浴場に超巨大山脈現る
なぜ、山に挑むのか
そこにあるからだ
国王さまと魔導士コンビは残務があるとのことで、城に戻った。
結局、サバンナさんやシルビアさんに話すつもりだったもえの正体はうやむやにしてしまった。いずれ話すときがくるだろう。
思い思いに食後の休憩をしていると、ほどなくほんわかメイドさんのお風呂コールが入る。
「シース、レーネ、もえ・・・姫さまとマーガレットさんもお風呂にいくよー。」
「あるじさま、おふろはそちらではないのですか?」
もえは寝室に備え付けのシャワー室だと思ったらしい。
ほんわかメイドさんに連れられて、浴室に向かう。
お子様が多いので目つきのするどいメイドさんにもサポートをお願いする。
もえのモップはといえば、髪飾りに変形しておかっぱ頭に納まっている。
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かぽーん。
この音はどこから聞こえるのだろう。
迎賓館の大浴場。
今日はさすがにほんわかメイドさんの鉢合わせネタはないだろうと思っていた。
青いバミューダパンツに履き替えて、浴室の引き戸を。
がらがらが
らがらがらが。ぴしゃ。
閉めてしまった。
目の前にすごいものがあった。
「勇者様?ドアを閉められてしまうとはひどいですわ。」
容姿はシルフィール姫をすらっと大きくした感じで、そこに超巨大山脈を備えた人が立っていた。
セパレートタイプの水着であったが布の面積比率がおかしくてビキニになっている。
おふろで鉢合わせコンテストNo1のほんわかメイドさんの隠し玉としかいいようがない。
おそるおそる引き戸を開ける。
「あの?どちらさま」
着替え終えた姫さまの声が聞こえる。
「お母様!いつ戻っていらしたのですか!」
「シルフィール!どうして勇者様のお着替えを手伝わないのですか!」
今の部分は聞き流すだけで(ryもう一度聞いてみる。
「益田衛登と申します。あの、差し支えなければお名前を。」
「申し遅れましたわ。わたくし、シルフィールの母、オパールと申します。しばらく国へ戻っておりまして先ほど帰ってまいりました。娘が大変お世話になっているそうで。」
「いえ、その、お世話になっているのはこちらのほうでして」
正直目のやり場に困る。至近距離だし。
僕の鼻の下のディスタンスに姫さまが気づいたのか、ちょっとすねた感じになってしまった。
視界の下のほうでおかっぱ頭が右往左往している。
「あ、あの、あるじさま、ここはいったい。」
おこさまみずぎに着せ替えられたもえがおろおろしている。
双子に手を引かれて、洗い場に連行されるところであった。
「まぁかわいらしい!勇者様の好みはこちらのお嬢様方のような胸の無い」
オパール王妃は目を細めて双子ともえを見つめている。
「いいいいいいいやいやそれはないです!」
「そうでしたか。てっきり胸の無い娘さんが好みなのかと。それならうちの娘にも勝機があるのかと思いまして。」
おかあさまこわいです。
「あ、すいません、あの子にいろいろ説明をしないとならなくて。」
「わたくしも今入ったばかりですので、後ほど湯船でお話など。」
「は い ・・・」
姫さまの目が怖い。
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「あるじさま、ここはおふろなのでしょうか?おおきなみずうみのようです。」
もえの頭をわしわしと洗ってあげていると、的外れな感想が返ってきた。
双子は順番待ちをしているのに飽きたのか、メイドさんたちに手伝ってもらいながら自分たちで頭をあらいっこしている。
「もえ、目をつぶって」
ばしゃー。とお湯を掛けるともえはぷるぷると頭を振るう。おかっぱ頭から水滴が飛ぶ。
「あ、あの、自分であらえます。」
「遠慮は無用ー」
ついでに背中も洗う。双子とはすこし体つきが違う。双子はぷにぷにしているけれど、もえはすこし肉付きが少ない。
きちんと食べさせればよくなるのだろうか。そもそも精霊とも違うようだし。
「おかあさま、前は自分で!みゅひゃあ」
