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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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みたらしどらごん

逆鱗(の話題)に触れた勇者の運命は!

いつのまにかテスラのおしりに、竜のしっぽのようなものが生えている!


「あるじさま、危険です!「ザ・シード」を!」


テスラの殺気に気づいたのか、もえが髪留めを外してこちらに投げてよこした。いつものぽやっとしたもえとはちがう。


髪留めは一旦モップの柄に変わる。


「対象をドラゴン亜種と推定。ドラゴンマッシャー、レベル1で緊急起動します」


モップは一瞬光ると剣に変化し、その刀身にはチェーンソーのような歯が。いやこれはチェーンソーだ。

ご家庭用の電動チェーンソーにしか見えない。


目の前で光るチェーンソー。あまりの出来事にテスラは浴槽の中で固まっている。


「「ザ・シード」、危険は無い。元に戻って」


「命令を理解。待機モードへ移行します」

チェーンソーを髪留めにもどすと、もえを呼んでおかっぱ頭につけてあげる。


そのままもえをひざの上にかかえて、テスラが「帰って」くるのをまつ。

もえや「ザ・シード」がここまで反応するところを見ると、テスラは竜亜人の血が濃いのかな?


1分位してようやくテスラが回復した。


「あの、いまの武器は?すごくギザギザした刃が」


「秘密ということで」


「そうですか…」


テスラは残念そうだ。


「すいません、「逆鱗」のことを知っている方は初めてだったのでつい興奮してしまって。」


テスラのしっぽがもどっていく。ちょっとだけ触ってみたかったのはひみつだ。



ワイバーン一族の身体に代々伝わるという「逆鱗」。

一族以外にはこのことを知る者はほぼ居ないという。

竜亜人のウィークポイントであり、気心の知れた仲間にも決して触れさせない部分。場所はそれぞれ違うという。


その場所を教えるのは自分の配偶者だけという。


「わたくしの夫となる人にだけは教えられますのよ」


「だんなさまの特権ということですかー」


「ちなみにここにありますわ」


水着をずらして後ろを向くテスラ。

右の肩甲骨の真ん中あたりに、爪楊枝の先で突いたような赤い点が見える。


「いま、だんなさまにしか教えないと言ったのにどうしてです?」

もしかして違う地雷踏んだ?


はっとするテスラ。


「あ、あの、忘れてください!やだ、なにしてるのかしらわたくし。」

言葉がめちゃくちゃだ。

お風呂でのぼせたのか、真っ赤になってざぶざぶと出て行ってしまった。


水着に包まれた形のいいおしりがゆれるのを見送ると、ソネッタさんが山脈を浮かべながら近づいてくる。


「エイトさまはドラゴンテイマーでしたのね?このメイドもテイム(調教)してくださいませんか?」


ソネッタさんはたぶん無理でしょう。こちらが喰われます。

タイトルを「メイドに喰われた異世界勇者の末路」に変えないとならないです。

そっちのほうが面白そうだね。と遊び人精霊の声が聞こえる。


双子とお湯かけ合戦していた姫さまが「しっぽ!しっぽが!」と何か言っている。

姫さまの三色団子精霊からは「「「みたらしどらごんー」」」と不名誉な言葉が聞こえる。


---


消灯時間。


先ほどまでよっぱらいの奇声がこだましていた迎賓館の廊下は静かになった。

あと数日は貴族が泊まるという。まぁタダではないので早々に引き上げる貴族もいるようだ。

しかし、いまのところは空き部屋は無く、テスラも僕たちと同じ部屋で寝てもらうことにした。


ベッドは別ですよ!


今夜はほんわかメイドソネッタさんの襲撃はなさそうだ。用心に越したことは無い。


傍らに姫さまを配置し、ベッドに横になりまどろんでいると魔導照明に浮かび上がるシルエット。尻尾が見える。


「テスラさん?」


「応にして否、しばしこの娘の身体を借りている。」


低くうなるような声が頭の中に直接語りかけてくる。


「我はこの娘の祖先。すでに名前など忘れた。まずは子孫の無礼をわびよう。」


口すら挟めない威圧感が出ているので黙ってうなずく。


「このようなことを頼めた義理ではないが、この娘が逆鱗を教えたそなたになら任せられると思いやってきた。」

「わが領地の竜脈に、禁制の魔果実のなる植物を育てた者を探し出してほしい」


「魔果実?ですか?」


「魔果実はゴーレムやホムンクルスに埋め込む魔導核の原料。これを大量に作りどこかに持ち去った者がいるのだ」


「いまは洗脳が解けておるが、この娘の父親は魔果実を持ち込んだ人間に操られ、土地を提供した」


それならむちゃくちゃな開墾もうなずける。


「そのものを探し出し、魔果実をすべて処分してほしい。あれは戦争の火種になるかもしれぬ」


「もう時間が無い。この娘を頼んだ。そなたに惚れているようだかr」


テスラは操り人形の糸がきれたようにこちらに倒れこんでくる。


勢いあまって、ベッドに押し倒される感じなってしまう。しがみつかれて身動きが取れない。


なんとかふりほどいて左手に姫さま、右手にテスラを配置してそのまま眠ることにした。


しっぽ?触りましたよ。むかし、田舎のおばさんに触らせてもらった高級鰐皮ハンドバッグみたいな感じでした。


※あとで大変なことになります。


---


何か息苦しい。


ふと目を開けると、ソネッタさんが僕の上で寝ている。


「寝る場所がここしかなかったのです。エイトさま」


あまい香りで頭がくらくらする。考えるのがおっくうになってしまい、ソネッタさんの頭をなでなでして、そのまま寝なおした。


---



あたらしい朝が来た

修羅場の朝が

おどろきにまなこをひらけ


絶妙のタイミングでやってきたアイリスとマーガレットさん。

朝稽古の約束をしたよね。


「うわーーーーーーー!」

「きゃーーーーーーー!」


うわーじゃない!アイリスさん、学習しようよ!

