女神と魔獣
ようやく勇者のいる異世界についての概略が入ります。
説明だけでは物足りないので山脈と平地も出ます。(謎
姫さまは寝言でも何かを詠唱していた。
その度にしがみつかれている腕がなまあたたかくなるので、姫さまがお漏らししたのかとあわててまさぐったりもした。
肌触りのいいシルクっぽい手触りでした。
そんなこんなで、姫さまの熟睡を確認し、ベッドを抜け出す。
もえも双子もすぴすぴと寝息を立てている。
食堂ではほんわかメイドさんがお茶の準備をして待っていてくれた。
目つきのするどいメイドさんはゴーレムで襲い掛かってきた犯人を追ってアトレーンという国へ行ったと聞かされた。
目つきのするどいメイドさんの留守中、別のメイドさんがついてくれることになった。
明日の朝から来てくれるようだ。
ふと、この世界の情勢にまったく無知な自分に気づき、ほんわかメイドさんによるインスタント講習が始まった。
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ライスリッチフィールドを中心に、サンダッティア、アトレーン、グランディオーラ、タングラート。これらの同盟を結んだ国から成り立っています。
サンダッティアは酪農、アトレーンは魔導道具の生産、グランディオーラは鉄鋼と鉱物資源の採掘、タングラートは漁業と造船を主な生業としています。
ライスリッチフィールドは農業が盛んですが、同時に同盟国すべてを覆う「魔導結界」の維持と「預言書」の管理という重要な役割を担っています。
はるか昔、人同士の争いが絶えなかったころ、突如として発生した怪物がいました。
命を持たず、魔力の沈殿物が寄り集まったような物質で構成された怪物を「魔獣」と呼んでいます。
「魔獣」は人々を襲い、村を破壊し、田畑や水を汚染し、ありとあらゆる災悪を撒き散らしました。
ある程度の訓練をつんだ人であれば単体の「魔獣」を倒すことができましたが、日ごとに数を増す「魔獣」には太刀打ちできませんでした。
この「魔獣」の群れに立ち向かい、ほぼ全域で沈静化させたのが「女神」と呼ばれた冒険者とその仲間でした。
もちろん本当の神様ではなく、その容姿が異界の女神を連想させたといわれています。
「女神」は「預言書」に従い、短期間で国中を覆っていた魔獣を殲滅したといわれます。
「女神」とその仲間は「魔獣」を寄せ付けないための「魔導結界」をつくり、その維持方法を当時のライスリッチフィールド国王に伝授し、いずこかへ立ち去ったと聞きます。
結界の外側はいまでこそ数が少なくなりましたが、魔獣が徘徊する危険地帯です。結界の崩壊は国の危機を意味します。
この結界の維持には特別な魔力が必要であり、それには魔獣を倒した際に落とす「魔導結石」を必要とします。
さらに結界の外側には高レベルの魔獣の住処である迷宮、古より存在する遺跡が点在し、そこで冒険者たちが戦い、戦利品として魔導結石を持ち帰るのです。
国は貴族を通じて国民から税を徴収し、結界の維持に必要な魔導結石を冒険者から買い取ります。
この買い取りの仲介をし、冒険者を束ねるのが「ギルド」と呼ばれる組織で、魔獣討伐やアイテム収集の斡旋、魔導結石や戦利品の買い上げ、戦闘能力の認定などを行っています。
冒険者は得た収入で武器や防具、食料や衣料品などを買い、交通手段となる馬車の移動でもお金を使い、街道筋の町が潤い発展します。
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なぜか魔獣が地域振興券に見える。
「ひとつ疑問ですが、なぜ軍隊が動かないのですか?」
「今のところ、出現する魔獣は少ないものの、広範囲にわたっています。」
「兵士を訓練し数人ずつ派遣するより、冒険者に討伐依頼をしたほうが安上がりなのです。」
「もちろん緊急度の高い場合は軍隊を出すこともありますが、ここ数十年の間は皆無です。」
「あとは「女神」について何か文献などは残っていないのでしょうか?」
「城内にある図書館に伝記という形では残されているようです。エイトさまがご覧になりたいとおっしゃるのでしたら手配をしておきましょう」
なにか耐え切れなくなったのか、ほんわかメイドさんは立ち上がると僕の後ろに回り、背中に抱きついてきた。
山脈が変形するほど強く押し付けられる。
勇者の骨なしチキンハートの回転数は10000rpmに達しようとしていた。
「通路の件は申し訳ありませんでした。私共が監視していながら後手に回ってしまい危険な目にあわせてしまいました。」
「なにか罪滅ぼしをさせていただきたいのですが」
斜め方向のお願いをしてみる。
「本名を教えていただくわけにはいかないでしょうか?」
「それは・・・困ったことになります。主にエイトさまが。知らぬがなんとかです」
「それでは罪滅ぼしの件は保留にしますね」
「どこまでじらすおつもりですか・・・」
ほんわかメイドさんはメイド服をパージするとネグリジェ姿になった。
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しかしなにもおこらなかった!
左側にシルフィール平地、右側にほんわかメイド山脈を抱いて寝ることになった勇者。
決して男としてダメというわけではなく、もんもんとしたまま眠りに落ちた。
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見覚えのある真っ白な空間。
目の前にはメガネロリ(「預言者」)がいる。
誰かと話をしているようだ。
「メガネロリちゃん、ああ1週間経ったのか・・・ひなちゃん!どうしてここに!」
その横顔は見覚えのある、会社の後輩の姿。
勇者は頭の中が真っ白になる。
まさかの後輩出現に戸惑う勇者エイト。
おもらしメガネロリの思惑とは。
次回は番外編の予定です。(たぶん




