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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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昨日の恋敵(てき)は今日の戦友(とも)

「ひめたべラジオ第四回放送」

シ「ひめたべラジオはなんと四回目。今日は精霊女王さまと勇者さまの嫁シルフィールでお送りします!」

女王「よろしくたのむ。さて、いまききづてならぬ単語がまじっておったが」

シ「ええー。お便りの紹介です。ラジオネーム「猛獣愛撫の使い手」さんから。「精霊女王さまは露出狂なのでしょうか?」」

女王「わらわの肉体は珠玉にして至高。ゆえに衣服などの飾りは不要だ」

シ「女王さまはやはり露出狂のようです。清く正しい私の勇者さまには似つかわしくないと思います」

女王「…シルフィール、勇者をかけて争うのであればおぬしもぬいでみせよ」

シ「私の体は勇者さまだけのものです!だれにも見せられません!」

女王「いいから脱ぐのだ!その平らな体のどこに勇者をひきつける要因があるのか調べさせてもらう」

シ「・・・!」

※放送中断※


預「痴話げんかにはまざりたくないのう」

朝。


いやだいぶ日が高い。


魔力の使いすぎなのか、体力も精神力もぼろぼろだったようだ。

いくら底なしとはいえ、放出する際の負担が相当なものだったと思われる。

夕べの精神状態を思い出して顔から火が出そうだった。


そして異変に気づく。


こちらの世界に来て、誰もいない状態で目覚めるというのは初めてかもしれない。


いつも背中にへばりついている姫さま、不意打ちで抱きついてくるソネッタさん。

僕の股間の微妙な部分をまくらにする双子、遠慮がちにパジャマのすそを握って寝ているもえ。


今朝はだれもいないのである。


寝室-ワイバーン家の-を見渡してぼーっとしていると、隣の広間から話し声が聞こえる。


「「マスターおはおー」ですー」

「あるじさま…おはようございます」


双子ともえに引っ張られ広間へと移動する。


「あ…ありえないわ」


精霊女王が16歳くらいの容姿になって、姫さまと「談笑」している。

ちゃんと服も着ている!

女性陣が車座になってお茶会中であった。

昨日の冷戦は何だったの。


「勇者さま!おはようございます」

「エイト、よく眠れたか」


「ええ、ようやく疲れがぬけたようです」


精霊女王は夕べのことなど気にするなという感じである。

思い出したらまた顔が熱くなった。


「お兄さん!おはよう!」

フィリーはいい子だ。うんうん。


地精霊はなぜかぐったりしてソファーにつっぷしている。

マーガレットさんはいつもどおりだ。きわどい話にあわあわしてる。

テスラは目が合ったが顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。


気まずい感じになっているとソネッタさんが声をかけてくれた。

「エイトさま、おはようございます。なにかおめしあがりになりますか?」

「はい、夕べも体調が悪くてあまり食べられなかったので、おなかがなってしょうがないです」

ソネッタさんが軽食を用意してくれるというので、広間を離れ、食堂へ向かう。


屋敷の中を野獣が走り回っているのかどたどたと音がする。

目の前を通り過ぎようとした狼娘に声をかける。

「ルティリナー!あばれちゃだめだぞ!」

「リーダー!わかった!」

屋敷の使用人の子供なのか、ルティリナのあとを追って何人か走っていく。

気のせいか兎耳っぽい子がいたけど、狼を追うって逆じゃ?


食堂にて。

連れてきた双子ともえは、お菓子をもらってにこにこしている。

女子会の毒気に当てられるにはまだ早いだろう。フィリーは既に…。

僕はハムとチーズとなにかの野菜がはさまっているバケットをもむもむしながら、ソネッタさんに姫さまと精霊女王の事を聞く。


「エイトさまのことで意気投合されたようです。詳しいことは当事者に」

とソネッタさんがにこにことしている。

このにこにこは火になにか注げということに違いない。テルミットだけは勘弁な。


「あ、ああ、仲がよければ問題ないので、ははは」


乾いた笑いが出る。


「それと、エイトさまが先にお休みになられてから決まったのですが、今日の昼前にこちらを出て城に戻ることになりました」


「ずいぶん急ですね」


「魔導士が早く魔素のサンプルを調査したいと申し出ておりますので、あとは精霊女王さまと地精霊さまの件と「りざーどまーん」の討伐についても国王にも伝えないとなりません」

