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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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校長にいつもの口上を述べる勇者

クレーンゲームは全員がチャレンジし、一人1つずつぬいぐるみを獲得。


境界の地から持ち出しが出来なかった物が現実世界で手にできたとあってうちの子達は大喜びである。


本来なら入浴前の食休みにする時間をクレーンゲームに割り当てたのでスケジュールが後ろにずれ込むことも無く境界の地へと行く準備が出来た。


今日はお気に入りのぬいぐるみをかかえたまま眠りに付くうちの子達。


転移の判定もだんだん大雑把になってきて、以前はどこかしら触れて居なければならなかったのだが近くにいればいいという感じに。


「明日はアイリス達にもクレーンゲームを」


今日は遅い時間だったので無理だったが、明日の午後にでも声を掛けることに。


彼女達も勉強と仕事があるのですぐに来られるかは不明だが。


いつものように伺いますと十六夜さんにメッセージを送り、境界の地へ向かう。


---


「毎晩すいません」


「客人が来ることは問題ないが…何度も言うが」


「癖みたいなもので、つい話しかけたくなってしまうんですよ」


本当に変わり映えしないログイン方式なので十六夜さんのおしりさまに語り掛ける僕。


今日はとあるゲームのキャラがプリントされたおぱんてぃらさまでした。


キャラ自体のかわいらしさについ手を出すとその鬼畜難易度に閉口するという。


なんとかメイズといえば通じるだろうか。


学生時代通っていたゲーセンにあったのを思い出した。


双子によれば据え置き機に移植されたとの事で。


そういえば境界の地には据え置き機のプレイ環境が無かったなといまさらながらに。


謎PCにリモート環境を設定すれば地球側に置いた据え置き機をプレイ出来るんだよな。


問題はどこに置いてもらうかだけど。


たった今は手を出している余裕も無いので社長に相談だけしてみるか。


十六夜さんのおしりさまと長話をしている場合ではない。


おそらく今日あたり校長がこちらに入ってくる可能性がある。


万全の状態でお迎えしなくてはと思い、十六夜さんのスカート下から這い出した。


---


「ここはどこだ…」


山本が寝る前にVR環境の露天風呂に入ろうとダイブした先はインストール済みの温泉ホテルではなかった。


殺風景な倉庫のような場所。


巨大な車両、戦車にも見えるがその形に見覚えが無い。


それらが十数両並んだその先にはこれでもかと積まれた布の山。


よく見れば女性用の服のようだが何故?


さらに不可解なのはドラマなどで使う教室のオープンセットらしきものが視界の隅に。


混沌カオスを煮詰めたような場所に放り出された山本は挙動不審となっていた。


ずしん…ずしん…という足音にしては大きな物音に振り返るとそこには身長3mはあろうかという巨大な鎧…鎧というよりは創作物に出てくる真っ黒な装甲兵のような異形が立っていた。


『どこにでもあってどこにもない。時空の狭間に存在する時の停まりし場所。境界の地へようこそ』


まちがいなく日本語ではあるが、頭の中に直接響く声に顔をしかめる山本。


『そしてお久しぶりです。校長先生』


ぱしゅ!っと空気の抜ける音と共に異形の鎧のヘルメットが後ろに倒れ、黒髪の青年が顔をのぞかせた。


「…誰だ…いや…まさか…そんなはずは…」


---


放心状態となった校長先生の扱いをどうしようか悩んでいるとうちの子達が何事かと集まってきた。


「勇者さま、こちらの方がこーちょーせんせーなのですか?」


「はい、山本校長先生ですね。間違いなく」


彼女もまた不老の病に侵され、見た目は女子中学生といった感じだ。


ただ、薫先生の症状と異なる点があり、体の中は年相応に衰えていくというもの。


見た目だけ若いというさらにややこしい病気の為、山本校長もまた薫先生と同じく難病認定されていると聞いたような記憶がある。


僕は深緑の慈悲をパージし、普段のアロハとジーンズというラフな姿に。


校長先生をお迎えするにあたり、やはり正装である深緑の慈悲を纏ったほうが良いのではと思ったのだがちょっと刺激が強すぎたか。


「益田…」


「はい、益田です」


「いろいろと聞きたいことがあるが、まずは…生きていたのか?」


「ええ、お伝えする方法が無くご心配をおかけして申し訳ございません」


校長先生の足元に流れた涙が雫となって落ちる。


もっと早く伝えられていれば良かったんだけどな。


---


「昼間の電話、益田だったのか!」


「はい、串田は偽名でして」


「どうして偽名など…あの口調は益田しか考えられんかったぞ」


「証明する方法も無かったですし」


あの時点で半分くらいバレていたと思ったらやはりバレていたでござる。


ひとまず温泉に浸かって校長のお小言を聞くことになった。


今日は皆さんのご要望により海底温泉へと来ている。


巨大水槽に泳ぐのはいつも通りタイやヒラメといった食用魚。


生け簀も兼ねているのかもしれない。


まだ試したことは無いのだが、温泉ホテルの宴会場を貸し切るとコース料理が出るらしい。


ちょっと興味があるので時間がある時に試してみようと思う。


アルコール燃料を使ったおひとり様釜めしもあるようなので。


それはさておき、僕の状況を知る人がまた一人増えたわけだが。


「益田が異なる世界にいるというのが信じられぬ」


「この後お時間あるようでしたら少し覗いてみますか?異世界」


「益田君、私たちも行っていいかな?」


薫先生達も覗きに行きたいと。


「深夜なのでお茶くらいしか出せないですけれど…」


あとは自販機で適当に摘まむ物を買っていただければ。無料ですけど。

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