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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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露天風呂と「はうはうどっぐ」

「ひめたべラジオ第三回放送」

シ「ひめたべラジオも三回目。今日は目つきのするどいメイドさんとシルビアがお送りします!」

目「…(目の前のケーキに釘付け)」

シ「あ、えーと、ケーキはご自由に!」

目「!(いそいで食べ始める)」

シ「それではお便りの紹介です。ラジオネーム「いつも気絶する主人公」さんより。「ソネッタさんの本名を知りたいです!」」

シ「あ、あの。目つきのするどいメイドさんはご存知ですか?」

目「…(シルビアの前にあるケーキを見つめている)」

シ「ええっと。ご存じないようです。そろそろ時間のようです。また来週!」


---


預言者「ああ!(妨害が)間に合わなかったわい。これも小僧のせいじゃ」

野営地にあるなぞのしせつ。


岩場に土魔導でくぼみをつくり、周りを衝立でかこっただけの簡素な露天風呂。


僕は先ほどから新たなジョブ「風呂屋の三助」を得て働いている。

姫さまはいすに座って僕がなにかしでかさないように見張っている。


バラの騎士団と宮廷魔導士のみなさんの玉の肌を磨き上げる嗜好の(違った)至高のお仕事。


きっかけは僕が迎賓館の大浴場で姫さまやマーガレットさんの背中を流しているのを見ていた彼女たちが、その仕事ぶり(!)を自分たちも体験したいと言い出したことにあるらしい。

あとは今日、魔獣対処を見せていただいたお礼も兼ねている。

僕が知らずに戦っていれば異常状態になっていた「はうはうどっぐ」を全滅させていたかもしれない。

彼らは森の番人でもある。


最初におこさま組とテスラの背中を流している。


今、目の前にはサバンナさんのちいさな背中がある。


「勇者殿、もうすこし、強くしていただいても大丈夫で、す、あ、んっ!」


水着の肩紐ををずらしてもらい、背中を洗っているだけなのに、サバンナさんはなぜか身悶えている。


順番待ちの人たちの目が輝いている。


それに対し洗い終わった人たちは目がうつろで、魂ここにあらずといった雰囲気。この後の見張りは大丈夫なんだろうかと思う。


僕の手からなにか邪悪な波動が出ていなければいいが。


シルビアさんの惚けた顔を撮影しておくべきだった。


ようやく20人ほどを洗い上げ、ゆっくりと湯につかることにした。

姫さまもとなりにつかってふへーという感じになっている。

勇者の蛮行により、つぎつぎと陥落する女子を見続けるというのも過酷な仕事であろう。


背後に視線を感じふりかえるとソネッタさんが立っていた。

ちょうど下から見上げるような感じになって、さらに誇張された山脈でソネッタさんのお顔が見えにくい。

巨大山脈もすばらしいがそれにつづくなだらかな稜線(腰のライン)とふもとの情景おしりもすばらいいいいい。

いが多くなりました。


「エイトさま、そのように見つめられますとメイドのスイッチが入ってしまいます。」


と意味ありげにおへそのあたりを強調しソネッタさんがにこにこしながら言う。


そして、ソネッタさんの背中を流しているわけですが。


ソネッタさんのうなじに見とれてぼーっとしていると、ふいに声をかけられる。


「エイトさま、無理はなさらないでください。姫さまが心配されます」


「勇者さま、すこしお疲れではないですか?」


「乗りなれない馬車にゆられたせいかな」


うなじにみとれていたとはいえない。


姫さまがたどたどしい感じでヒールをしてくれた。

あたたかい力が流れてくる。

このあたりはオパール妃の血を引いているのかな。

がさつなのはいわずと知れた筋肉の守護神。


---


見張りの時間だ。


満天の星空を見ながら周囲を警戒する。


姫さまの精霊と遊び人精霊がぐるぐるとあたりを見回し、「「「「だいじょーぶ」」」「口止めされているけれど問題なさそう」などと伝えてくれる。

最近は赤玉精霊ちゃんも素直になってくれて、おいたんはうれしいよ。


空には自分の見知った星座など無いが、天の川のような光の帯が夜空いっぱいに広がっている。

おこさま組はソネッタさんとテスラの庇護の下、テントの中で熟睡中だ。

もえはさっきまでがんばっていたようだが、睡魔には勝てなかったようだ。


そしてもう一人、睡魔に勝てなかった姫さまは僕にもたれかかって寝てしまった。

隣には「はうはうどっぐ」が毛布の上で丸くなっている。

獣のにおいをさせているとほかの獣や魔獣を呼ぶというので、入浴ついでにわしわしと洗ってあげたのだが精神的にきつかったようでしょんぼりしている。

その際聞いた話では、一度群れを離れてしまった「はうはうどっぐ」の子供は帰ることができないらしい。

本来であれば十分成熟してから群れを離れるようだが、まだ幼体といってもおかしくないので、一頭で生きていくのは無理だろう。

だから連れ帰って飼うつもりでいる。いまから洗うことになれてもらおうというわけだ。

姫さまは例の猫耳女児をひろったときとおなじ目をしていたが、しぶしぶ承知してくれた。

人の手で育てた「はうはうどっぐ」は戦力としても有望というのを盾にした。


---


夜半すぎ、交代の時間となった。今からなら数時間は眠れそうだ。

流れ星がすっと視界の隅を横切る。


寝落ちした姫さまをだっこしてテントに運ぶ。すでに寝入っているおこさま達を起こさないよう別の空きテントに入った。

「はうはうどっぐ」は毛布ごと抱きかかえてテントの隅に寝かした。

自分のいた世界とはすこし異なる虫の音も気にならず、移動の疲れもあってそのまま寝てしまった。


---


寝苦しい。

まだ夜は明けきっていない。魔導ランプがまだうっすらとテントのなかを照らしている。

胸元に手をやると、なにかもふもふした手触りがする。これは耳?

