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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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勇者と呼ばれる者(中編)

勇者の行くところトラブルが続きます。

城の前は押すな押すなの大混雑になっていた。

いつの間にか城の前の石柱に色とりどりの横断幕がたくさん設置され、花火が打ち上げられている。


「「ますたー、あれはたいくうほうかによるだんまくなの?」です?」


「シース、レーネ。あの程度の弾幕ではサンデーシューターすら幻滅してしまう。もっとこうカツカツのレーザー砲台をマップいっぱいにだな」


もえの頭の上に?が見える。


よく見たら、髪飾り「ザ・シード」が変形して「?」になっている!


「もえはかわいいなぁ」


「?」が「照」になった。


深く考えないようにしよう。



---


「勇者様!準備が整いましたのでテラスに出ていただけますか?」


マーガレットさんが迎えにきたので、城のテラスへと移動することに。

当然、防具「深緑の慈悲」を装着。双子ともえは僕の後をぽてぽてと歩いている。


たくさんの民衆がテラス前に集まり、国王さまの演説が始まっていた。魔導拡声器により遅延も無く広範囲に声が響くようだ。


「皆もすでに聞いていると思う。先日、わがライスリッチフィールド国に「預言書」に示された勇者を招いた。」

「来る世界の災悪に対し、勇者と手を取り、国民は一致団結して立ち向かってほしい。」


「勇者エイト、さぁ、皆の前に」


テラスに出る巨大な防具。

背中の「テイルズオブドラグーン」をはずし、天高く突き上げる。

もえのときのように魔力を流し込むと、刀身がまばゆい光につつまれた。

ただ、手のひらが熱くなる様な感覚は無い。


われんばかりの喝采。


もし自分に力があり、それで世界を救って民衆からの支持を得るのも悪くは無いと思った。

ただ、僕はまだ何もしていない。何が出来るかもわからない。

気恥ずかしいので窒息しそうな兜をかぶり、モニター越しにみんなを見ていた。



「きゃーーー!」

突然あがる悲鳴。

会場の隅にあった石柱が突然倒れ始めた。

異変に気づいた民衆が避難を始めた。しかし、大混雑により思うように身動きが取れない。

テラスから柱までは百メートル以上。走っても間に合わない。


双子がおもむろに防具に触れる。

「「マスター!ちょうかそく」です!」


バイザーに[超加速準備完了]の赤文字が出る。ハイパーみたいなものだろうか。

躊躇している暇は無い。


「よし!超加速!」


掛け声と共に視界が狭まり、世界が伸張する。ただ一点に向けて空間を「跳躍」した。


「せいやっ!」


ゼロコンマ数秒で柱の下まで飛び、高さ十数メートル、一抱えほどある石柱を押さえる。


倒れかれた麩菓子を戻すくらいの手軽さで柱を直立させ、「テイルズオブドラグーン」を添え木にして、横断幕をつるしていたロープを巻きつけて柱を一時固定する。

国宝を添え木にするのもどうかと思ったけどほかに手が無い。

そうこうしているうちに兵士や魔導士が集まってきて、土系の魔導で柱を固めたり群集の避難誘導を始める。

ふと、地面に座り込んでふるえているわん娘と目があった。


「リーナ?」


兜を後ろに跳ね上げ、リーナに手を伸ばす。幸い怪我は無いようだ。


「勇者さま!」


リーナをそっと抱き上げると、リーナは姉の姿を探す。

赤い髪を振り乱してアイリスが走りよってきた。


抱き合って無事を確かめ合う姉妹を確認して、


「アイリス、あとは頼んだぞ」


柱の倒壊の危険はなくなったようなので「テイルズオブドラグーン」を回収すると、さっきいたテラスへと「飛んだ」


テラスにいた国王さまをはじめ、近くにいた群衆も何が起こったのかまったくわからない様子だった。

防具を着た勇者が一瞬消え、柱を押し戻し、また何事も無かったかのように同じ場所に立っているのだから。

双子ともえだけは知っているようだった。


「国王さま、そろそろ赤竜車を出しましょうか?」


「あ、ああ。たのみましたぞ勇者殿。先ほど一瞬お姿が」


「たぶん「深緑の慈悲」の力だと思いますが詳細は不明です!」


双子が「「ねー!」です!」と言っている。


国王さまが城の前に移動する間に赤竜車を取りにいく。


双子ともえは目つきのするどい改め、目が点になっていたメイドさんにまかせ、シルフィール姫とマーガレットさんを連れて迎賓館の裏手に回る。


「勇者さま、先ほどの技はいったい・・・」

マーガレットさんがものすごい真剣な目つきになっている。

「「超加速」といいます。おそらく「深緑の慈悲」に備わっていた力だと思います。」


たとえ双子の魔改造であったとしても言えない。国宝いじっちゃうとか無いだろう。


---


迎賓館の裏手は誰かがうわさを広めたのだろうか、めずらしい「おもちゃ」を一目見ようと、貴族や豪族が集まっていた。


マーガレットさんとバラの騎士団のみなさんに人払いをお願いして車を出す準備をする。