枯れた迷宮に残された「りざーとまーん」の魔導結石や武具の類は夕べのうちに地精霊の小人が運び出し、ワイバーン家の倉庫に押し込めたという。

寝ている間にいろいろやってくれるリアル小人さん。


地精霊が疲れていたのは小人の使いすぎなのか…。


「エイトさまの荷物はすでに馬車に積み込ませていただきました」


「いつもすいません、ソネッタさん」


「お姉さんにまかせておきなさい」


「…はい」


お姉さんか。何かが胸の奥がずきっとした。

僕が「食べた」精霊の分身はまだ何も反応が無い。


---


出発30分ほど前。

なぜか赤竜王は元の乗用車スタイルに戻らない。ゴーレムのままである。

双子にもわからないという。変形をさせたのに変形機能を作った覚えは無いらしい。

どのみちガソリンの問題もあるので、このまま歩かせて城に帰るしかないのだが。

歩くだけなら僕だけで大丈夫だと双子が言っていた。


「ドラグさん、エキドナさん、テスラ、お屋敷の皆さんお世話になりました!」


「勇者さま!ありがとうございます!このお礼は必ず!」


テスラは屋敷に残って片づけをするという。また顔が真っ赤だった。


決闘の件はまたうやむやになってしまった。


---


馬車の隊列の後ろを赤竜王で進む。

道すがら何か聞かれたらアーマードマッドゴーレム(長ったらしい名前)と答えることにした。


サバンナさんやシルビアさんにいろいろと聞いてみた。

この世界の人造メイドゴーレムは、泥や土をベースにしたマッドゴーレム、岩を組み合わせたロックゴーレム、金属のプレートをからめたメタルゴーレムに大別されるという。

作成には特別な技術を要するが、ある程度の魔導が使える術者さえ確保できれば、だれが作ったものであっても契約譲渡によって運用が可能である。


魔素を含む泥を人の形に整え、表面を魔力で覆い、かりそめの命を吹き込んだものがマッドゴーレム。

同じように魔素を含んだ岩石をパーツごとに魔力の糸でつなぎ合わせたものがロックゴーレム。


どちらも重量に物を言わせて攻撃を行うが、マッドゴーレムはお手軽に出来る半面、形状を維持するのが難しく打たれ弱いという弱点がある。その為、木製や鉄製のハーフプレートなどでボディを覆うことで弱点をカバーするアーマードゴーレムというものもある。

魔素のプールで戦ったものはその類らしい。


ロックゴーレムは最初の岩石の整形さえクリアすれば運用は楽だという。これも専門の切り出しの職人が必要なのと、魔素を豊富に含んだ岩石の調達が難しいなどのデメリットがある。そして砕かれてしまえば終わりである。


メタルゴーレムは魔素を含んだ金属そのものを作るのが難しく、良くてもリビングメイルといわれる人のサイズくらいが限度という。

しかも貴族の道楽用くらいの能力しか出せない。


その為、作り出すことがほぼ不可能なサイズのメタルゴーレムに近い赤竜王を細部まで見られてしまうと厄介なので、幌馬車の予備の幌をマントのように羽織らせている。


マントを羽織る赤いロボをどこかで見たような気がするが気にしてはいけない。


助手席には地精霊ともえ、後部座席には姫さまと精霊女王がいる。

コクピットのハッチを開け放っているので、外の空気がおいしい。

アクチュエータの作動音でよく聞こえないが、後部座席ではなにやらガールズトークの真っ最中のようだ。


双子は馬車が良いらしく、前を進む馬車の中でフィリーやソネッタさんと何か話しているようだ。


ルティリナは赤竜王の肩に座って索敵レーダーとして遠くを眺めている。


もえは…

赤竜王のコンソールとにらめっこして何かしている。

[兵装追加 ジャッジメントレーザーx2]という文字が見えた気がするけれど見なかったことにしよう。


そういえば地精霊は出発前、魔素プールのあった付近で何かしていたのを思い出す。


「地精霊、さっき森に置いてきた彫像は?」

「私の分身を1体置いてきました。魔素プールが消えたとはいえ、まだ残留した魔素がありますので分身に吸収させようと」


「ところで、どうして「白雪姫」なの?」


僕が見たのは白雪姫と7人の小人をあしらった彫像であった。

ちなみに森に魔獣が現れた場合、小人が率先して退治に行くよう条件付けをしておいたという。


「あの森には野生のリンゴが実るのです。勇者さまの記憶の中でその「白雪姫」がリンゴを食べる様子がありましたので、ぴったりと思いまして」

「ゴーレムと戦ったときの小人も、その際に見た姿を真似しました」



精霊が生気を吸い取った相手の記憶を見られるといっても、断片的な情報しか得られないようだ。

道中の暇つぶしに、僕はその童話の顛末を聞かせることにした。


結果、後ろで聞いていた姫さまに余分な知識を植え付けてしまった。


---


後日談

ワイバーン領の森にある彫像はまるで生きているかのようだとうわさが広がり、観光スポットになったとかならなかったとか。


---


途中、何組かの商隊とすれ違ったが、赤竜王を見ておどろいたのか馬車を脱輪させるグループがあったり(すぐに助けた)いきなり赤竜王を売ってほしいと失礼なことを言うおっさんもいたりでにぎやかでした。


さっそくソネッタさんがおっさんを「触らずに締め上げ」ていろいろと聞き出したところ、最近ゴーレムの需要が増えていて、転売するつもりだったと言ってたが、ゴーレム犯に関係があるのかどうかは謎だった。


魔獣は「りざーどまーん」の残党らしき姿があったものの、視界に入るたびに精霊女王がすこし眉を吊り上げて真っ白な光線を発してじゅばっとやっつけてしまったので、僕は赤竜王に魔力を注ぐだけの簡単なお仕事をするだけでした。


そんなこんなでずいぶんと日が傾いてから例の野営地に到着した。


いくつかの商隊や冒険者らしき集団がいて、既に煮炊きの煙とよっぱらいの声が聞こえる。


いつ何が襲ってくるのかわからないのによく飲めるなと思ったが、守られる側の金持ちらしい。関わらないほうがよさそうだ。


露天風呂は健在であった。(前回は気がつかなかったが、温泉は何箇所かあった)


そして例の石版ホワイトボードも健在であった。


今回は「ほぼごぶりん」とゴーレム討伐記念入浴会である。


戦いに傷ついた乙女の肌をヒールで治そう会でもある。


そして僕は[風呂屋の三助]以外の新たな潜在能力ジョブを開花させるのであった。


その前にお夕飯である。

赤竜王には半自動運転機能があり、目標を追尾して歩いたり、事前に覚えこませたマップにそって移動したりと便利機能が搭載されています。


そして、露天風呂で二転三転さあたいへん。

お題はきまっておりません。

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