視界の隅ではシルフィール姫がオパール王妃に頭を洗われたり、体をまさぐられたりと大変なことになっているようだ。
ふと振り返ると姫さまの頭が王妃の山脈に挟まれている。
ほんわかメイドさんがみましたわね?という表情でビキニを揺らしてほほえんでいるのであわてて視線をそらす。
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湯船につかる。
左にシルフィール姫、右にオパール王妃。ひざの上にはもえ。正面にはメイドさんたちと双子が。
姫さまならまだしもオパール王妃がぴったりとくっついているので心臓があれである。
マーガレットさんは何かを察知したのか、また水風呂である。要サルベージにならないことを祈る。
もえをだしにつかおう。
「も、もえ、熱かったりしないか?」
「ふぁい だいじょうぶですあるじさまー」
半分溶けかかってる感じがする。
「シース、レーネはどうだい?」
「「だいじょうぶなの」です」
オパール王妃はにこやかに話す。
「勇者様は幼な子の扱いがじょうずでいらっしゃいますわ。これでしたらシルフィールが子供を生んでも安心してまかせられそうです。」
はなしがみえません。
「お母様!勇者さまが困っていらっしゃいますわ!それにまだわたくしたちそのようなかんけ」
ここまで言いかけて姫さまはうつむいてしまった。
お湯の中でぶくぶくと何か言っている。
「うふふ、我慢しなくてもいいのよシルフィール。別に襲っちゃってもいいから。」
昨日もそんな話をしたような気がする。
「そんなわけで、勇者様にその気がありましたらいつでも相手をしてあげてくださいませ。」
「勇者様が世界の救済のために自らを律していらっしゃることは聞いております。詳しい理由は聞きませんが、色事に限らずですが、あまりご自身に枷を掛けられると行き詰ってしまいますわ。」
「それは・・・」
「おせっかいなおばさんの戯言と思って聞き流してくださいませ。それでは、明日の式典にて。」
そういうとオパール王妃はお湯から上がった。超山脈が目の前を通過して行った。
海の上を移動するなんとか島ってあったな。
「おかあさまったら・・・」
シルフィール姫はぶくぶくとしている。
もえは話の内容がわかっていないようで、
「あるじさまのお相手でしたらもえがいつでも」
ほわほわした顔になっている。
この子はたぶん剣術の稽古と勘違いをしている。そう思いたい。魔剣だし!
ほんわかメイドさん、そこで目線をこちらに送らないで!
目つきの鋭いメイドさんはやはり!みたいな顔でこちらを見ている。
のぼせそうなので、もえを抱えて風呂を出る。
双子もだっこしてほしそうなので、湯船からだしてあげる。
姫さまも湯船から出す。んへーっとした顔になっている。
マーガレットさん、今日は大丈夫だよね。若干冷えてました。
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寝室に戻ってきた。
ベッドは2連結になっている。
しばらくして双子と姫さまは夢の中に。
もえは一度横になったものの、窓際に立って外を眺めていた。
「あるじさま、もえは本当にここにいてもいいのでしょうか」
「もえは今日からはうちの子だ。シースとレーネがおねえちゃんだ。そこに一番上のおねえちゃんがいるからうんと甘えるといい。」
「あるじさまにもあまえてもいいですか」
「あまえるがよい!」
照れ隠しに変な語尾になった。
僕はもえを抱えるとベッドに寝かし、自分も横になる。
姫さまはまたもやよだれをながしている。
「あるじさま、おやすみなさい」
もえは僕の手を握って少したつと寝息を立て始めた。
となりの金髪猛獣は僕の背中にしがみついてきた。この感じだと起きていそうだ。
よだれが背中にしみこんでくる。よだれということにしておこう。
明日のお披露目式典が無事に終わるよう、月に願いながら。
3つあるけど、お願いはどれにすればいいんだろう。そんなことを考えているうちに眠ってしまった。
姫さまのまな板にも若干の光明が!
ようやく勇者のお披露目式典に入りそうです。




