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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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2005/2387

ロールケーキの試食をする勇者

買ったロールケーキをテーブルに並べ、各自好きな飲み物を入手。


姫さまとユークレスさんは紅茶、ココナは無難なところでオレンジジュースを。


僕はブラックで。


今日使った飲み物の自販機は高速のサービスエリヤにあるディスプレイ付きのものだ。


陽気な音楽と共にディスペンサーの動きがみられる。


ココナは何が起きているのかあまり理解できていないようで、首をかしげてモニタを見守っていた。


画面の中のカップが押し出され、取り出し口に現れると目を輝かすココナ。


「では食べるとするかの」


王妃がロールケーキを切り分け、皆さん一口ずつ別の味がたのしめるようにしてくれた。


---


やっぱりいちごまみれは一口で十分だよな。


これをドカ食いするサバンナさん、どこかずれてる気がする。


うちの子たちもいちごまみれはそれほど興味を示さなかった。


甘味の中にある酸味が苦手な子も多いと思うので。


「勇者さま、かひーには何も入れられないのですか?」


「そのままのほうが僕は好きかな…」


一度ブラックかひーを口にしたことのある姫さまは渋い顔に。


以前、きょうふのなんとかによって作られた直径数キロの大穴に地下水が染み出た池のほとりで飲んだんだっけ。


この世界を支配しようと降り立った悪人だというのだが、あーまーちゃんと呼ばれる存在によって脅威が退けられたと像を祭る祠の立て看板に書かれていたような気がする。


あれも世界の異変の一つだとしたら、そのきょうふの何とかを退けた存在にもアプローチする必要があるのかもしれない。


手がかりは祠に祀られていた黄金の騎士像しか無いのだが。


「サブロー、何か考え事か?」


「ちょっと世界の異変について思い当たることがありまして」


あの騒ぎでサクラを見つけたんだっけな。


当の本人はいつものようにうまのかぶりものをしたまま器用にクレープをかじっている。


「まぁ、今くらいは気を抜いてもよいじゃろう。サブローは休むと言って休んだことはないからな」


多分フラグなんだろうな。


休日にしようなどと口走ると、必ず何かしらのトラブルが舞い込んでくる。


ひめゆぶの主人公もそうらしい。


異世界からついてきた姫とただ出かけるだけで厄介ごとに巻き込まれ、異世界で得た力を使って問題を解決するというパターンが多い。


僕自身に備わった力など皆無に等しいので、異世界帰りの彼の力は非常に魅力的に見える。


「すっぱ…」


いちごまみれ、入っていた大粒のいちごが非常に酸っぱい。


ちょっと目が覚めた。


「勇者さま、次は何を食べましょうか?」


「あー、その前にココナの服を見ようか?前回出来なかったし」


「そうですね!ではココナちゃんのお着換えをしましょう」


ロールケーキ程度ではおそらく満足しないだろうが、ここで食べ続けて滞在時間を使い切る前にバーゲンコーナーで女児服を見繕うのがよいだろう。


---


「これが服なのですか?街の子でも着ていないような高そうな物ばかり…」


ココナを最初見たときは本当に野良着そのものだったよな。


タングラートは中途半端に昔の日本の文化が取り入れられたような国で、国民の大半はKIMONOと呼ばれる獣皮をなめしたものを着物のように着用している。


おそらく織物の技術が発達しない頃の名残だと思われるのだが。


「ココナ、気に入ったものがあったら着替えても大丈夫だよ。ここの服を着るのにお金は不要だから」


「わたし、服のことはよく分からなくて」


「お兄ちゃん、なにか困りごと?」


何故か妹さまの姿が。


「未来、丁度いいところに。この子のコーディネート頼んでも良いかな。姫さまと一緒に」


「わかった!それじゃあ選ぶね!シルフィールおねえちゃんもお願い!」


「未来ちゃん、ちょ…」


「わしも選ぶぞ!」


妹さまに手を取られバーゲンコーナーへと引きずられていく姫さま。


その後を追うユークレスさん。


肝心のモデルが置き去りとなってしまったので、後を追うことにした。


---


「上はこのシャツ、下はこれかな。あと靴下がこれ、靴はこっち…帽子もほしいかな」


勝手知ったるバーゲンコーナー。


試着用の服が見る間に積みあがっていく。


更衣室へ押し込められたココナはボタン一つで着せ替えが終わり、ほんの数秒でカーテンが空く。


出てきたのは女児向けのキャラがプリントされたピンクのTシャツに白のミニスカート。


靴は水色、靴下はさくらんぼのワンポイントが付いたもの。


ちなみに下着も一新されている。十六夜さんがよく身に着けているキャラショーツだ。


おしっぽさまのせいでおしりがウエルカムなされているのでココナにしっぽを下げるように言う。


そこにユークレスさんがどこからか持ってきた白いベレー帽が被せられたところで撮影タイムとなった。


更衣室の横に置かれた姿見で自分の姿を確認するココナ。


まるで別人をみているかのような感じで鏡を見ている。


しかし、地球の子供服がすごく似合うんだよな。どうしてだ?


「ココナ、もし気に入ったなら現実世界でも着てみる?」


例のバラの騎士ご用達のお店に行けば子供服のフルオーダーも可能。


オーダー先はおそらくねこのしっぽのオーナーさんになると思われる。


直接話を通しても良いのかもしれないが、ご用達のお店を通せば似たデザインの服が世に出回るチャンスにもなる。


この世界に地球産の子供服を流行らせるのはアウトブレイクになるのだろうか。


「お兄ちゃん、どう?」


「ありがとう未来。ココナにぴったりだ」


「勇者さま、わたくしも用意いたしました!」


姫さまは秋冬物で攻めてきたか。


やはりプリントもののトレーナーと少し長めのスカート。


一通り写真を撮り終えたココナはまた更衣室へと詰め込まれた。

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