表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2118/2400

まばゆく光り輝く宝剣と勇者

念の為、深緑の慈悲を着用してから現場へと向かう。


「あれ?なんでこんなに光ってるの?」


宝物庫に放置されていた上から3番か4番目くらいの宝剣がまばゆいばかりに光り輝く。


今までにないパターンだ。


シース、レーネに確認してもらった時は精霊が宿らない普通の宝剣だと聞き、魔改造を施したのだが…。


剣の傍らに半透明の少女らしき姿が見える。


僕とごく一部の精霊以外には見えていないと思われ、誰もそちらを気にしていない。


「姫さま、もしかすると宝剣に新たな精霊が宿ったのかもしれません」


この世界の精霊の多くは自我を持たない下位精霊が殆ど。


数十年、数百年を経て淡い自我を持つようになると上位精霊への進化を行うと精霊の親分が言ってた気がする。


「精霊ですか?わたくしには剣が光っているとしか…」


ここで顕現させると騒ぎの元になりそうだが事態は一刻を争う。


うっすらと見える少女らしき姿は徐々にその輪郭がぼやけ始めた。


「マイアさん、魔力を注いでも?」


「緊急事態だ。ただ、あまり力を入れ過ぎぬよう」


本殿に上がって宝剣に近づくと、スポイトで吸った魔力を与える感覚で精霊らしき者に力を注ぐ。


「目が!」


直後、閃光がほとばしり深緑の慈悲のバイザーがオートシャットダウンした。


---


「もしかしてソードフェアリー?」


いつもならすっぽんぽんに近い状態で顕現する精霊だが、今回はぴっちりとした黒いレオタード風の服を着ている。


年齢は12歳くらいか。


紫色の髪を肩くらいまで伸ばした少女。山脈とおしりさまは割とご立派な感じがする。


ちなみに奉納されている剣は普通の両刃両手剣で特筆するような特徴は無かった。


ありがちな刻印などもなく、おそらく量産品と思われる剣のはずだったが、閃光が収まると装飾が施された金色のグリップを付けた豪華なものとなっていた。


刃にも精巧な彫り物がほどこされ、それは竜のようにも見える。


「どりあーどが運ぶ」


とりあえず伏したままの少女を抱き起こそうとしたのだが、どりあーどさんに奪われてしまった。


そのまま社務所送りとなり、騒然とする現場をおさめるべく兵士が右往左往。


午後の参拝は突然の発光現象により10分程度のアディショナルタイムを設けることとなった。


「おかあさまに報告いたします!」


まぁ、そうなるよね…しかし何処から来たんだろう。


---


社務所のソファに寝かされた少女は眠ったまま。


僕は座る場所を移動し、一人掛けのソファで少女が目覚めるのを待つ。


とりあえず薄着は目の毒なのでバックヤードから茶色いブランケットを出して掛けてある。


ブランケットは寒さ対策として巫女装束の上から羽織るようの物らしく、神社の備品扱いとなっていた。


「勇者さま!おかあさまがお見えになられました!」


随分と早い到着。公務は大丈夫なのだろうか。


「エイトさま、新しい家族がお見えになられたと聞き」


まだ家族かどうかは決まっていないはずなのですが。


否定も出来ないところが何とも。


ひとまず彼女が現れた時の様子を話すことに。


あの剣は奉納されてから随分と日が経っており、今日になって異変が起こるとは予想も出来なかった。


「大勢に祈られて何かが起きたのだろうか?」


練習を含めると結構な人数であの剣に祈りをささげたことになる。


ちなみに以前見たトラウマトレーサーの中で見たソードフェアリーの中には彼女の姿は無かったと思われる。


「ソードフェアリーっぽいけど精霊なのか?」


本人に聞かないと何とも言えないのだがいまだ目覚める様子は無い。


ちなみに突然発光した剣は普段の状態に戻っており、あれ以降は特に変わった様子もない。


「オパール王妃、彼女が目覚めましたらすぐに連絡を入れますので」


「公務は大丈夫です。目覚めるまで待ちましょう」


ソファの傍らに膝を突き、少女の手を取って様子を見るオパール王妃。


本当に母性の塊みたいな人なんだよな…。


「なんじゃ、わしの顔に何かついているのか?」


ユークレスさんも母性の塊みたいだよな。ある一方向に特化して。おみみとおしっぽさまに注ぐ愛が重すぎるというのが何とも。


本日の参拝時間は修了となり、境内に残っていた人を退出させて締めの清掃に入った。


---


名前も分からない精霊なのか妖精なのか不明な方はどりあーどさんの手によって運ばれている。


神社を閉め、お手伝いの方々と終礼ハグをしてから帰路についたのだが、新しいメンバーの回りをうちの子達が固め、団子状態での帰還となった。


神社からお屋敷まではあまり人通りが無く邪魔になる事は無かったのだが、メイド服の集団と言うのはやはり人目に付くというか。


見慣れない人は立ち止まってこちらを凝視したり、例によって街灯に衝突する人も出る始末。


メイドの集団は隠密メイドと見回りの兵士が固めており、何も起こらないようになっているので安心だ。


ちなみにソードフェアリーの方々に見覚えが無いか確認したが彼女達も記憶を断片的にしか持っていないがゆえ、正確な回答は得られなかった。


オパール王妃は移動中に何度か電話をかけ、指示を出していたようだけど…。


「エイトさま。屋敷の警備を隠密メイドのみとしました」


あー。一般の派遣メイドさんを下げて情報漏えいが起きないようにしてくれていたのか。


そんなわけで厳戒態勢となったお屋敷へと戻ってきた。


門の両脇には普段見ることのない重装備の兵士の姿も。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作品を気に入っていただけましたら是非クリックをお願いします
(そのまま投票となります。一日一回有効)

小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
評価、リアクションを頂けると作者が喜びます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