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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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メテオイグナイター

ありがちなブービートラップにまんまとかかってしまった勇者の運命はいかに!

地下通路の賊よけのトラップに閉じ込められる。

通路は20mほどの空間を残して前後を完全に遮断された。


また、どこからか声が聞こえる。


「大臣に渡した安い人形では役不足だったか。本来なら使いたくは無かったが、うわさどおり世界を救うほどの力をもつ勇者を倒せれば、ほかの何にも負けないだろう。世界を救うのはこの俺だ。」


「召喚魔導、メガゴーレム」


数メートル先の床が光り、異形のものが姿を現す。身長は3mくらいだろうか。

先ほどの土くれ人形とは異なり筋骨隆々の肉体。なんというか形容しがたい悪趣味な彫像である。

腕は4本、うち2本は胸と背中に1本づつ生えていて、それぞれに物騒な得物を持つ。顔は4方向にありぐるぐると回っている。死角はなさそうだ。


対するこちらは生身の上になまくら改1本である。


いつの間にか姫さまの精霊が出てきて明滅を繰り返す。危険だと聞こえる。


シルフィール姫ががくがくと震えている。あのゴーレムから何か威圧する力が出ているのだろうか。

姫さまを通路の柱の陰に座らせ、ポケットに入っていたすまほーちゃんを預けるとゴーレムと向き合う。


迷っている暇は無い。


相手の力が分からない以上、隙を突くしかない。

「ジャッジメント・バーニングフラッシュ!」


ガイン!


予想通りというか止められた。しかし、すこしだけのけぞらせることはできた。


「ジャッジメンド・デス・レイ・セカンド!」


なまくら改をめちゃくちゃに振りながら、相手に切り結ぶ。セカンドとつけたのは前回のは振り回すだけだったからだ。深い意味は無い。

相手は正面にある3本の腕で器用によける。一応押せるものの、決定打には欠ける。

ちなみに後ろの1本からも攻撃が来る。


剣術も何も無い自分にはこれ以上の攻撃はできそうも無い。


さっきの声が聞こえる

「メガゴーレムのウォーミングアップはこれくらいにしますか。」


ゴーレムの得物がうなりを上げて襲い掛かる。

「うおっ!」

弾き飛ばされ、壁に背中を打ち付ける。壁のほうは今の衝撃でひびが入っている。

結構痛い。これは連続しては受けられない気がする。


「ほほう、今の一撃でも耐えられますか。もうすこし出力を上げてみましょう。」


何度かゴーレムの攻撃を受ける。さすがに受けきれなくなってきて何発かもらってしまった。


ばきっ!


