ライフ・イズ・ショーター
勇者の目をもってしてもどちらなのか分からない!
勇者に違う意味の危機が迫る!
「お兄さんたち、大丈夫でした?さっきものすごい音がしてびっくりしちゃった。」
彼?は12歳くらいだろうか。栗色の髪の毛を肩くらいまで伸ばして、濡れ髪がいろっぽい。くりくりとしたとび色の瞳がひとなつっこい雰囲気をかもし出す。
水着のトップスが無いから、たぶん男の子だよね。すこし胸元がふっくらしているけど男の子だよね?
顔立ちは中性的で身長も低め、腰のラインは非常に女の子っぽい。水着が包むおしりは完全に女の子だ。
じろじろとなめまわすようにみてしまった!
「お兄さん?」
「ああ、ごめん、ちょっとぼーっとして。さっき頭打ったせいかな?」
すいません、ガン見してました。おしりのあたり。
とりあえず冷静になるためとほこりを落とすために水をがーっとかぶる。
「たいへん!よく見たらあちこちあざだらけだよ!傷の手当をするからお兄さんそこのベンチに座って!」
彼?は僕を浴室にある休憩用のベンチに強引に座らせると、僕の頭を抱きかかえるようにして詠唱を始める。
胸元が目の前に!すごいいいにおいがするんですが。なにこれ。
頭の辺りからやわらかい力が流れ込んでくる。
「魔導の修行中でまだ簡単なヒーリングしかできないけど、どうかな?」
はにかむような笑顔で僕の顔を覗き込む。
「あ、ありがとう。だいぶ楽になったよ」
しかし勇者はハートに致命傷を負ったようだ。いやライフドレインかもしれない。
「よかった!じゃそろそろあがりますね。お兄さん、お大事に!」
もっと早くあがるつもりだったのだろうに、悪いことしちゃったな。
彼?は男子用の更衣室に消えていった。
隣に立ったほんわかメイドさんが耳元で「エイトさまのご趣味は幅広いのですね」とボソっとつぶやくと、にやにやのとまらないアンストッパブル双子を連れて洗い場にいってしまった。
勇者の骨なしチキンハート唐辛子ソース和えの出来上がり!
となりにもえが来て「あるじさま、お背中をながします」と洗い場に連れて行かれる。
姫さまは自分の胸元とさきほどの彼?を見比べていたようだが、もえの行動にあわてたのか、僕についてくる。
気がつくと、湯浴みの客は半分くらいに減っていた。
もえと姫さまが僕の背中を半分づつ洗っている。
姫さまはなにか言おうとしている。
背中を洗うのをやめると、僕の前にしゃがみこんで無理やりにーっと笑う。まださっきの恐怖が残っているようだ。
「勇者さま、もえちゃん。さっきはありがとう。あとでシースとレーネにもお礼を言わないとね。」
襲われたのは僕だけど、結果的に姫さまも救ったことになるのか。
双子はほんわかメイドさんに翻弄されていた。ちょあーとかえいあーとか聞こえる。何かの戦いですか。
「まぁ、ほとんどシースとレーネ、もえの活躍だったけどね。」
僕は頭をかきながら照れ笑いする。
「もえをもっと早く呼んでくださればお怪我をなさらずに・・・」
もえは僕の背中にしがみついている。
背中には壁に打ちつけたときのあざが残っていた。さっきの彼?のヒーリングでかなり良くなっている。
姫さまはあざになったところをやさしくなでてくれる。
「勇者さま、今の私は勇者さまの傷を癒すこともできません。もっと魔導の勉強をして勇者さまのお役に立てるよう」
その言葉をかき消すようにいつのまにか超巨大山脈が目の前に。
「シルフィール、「預言書」のことわざに「善は急げ」とあります。明日から特訓しましょう。」
「おかあさま!いつからそこに!」
「ないしょ!」
お風呂に現れたオパール王妃は姫さまの手と僕の手を取って胸元に引き寄せにっこりと微笑んでいる。
水着ごしだけど超山脈の谷間に吸い込まれる姫さまと僕の手。
そしてヒーリングの詠唱を始める。王妃のイヤリングが光るとあたたかい力が流れ込んでくる。
彼?のヒーリングもすごかったけれど、オパール王妃のヒーリングはその何十倍もすごい。
あっという間に痛みが消えた。
「シルフィール、いまの感覚を覚えておくのです。魔導は力だけではありません。心です。」
そう言い残すと、オパール王妃は山脈を揺らしながらお風呂を上がった。
姫さまはなにかを唱えて反復している。
姫さまが魔導の特訓をするのか。
僕もアイリスといっしょに剣術の稽古をしないと。
もえがあわだらけだった僕の背中をながしてくれた。
もえと姫さまもわしわしと洗ってあげる。
「っくしょん!」
さっきのほこりがまだ鼻の穴に入っていたのか、急にくしゃみが出る。
「あるじさま、かぜをひかれたのですか?」
「「ひえたのなら あったまる」です」
湯攻めをくらう勇者。姫さまも参加して大変なことに!
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今日は薬湯につかってみる。
まだ擦り傷が完全に治っていないのでしみるしみる。
「エイトさま、お風呂のあと少しお話してもよろしいでしょうか?」
あとから入ってきたほんわかメイドさんが狭い浴槽の中で僕に寄りかかりながら耳元でささやく。
続いて入ろうとしていた姫さまの髪の毛が逆立っている気がする。
「姫様のダーリンを取って食べたりはしませんのでご安心ください。」
姫さまは真っ赤になって水風呂に行ってしまった。
「あまり姫さまをじらすのはだめですよ?」
「じらしているつもりは無いのですが、姫さまのまっすぐな気持ちにどう答えてあげたらいいのか」
また「預言書」のあの光景が脳裏をよぎる。姫さまのおなかのふくらみが何度も繰り返し再生される。
「エイトさまどうなされたのですか?」
しどろもどろになりながらぜんぜん違う話をする。
「ああ、なんというか、さっきのゴーレムを思い出してしまって」
「お話したいのはそのゴーレムの件なのです。姫さまが寝付いてから食堂でお話をします」
そういえば目つきのするどいメイドさんの姿が見えない。
どこかに出かけたのだろうか。
※タイトルに深い意味はありません(たぶん)