そっと目を開けると、見たことも無い少女が僕の胸の上で寝ている。

隣に目をやるとよだれをたらした姫さまがいる。


よく働かない頭をフル回転させようと起き上がると、その少女には灰色の耳としっぽが生えていた。

そしてテントの隅にいたはずの「はうはうどっぐ」が居ない。しかしテントの入り口はしっかり閉じてあり、おまけに食い破った形跡も無い。

少女の手首にはどこかで見たアンクルがはまっている。腰につけていた皮袋をさぐるとアンクルが1つなくなっていた。


自分の車から双子があらわれた時点でおどろくことを(なるべく)やめていた僕には、この事態を飲み込むことなど造作も無い。


「はうはうどっぐ」が何かの力で人間の姿になった。

たぶんこのアンクルが関係している。


そこまで考えて、まだ寝足りないのを思い出し、少女を傍らに移動させ二度寝することにした。


1つ残念なことをあげれば、少女が全裸であったことをもうすこし考慮すべきだった。


---


朝。


ソネッタさんが起こしにきてくれた。

そこにはだらしない寝相の姫さまと丸くなって眠る全裸の少女。

僕は少女の尻尾をかかえて眠っていた。


「エイトさま、わたくしという妾がいながら…裸ということはもう味見されたのでしょうか」


かなりオーバーな演技でよよよと泣き崩れるソネッタさん。

その騒ぎで全裸少女と姫さまもおきたようだ。


少女は犬が伸びをするようなポーズをとり、足で頭をかこうとしてひっくりかえる。

全年齢的に大事な部分は都合よくしっぽなどでカバーされるので安心だ。


少女は起き上がると突然しゃべった。

「おはよう!リーダー、よくねむれた?」


「あ、ああ、大丈夫だ。ところで君はいったい何者なの?リーダー?」


「ここのむれのおすはいっとう。だからリーダー。きのうひろってくれた、もうわすれた?」


少女は自分の腕のアンクルをくるっとまわすと、全身が一瞬輝き、「はうはうどっぐ」に変化へんげした。

「はうはうどっぐ」には銀色の首輪がはまっている。後ろ足で器用に首輪をまわすと、少女の姿に変化した。

姫さまに負けず劣らずの平地なので目の毒ではないが、目のやり場にはやや困るので毛布で巻いた。


「ねているときにこれからこえがきこえた、いうとおりにしたらこうなった」


少女はアンクルを指差しながら説明をする。


姫さまはその様子をぼーっとしてみていたが、犬を飼ってもいいと約束した昨日の自分になにか文句を言いたそうな表情に変わった。

犬は犬でもメスイヌのほうだったとは。


とりあえず人型の「はうはうどっぐ」にありあわせの服を着せて朝ごはんの準備だ。


そういえば名前を聞いてなかった。


「ルティリナだ!よろしく!リーダー!」


ルティリナは群れの仲間を救ってくれたお礼を言いに来たという。

群れの半数が突然おかしくなり、街道に飛び出して僕たちに襲い掛った際、仲間を元に戻していたのを見ていたという。


別に迷っていたわけではなかったようだ。

そうはいっても「はうはうどっぐ」の言葉がわかる者はいない。


なんとかして伝えようと思っていたら真夜中にアンクルから声が聞こえ、現在に至るという。

別に洗われてしょげていたわけではないという。むしろ気持ちよかったのでまた洗ってほしいといわれた。


「リーダー、ゆうべはなんとうのメスをあいてにしたのだ?」


おもわずたべかけのパンを落とすところだった。


露天風呂から聞こえた女性の声。

これを僕がナニしてアレしてるのと勘違いし、リーダーはたくさんのメスを相手にできる強いオスだから、子孫を残すならここにいたほうがよさそうだと思ったという。


「あと1かいか2かい、きせつがめぐればルティリナもこうはいができる。それまではむれをまもるからここにおいてほしい。リーダーおねがいだ」


僕が露天風呂で作業中、迎えに来ていた群れの仲間にはすでに話してあるという。


僕と交配?

姫さまはパンをくわえたまま動かなくなり、ソネッタさんはニコニコしているし、テスラは敵意むき出しにしているし、マーガレットさんとフィリーは顔真っ赤だし。

双子はなるほどよくわからんという顔をして、パンをハムスターのようにかじっている。


もえはじっと僕を見つめている。その視線で僕の腐った心が焼き焦がされそうだ。


そんな勘違いだらけの狼少女が旅に加わり、2日目の移動が始まった。

やせいのはうはうどっぐを手なづけた勇者に新たな脅威が迫る!


---


8/19 typo修正しましま

勇者の蛮行により、つぎつと

勇者の蛮行により、つぎつぎと


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