ついに耐え切れなくなったなまくら改が半分になった。


「剣が無くてはどうしようもないですね。剣があっても同じでしょうが。そろそろ死んでください。」


たぶんここに来て2回目の危機だ。

ぐるぐると思考が空回りする。姫さまのだらしない寝顔や双子のにやにやした顔ともえの笑顔が走馬灯のように。


そうだ。


「姫さまの精霊!シースとレーネに伝えてほしい。もえをつれてきて、と。」


姫さまの精霊が一瞬まばゆく輝くと、光の玉になった双子とモップの柄をたずさえたもえが現れた。

「「マスターおまたせ!」です!」


「あるじさま!」


「シース!レーネ!もえ!」


「もえの力を貸してほしい。」


「はい!あるじさま」


もえはモップの柄を僕に手渡す。

「ふははははは、召喚魔導で何を呼んだのかと思えば幼子一人。気でも違いましたか。そして、そのような棒切れで俺のゴーレムが倒せるとでも。」


モップの柄もとい、「ザ・シード」から機械的な声が聞こえる。

「殲滅対象を確認。低品質人造ゴーレム1体。推奨形状「メテオイグナイター」最弱レベルで起動します。なお殲滅対象に対して攻撃力が過剰な為注意してください。」


モップの柄は光り輝くと、短めの黄色い柄に不釣合いな大き目の赤いハンマーがついた得物に変化した。

しかし妙にプラスチックな感じである。


「ぷきゅー。」


いわゆるぴこぴこハンマー。


「おー?」

われながらまぬけな声が出た。

空気が凍りついた。


壁の向こうにいると思われる人物は笑いを押し殺しているのか黙ってしまった。姫さまは柱の影からえっ!という顔で見ている。

いつの間にか光の玉から幼女スタイルに戻った双子はものすごいわくわくしている。


「「マスター!ぬるぽかいじんに、がっ!とやって」です!」


「あるじさま、形に惑わされないでください!それでも城壁の数枚くらい簡単に突き破れます。力をいれないでそっとでいいです。」


もえが珍しく険しい表情になっている。たしかにぴこハンとは思えない力を感じる。


頭の中に安全装置を解除する起動ワードが流れ込んでくる。


「わが前に立ちふさがるものに鉄槌を下せ!メテオイグナイターエナジードライブ!」


「イグニッション!」


ぴこハンを軽く振り下ろすと、ハンマー部分からセーフティボルトがリリースされ、視覚化された握りこぶし程度のエネルギー体がゆっくりと前方へと飛び出す。



「あるじさま、爆風が来ます!物陰に隠れてください!」


僕はもえと双子をかかえるといそいで姫さまの隠れていた柱の影に避難する。


「きゅいーーーーーん!どーーーーーーーーーーーーーーーんどんどんどんどんどこーーーん!」


エネルギー体は僕たちが隠れると同時に急加速。

メガゴーレムを巻き込み一瞬で粉みじんにすると、地下通路の分厚い隔壁に人が通れるほどの丸い穴をあけつつ何枚もつきぬけてようやく収まった。


「殲滅対象の沈黙を確認。待機モードに移行します」


ぴこハンは髪飾りに戻る。


「もえ、ごくろうさま」

髪飾りをもえにつけてあげる。


「シース、レーネ。ありがと」


もえと双子をぎゅっとしてあげる。


「姫さまの精霊にもお礼しないと」


姫さまの精霊はすでに引っ込んでいた。



突き破った隔壁から立ち上る埃がおさまるのを待って壁の向こうにいたらしい人間の姿を探したが、どこにもいない。


ただ、ゴーレムを操っていたと思われる魔導装置を見つけた。

腰の抜けた姫さまをお姫様だっこして、双子ともえが転ばないよう気をつけながら隔壁をぶちぬいた先にある迎賓館に向かった。

玄関ホールは地下通路から粉々になった隔壁のかけらが噴出して散乱、かなりの騒ぎになっていた。

そういえばまだ貴族の皆様がご宿泊中でした。


国王さまをはじめ、マーガレットさん、魔導士のサバンナさん、シルビアさんに騎士団のみなさんも駆けつけてくれた。


簡単な現場検証が行われた。

ゴーレムに襲われ、通路を壊してしまったことを謝る。


警備主任でもあるマーガレットさんが青い顔をしている。

「あの隔壁は操作するのに特別な権限が必要で、簡単に動かせるものではありません。」

「それにしても勇者様の力は・・・魔導士数十人がかりでもやぶれない特殊な材料で作られているはずなのですが」


通路の件は一応おとがめなしになったが、もえは破壊力がありすぎるので、再度の襲撃に備えて「テイルズオブドラグーン」を持ち歩くのを許可してもらった。


そして逃げた大臣は捕まらず、今回のゴーレムの犯人もたぶん逃走。

ゴーレム犯がどこから侵入したのかも調査中という。


異形のゴーレムはシルフィール姫にあずけたすまほーちゃんが勝手に撮影した何枚かの写真を見てもらった。

(いつのまにか自動撮影機能がついていた。)

サバンナさん、シルビアさんも見たことの無いゴーレムだという。

捜索隊はすぐに編成するというが、出発は明朝になりそうだ。


ずいぶんと遅い時間になってしまったが、僕や姫さま、双子やもえ、みんなほこりまみれになってしまったのでお風呂に行くことにした。


「エイトさま、お風呂にしますか?それとも?」


いつのまにかほんわかメイドさんが横にいて、僕の腕にからまっている。ほんわかメイドさんに名前で呼ばれるのは初めてだ。


姫さまの目からビームが出ている。怖い。


---


かぽーん。


迎賓館の大浴場である。


今日のバミューダは青白ストライプである。しまぱんではなく縦ストである。


がらがらがらg


学校のプールみたいな光景が広がる。


迎賓館の宿泊客が多く、時間を区切って入浴をしてもらってるところで、今は最終組だという。

貴族に仕える子供たちの時間だ。ほとんどが女の子。だと思う。


幼いうちから貴族に仕えるのは農村での口減らしの意味もある。

男の子は剣術や魔導を見よう見真似で習い、大人になって貴族の警備などに取り立ててもらえればそこそこの給金がもらえる。

女の子はそのまま住み込みの家政婦になるか、そのまま4男や5男と結婚するかいろいろである。


男子更衣室からほこりで真っ白になったやつが入ってきて、一瞬浴場が静まり返る。

女子の更衣室からも髪の毛が真っ白な人がでてくる。


「お兄さんたち、もしかしてさっきの爆発に巻き込まれたの?」


ふいに後ろから声を掛けられる。

ついにもえの力の片鱗が!

そしておふろで!

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