車に乗ろうとしたら、防具から張り出していた防弾プレートの類がひっこんで、非常にスリムな形に変わった。

これも双子の(ry


マーガレットさんは騎士団の人たちが用意した馬に乗っている。真っ白な毛並みの馬は王子様にぴったりである。

実際、マーガレットさんには同性のファンが多いらしい。


姫さまを後部座席に固定する。3回目ともなればだいぶあやしい目つきも落ち着いてきたようだ。


馬無しで走る車は赤竜の亡霊が引いていると誰かが広めたらしく、竜の姿を探しているのか車の前のほうを注視している人が多かった。


伝説の類は又聞きで出来るんだろうなぁと勇者は改めて思いました。


マーガレットさんに先導してもらい、城の前にある車寄せに赤竜車を停める。


護衛の兵士に脇を固められ、国王さまとお妃さまが姿を見せる。

車から降り、ドアを開けてお妃さまはシルフィール姫の隣に、国王様は助手席に。

我ながら、この様子は絶対おかしいだろうと思いつつ、作業を進める。


「国王さま、そういえば道順を聞いていませんでした。」

「マーガレットにまかせているから、後ろをついていってほしい」


バラの騎士団に護衛され、おかしな大名行列が形成された。


プラグがかぶらないよう、すこしアクセルを多めに踏んで進む。


「フォン!フォン!」


当然空ぶかしになるわけで、「赤竜の咆哮だ!」とか「あんなおそろしい乗り物は見たことが無い!」と好き勝手に言われている。


国王さまは国民に向け、にこやかに手を振る。


ここに集まっているのは「預言書」にいい感情を持っている人ばかりではない。

城からすこし離れた場所に来ると、異色の団体が占拠していた。

「預言書否定派」である。


身なりはわざとらしくぼろぼろであり、血色のいい顔をして手に手にプラカードをもってこちらに罵声を浴びせる。

「勇者に血税を使うな」「勇者いらない」「勇者帰れ」である。

いや帰れないから!


ここだけは群集からすこしコースを離してあり、万が一に備えて重装備の兵士まで配置している。


そんなよろしくない群集の前で誰かが大声を出している。群衆に向けて、だ。


「勇者さまはみんなをたすけてくれるの!さっきもみんなをたすけてくれたの!」

リーナくらいの背格好だが猫耳の女児だ。リーナは犬耳のわんだ。


ちなみに勇者はいぬみみもねこみみも平等に愛する。かわいいは世界を救う。


「邪魔だ!どけ!小娘!」


主犯格のような醜く太ったおっさんが出てきて女児をどかそうとしている。


「あっ!」


体格差ゆえ、太いおっさんが軽く払いのけた猫耳女児が車列の前に弾き飛ばされてうずくまる。


もともと止まりそうな速度で走っていたのですぐに停止できた。


「国王さますいません、ちょっと行って来ます」


返事を待たずに車を出て、先導していたマーガレットさんに声を掛ける。


「しばらくの間、国王さまの警護をお願いします」


車列の前に倒れ付していた猫耳女児を抱き上げ車に戻り、自分のひざに乗せて、マーガレットさんに合図を送りまた走り出す。


この間、わずか十秒あまり。


あの反対派に何かいってやりたかったけれど、ここで止まっていたら国王さまの身が危険だ。

当の反対派は赤い乗り物から突然いかつい防具が出てきて女児を回収し、そのまま戻るのを唖然とした表情で見送った。


シルフィール姫の顔つきが怖かったけれど、緊急事態なので許してほしい。


王妃さまはそんな姫さまの様子をにこにこしながら見ている。


城の周りを埋め尽くした人たちの間を抜けてぐるっと一周してお披露目は終了した。

城の前で国王さまと王妃さまをおろし、そのまま迎賓館の裏へと戻る。


---


まだ目を覚まさない猫耳少女を抱えて迎賓館の客間へ向かう。

シルフィール姫の表情が怖い。


「姫さまもあとでだっこしますから」

「勇者さま、そうじゃなくて!」


捨て犬や捨て猫を拾ってくる子供をしかる母親のような目で僕を見る姫さま。


ほんわかメイドさんが


「勇者さま、今日はおつかれ・・・あの、勇者さまはそのようなご趣味、いえ、獣人のお子様にご縁があるのでしょうか」


いまものすごく言葉を選んだ気がする。


猫耳女児をソファーに寝かし、先に戻っていた双子に防具を解除してもらう。


もえが水を持ってきてくれた。


「あるじさま、もえは今日なにもできませんでした。せめて、おみずを」

「ありがとうもえ。助かるよ」


頭をぐりぐりしてあげる。


「シース、レーネ、さっきはありがとう」


頭をわしわししてあげる。


「シルフィール姫もごくろうさま」


姫さまの頭もマッサージの刑にする。


猫耳少女が目を覚ましたようだ。


「ここは・・・?」


きょろきょろと辺りを見回し、僕と目が合うと彼女の瞳孔はすうっと縦長になる。やっぱり猫っぽい。


「ゆうしゃさま!」


「預言書否定派」は反対することに執念を燃やす人の集まりです。

何かほかに目的があるわけではないので、説得など無理です。


猫耳女児を拾ってしまった勇者に新たな火種が!


2014/08/11 誤字修正や加筆などを。

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