午後の神社参拝客と勇者
奪われそうになったタコスを完食し、よい時間となったので神社へと戻ることに。
これから清掃の時間となるが僕は参加させてもらえるのだろうか。
ちなみに外に出る際は普段の姿となっていた。
「おかえりなさいませ勇者さま!」
いつもと違い巫女服でのお出迎えはちょっと新鮮な気がする。
お屋敷でも巫女服デーを作っても良いのではないかと僕の中のユークレスさんが語り掛けてくる。
「たまには良いのではないか」と当のご本人からリアクションが。
あれ?声に出てましたっけ?
うちではメイド服が正装なのですが、気分転換に違う服装を取り入れるという話で何かがまとまった。
ちなみにオパール王妃も巫女服を着用されたことがあり、それはもう抜群の破壊力でもって僕のチキンハートが粉砕されました。ええ。
ぐたぐたした感じで午後の参拝客を入れる前にクリーンナップが開始された。
「勇者さまは社務所でお待ちください」と労働を断られてしまった。
タングラート、カタハマ山頂神社側にある防犯カメラのチェックでもしようかと思い社務所へと引っ込むことに。
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「あちらも特に問題なしか…ティーの収集物は一度見たほうが良さそうだけど」
ティーからの報告にも目を通し、一度様子を見に行ったほうが良さそうな気がしてきたので明日にでもカタハマへ飛ぶことにした。
カメラチェックが終わるころ、午後の清掃を終えた面々が社務所へと戻ってきた。
ここに全員は入りきらないので一部はそのまま社務所となりにある休憩室へ移動しているが。
「姫さま、明日ですがすこしカタハマの様子を見に行こうと思いまして」
「勇者さま、護衛は必ずつけてくださいね」と釘を刺された。
イツメンだがシロさん、どりあーどさんあたりで良いかな?
ござる侍まで入れると戦力過多になりそうだし。
移動手段もアヒルちゃんエアカーで良いだろう。
カタハマ以外にもハマトーメン村へ行く用事もあるのですが、前回お邪魔してからそれほど日が立っていないのでちょっと行きづらい。
タングラート城へ行き、「おおえだちゃんのおうち」と「きのこの馬房」を正式に登録する必要があるのだ。
後はトメばぁに引き渡した調剤小屋の権利なども。
今更だけど建物の敷地面積でいいのかな?
空間拡張した場合の税率ってどうなるんだ?
増やそうと思えばリアクターの出力限界まで部屋を生成できるからとんでもない金額になりそうですが…。
その辺はアスカさんのご両親に尋ねればよいのだろうか。
話がそれますが当のご本人は本当に巫女装束がお似合いで。普段着にしてましたし。
ひとまず午後の解放まで休憩に入った皆さんに屋台村での出来事を共有して過ごすことに。
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「姫さま、何か手伝いましょうか?」
「勇者さまはここに座っているのがお仕事となります」
参拝客を案内し、お守りやおみくじの販売補助をしているみなさんを横目に僕は不審者がいないかカメラの映像を見るだけの仕事をしている。
民度という言い方が良いのかわからないが、ライスリッチフィールドは比較的穏やかな人が多い傾向にあり、争いごとなどとは無縁といった感じだ。
いつぞやライスリッチフィールドに湧いた腐敗兵士が特殊だったようで。
対してタングラートは漁業が中心の国という事もあり、割と血気盛んな人が多いイメージだ。
ハマトーメン村でも半分荒くれ者みたいな若者ばかりでしたし。
トメばぁを神輿のように担いできた若い衆には驚かされましたけど。
そんな血気盛んな国だからこそ、例の買占め騒ぎが起こったのかもしれない。
他国へ神社を建てる際はその国のバックグラウンドをきちんと把握して警備体制を整える必要がありそうだ。
とはいえ、サンダッティア、アトレーンはそれほど治安が悪いということも無く、グランディオーラはつい最近まで借金奴隷を過剰に抱えていたこともあり若干の不安要素はありますが。
妖精国、精霊国、魔人国については正直分からない。
特に魔人国には一度も顔を出していないので速やかに訪問をしたいのですが、ライスリッチフィールドの神社騒動が収まるまでは行けそうにないですね…。
次々と鳥居をくぐる人々の列をみつめながら今後の予定を立てているとすこし気になる集団が姿を見せた。
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「冒険者?だよなぁ…」
神社に訪れる人の殆どは普段着かちょっと他所行きの感じのする服なのだが、今入ってきた集団はどう見ても迷宮帰りといった感じで武器こそ仕舞っているが完全装備のまま。
どこかおどおどとした足取りで境内に入り、あたりをきょろきょろと見回している。
これ僕が対応する案件かな?
深緑の慈悲を呼ぼうとしたのだが待ったがかかった。
「シロ達がみてくるにゃ」
シロさんとござる侍が事に当たると言って飛び出していく。
ちなみにどりあーどさんが僕の警備という名目で残り、何故か僕の左に座って腕を絡ませてくる。
おやつの時間ですか?ちょっと魔力吸われてますけど。
モニタの向こうにシロさん達の姿が。
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「どうかしましたかにゃ?」
「う、うわっ!」
5人のメンバーで結成された「砦の護り手」を束ねるリーダーのゴメスは突然現れた猫人の女性に驚き、思わず後ずさる。
見たこともない白と赤の衣装に身を包み、女神のような笑みを見せる猫人に見とれていると脇腹に鈍い痛みが走った。
「うぐっ!」
「ゴメス、鼻の下伸ばしてみっともない」
メンバーの一人、リリスが脇腹に肘うちをしてきた。
「何かお困りでしたら力になりますにゃ」
「拙者も助太刀するでござる」
もう一人、猫人の女性が力こぶを見せつけてくる。体つきからして相当な使い手のようだ。
「すいません。こちらでブゲージョータツという守り札が買えると聞いて。何でも迷宮攻略で役に立つとか…」
「お守りならあそこで買えるにゃ。でもその前にお参りするにゃ」
5人は言われるままに移動を。




