表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1999/2394

フラグを折り損ねた勇者

本日も無事に1日が過ぎようとしている。


こんな時は決まって何かしら起こるものなのだが、身構えていると不思議とやってこない。


気を抜いた瞬間が命取りとなるので。


「勇者さま、まだどこか痛むのですか?」


しかめっ面をしていたようで、姫さまに心配された。


「いえ。体は大丈夫です。今はフラグを折るのにちょっと気合を入れていたところで」


「ひめゆぶの「おやくそく」という現象ですね!」


さすが姫さま。早速愛読書を取り出してそのお約束のシーンを見せてくれる。


主人公の何気ない一言が事件の発端となり、いつもドタバタ劇を繰り広げるこの本の作者とついこの前会ったばかりだ。


まさか十六夜さんと同じような瞳をお持ちだったとは。


彼女の場合、見通せるのはこことは異なる世界線にいる「僕」らしいのだが。


あちらの僕はまだ学生。


そしてとある世界を救った後日談がメインとなっているが、彼と接触することは可能なのだろうか。


どうやって世界を救ったのか、その情報があればこの世界を救う手立てにもなるかもしれない。


もちろんただというわけにはいかないだろうけど。


なにか対価として差し出せるものがあれば良いのだが。


こちらの通貨はNGだろうし…。


そんなことを考えていたらソファに座っている僕の頭の上に何かずっしりとしたものが載せられた。


「何か困りごとがあるのならわらわに相談するのだ」


20歳モードの精霊女王の山脈が僕の頭上にのっしりと載せられている。


僕の頭は山脈のせではないと何度も言っているのだが。


「この世界を救うヒントをどこかで得られないかなと思って」


ひめゆぶの作者さんに劇中に登場する主人公と連絡が取れないか確認してみようという話をしたのだが、精霊女王はちょっと渋い顔に。なった気がする。直接顔は見えないので。


「他の世界への干渉は極力避けるべきだ。お互いの世界に影響を及ぼす恐れがある」


なるほど。


彼らはいまだ観測対象に過ぎず、こちらの情報は何一つ持っていない。


自分たちが観測対象だと知ったらあまり良い感情は持たないだろうな。


昔の映画で作り物の世界に閉じ込められ、見世物にされていた青年の話を思い出した。


あと考えられるのが、その違う世界線にいる「僕」が実在しない可能性。


作者が自ら作り出した世界の中で「世界を救った後」の生活をしているのであれば、世界を救った方法を尋ねること自体が無理となる。


この前の短い面談の中ではそこまで言及できなかったので。


彼女自身は自分にだけ見える世界が実在していると思い込んでいる節があったが。


25年前に初版が出たひめゆぶの中の時間軸は今現在だと1年も経っていないという。


最新巻まで追い切れていないのだがまだコーニ、つまり高校二年という話だ。


こちらとは時間の進み方が違うと考えるのが妥当だが。


実際にそういった迷宮が存在するので。


とりあえずあちらの世界の「僕」にコンタクトを取るという話はいったん白紙に戻す。


「マイアさん、いつまでそうしているおつもりですか?」


精霊女王の「のっしり」は未だ僕の直上に展開している。すこし上を見るととんでもない状態になっているので目は伏せている。


「生気の補充が終わるまでじゃ。あと半ニールは」


「なりませぬ!」


精霊女王、僕を充電器か何かと思ってないですかね。


充電待ちの人が後ろに並んでいるのですが。


---


充電効率を上げるために右手と左手、そして膝上が解放され、さながらセルフのスタンドのように魔力を吸い上げては席を立つみなさん。


膝上は主にちっこい地精霊が利用する。


皆さん数分で魔力の充填が終わるのに精霊女王だけが最後まで。


わざと効率の悪い方法で接続して僕を山脈のせに使いたいだけだったらしい。


まぁ、見るからに肩こりそうですし。


精霊女王が「けふ」と言いながら離れると、今度は違う「のっしり」が。


「どりあーどさんもですか?」


「これ、たのしそうな気がして」


彼女の場合、魔蔦を伸ばせば効率よく吸えるのだが。


どうも接触面積が足りないようで背後からしがみつく形に変更された。


後頭部が何かで埋まってますが気にしてはいけない。


ちなみに姫さまは監視するのに飽きたのか、お屋敷にあるひめゆぶ部屋に移動したまま戻ってこない。


ちなみに僕が精霊達や一部ドールの方々に魔力を補充するのは皆さん承知していらっしゃるので特に何も言われない。


中には「あの時のように…」と魔力をせがんでくる人もいらっしゃいますが。大黒屋さんとか。


彼女にはおしっぽさまのお手入れで魔力を流しているのだが、彼女を救った時のような荒々しい力を感じたいと。


なにか変なへきを目覚めさせてしまった可能性もあるが。


背中に弱くヒートボディを流すとうっとりとした表情に。


それを見ていたみなさんがそわそわと。


姫さまが見ていない間にヒートボディ大会が繰り広げられることとなった。


---


「勇者さま、何があったのですか!」


「サブローさん!何をしたんですか」


「闇の精霊に聞く…」


ひめゆぶ部屋から戻ってきた面々が騒然となる。


「ちょっと魔力を流し過ぎまして…」


数十畳あるリビングは死屍累々となっている。


手加減したつもりだったが、どうもコントロールが。


「たぶん昨日倒した魔獣の魔素を吸収して魔力量がまた増えたようですね」


既に数値化する事すら困難な僕の魔力量。


100mを越えるロックワームを倒したことで、さらにアップグレードしたようだ。


「サブローもこのようなミスをするのだな」とユークレスさんが。


何度も言いますが僕は万能選手ではありませんので。


とりあえず御夕飯までにみなさんが目覚めるよう、気付けをして回った。


結局僕自身がフラグとなってしまったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本作品を気に入っていただけましたら是非クリックをお願いします
(そのまま投票となります。一日一回有効)

小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
評価、リアクションを頂けると作者が喜びます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