネッタさんに詳しく聞いてみよう。


「了解しました。あと、魔獣を倒す方法と生息場所を教えてください」


「「はいはいこぼると」単体の攻撃力はそれほどありませんので初期訓練を受けた冒険者ならショートソード1本でも十分に戦えると思います」

「ただ、油断は禁物で、群れで行動する「はいはいこぼると」はかなりの脅威になります。危ないと思われたらすぐに救援を呼んでください」


この辺はマニュアルどおりなのか、なにかを読み上げる感じで説明が続く。


念のため、初心者救援キットを受け取る。いわゆる信号弾である。

ただし危険でもないのにむやみに使うと罰則があるという。


「場所は城門を出て、北の森に入ってすぐの泉のあたりです。」


僕はお礼を言ってギルドを後にする。

ついでにギルドの廃品置き場からすこし歯こぼれのしたショートソードを1本もらった。

換金できないようなくず鉄剣でもお金の無い初心者にはありがたい。

なまくら2号と名づけよう。


---


4人ともついてくると言って聞かないので極力邪魔をしないという約束をしてもらい、同行を許した。

姫さまがそばにいると自動的に三色だんご精霊の加護が働き、僕は何も努力しなくてもかなりの使い手になってしまう。

体感で100mくらい離れると加護の力が弱まるので、そのくらいまで離れてもらうことにした。


なんというか某おつかい番組で多数のスタッフに監視される子供の気分だ。


北の森に入り、泉を目指す。


泉の近くまで来ると地面は踏み荒らされ、冒険者のものと思われる装備の一部や薬草の入ったかごが散乱していた。


正直いやな予感しかしない。


間髪をいれず、森の中から悲鳴が聞こえた!

普段着に刃こぼれしたショートソードという軽装で森に向かった勇者。

悲鳴の主の運命はいかに!

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