マーガレットさん、いつも見慣れているのに!

ああ、テスラがいたんだ。


ねぼけて飛び起きるテスラ。髪の毛はぐたぐたで寝巻きがはだけているようだ。

僕はソネッタさんの山脈で窒息して声が出せない。

姫さまはおしっこをがまんしているのか、僕の手を股間にはさんであやしい動きをしている。はやくトイレにいってらっしゃい。

となりのベッドでは双子ともえ、フィリーがおきだし、惨状を目の当たりにしてぱちくりしている。


「お兄さん、夕べはいったいなにを?」


「いえ、なにも。誓って」


フィリーに言われるとダメージが大きい。


---


迎賓館の庭。

朝ごはんの前に朝稽古である。

マーガレットさんとテスラが軽く手合わせをしている。

二人とも騎士団が練習に使う服を着ている。

テスラの金髪ドリルは自己修復機能があるのか、起きた直後はあんなにぐちゃぐちゃだったのに少し目を離した瞬間に戻った。


夕べ、テスラに乗り移ったと思われる祖先の件は一応話してみた。

テスラはまったく覚えていないという。

しっぽを触ったことも包み隠さず話した。あとでお話がありますということだった。

ちょっと目が怖かった。


絶賛おとまり中の貴族が珍しそうに周りを囲んであれこれと話をしている。


ドラゴンの血は伊達ではないようで、テスラがたまにマーガレットさんをいなすような動きもある。

しかし最終的にはマーガレットさんに軍配が上がる。


強さ的には城内でマッスルキングさんの次くらい(といっても、ものすごい差があるけれど)のマーガレットさんにあれだけ肉薄できるのだから、相当の実力だろう。


この壮絶な打ち合いをみていた貴族のほとんどは、自分の娘や息子の売り込みを断念したようだ。

テスラほどの強さを持った逸材は残念ながら晩餐会で見た中には居なかった。

エル腐のおねーさんは違うベクトルだけど。あの人の魔導はちょっと見てみたい。


僕はアイリスのお怒りを買って、木刀を受けるお仕事の最中だ。

「この!おんな!たらし!が!ここに!くる!たびに!ふえて!いる!の!は!どういう!」

(!で打ち込まれています)

フィリーも頭数に入っているんだろうか。


前ほど暴力的ではないが、その代わり一撃はかなり重い。胸元はさらしを巻いているのか窮屈そうだ。

そんな観察ができるくらいには余裕がある。

メガゴーレムとの戦いは無駄ではなかったようだ。

姫さまの精霊も僕だけに聞こえるように「「「たらしたらしー」」」と声をかけてくる。

三色団子め!まぁ君らが居ないと僕は死んでしまうからその言葉は甘んじで受けるよ。

団子だけに甘い(ry


「この!暴れん!」


「おっとそれは言ってはならない!」


アイリスの後ろにすばやく回りこむとさっと羽交い絞めにして口をふさぐ。


思わず「猛獣愛撫もふもふ」を発動させるところだった。


(それだまってて。はずかしいから、貴族の皆さんもいますし)

小声で耳打ちする。腐敗兵士を一瞬で黙らせたという話(実際は筋肉ローブだ)は屋台村で尾ひれがついてかなり広範囲に伝播している。

「もがもももごが もごも!(本当のことじゃん!)」


そんなこんなでアイリスがあばれていると、シャツの隙間からほどけたさらしが落ちる。

羽交い絞めにしているので胸元が強調される。やっぱりボリュームがあるな。


「このどへんたい!すけべ!」


真っ赤な顔をしたアイリスは、さらしを拾うとシャツの上から胸を押さえて迎賓館の客間に入っていった。

姫さまがあわてて後を追う。

ソネッタさんがにこにこしている。あとで何か言われそうだ。


マーガレットさんとの打ち合いの後、休憩していたテスラが僕に声をかける。


「エイトさん、わたくしとお手合わせねがいますか?ワイバーン一族の掟により女性の尾に触れた男性は求婚の意思があるとみなし、その強さを女性に示す必要があります」


それって逆鱗より怖いんじゃない?


ワイバーン一族の伝統「しゃるうぃーだんす(求婚死愛)」である。


勇者の運命はいかに!


しっぽのおさわりは致命的だったようです。

しらないいきものをむやみに撫で回すのはやめましょう。


---


掲載開始からちょうど1ヶ月です。

いつも読んでいただきありがとうございます。

ノーエクステンド、ノーボム、残機なしで書き続けています。

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