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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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サンダッティア従者お披露目の儀と勇者

そんなわけでお披露目の日まで昼間はDSOVRのローカル環境で兵士のレベル上げ、夜は気分でお子様達とオンラインになだれ込み、迎えた当日。


王宮内は喧騒に包まれていた。


イベントは日没後となるが、気の早い国民は既に会場前に列をなし、その列の整理に休暇中の兵士も駆り出されるという事態となっている。


式典まで5ニール、10時間以上あるというのに大丈夫だろうか。


「何か手伝えることはありませんか?」


「おぬしは夜まで姿を見せぬよう、ここで待機じゃ。迂闊に民衆の前に出れば騒ぎが大きくなる」


ということでユークレスさんから足止めを食らってしまった。


お子様達も今日は王宮から出ないようにと通達が出ており…まぁ日中は殆ど外出することも無いのですが。


応接間に集まっていつものようにローカル環境のDSOVRにダイブする方、3Dで新たなドラゴンを手に入れようとプレイをする方など各々工夫して時間を過ごしている。


ちなみに姫さま達は勉強の遅れを取り戻すべく、さいせいくんRXで自習中だ。


今夜の式典は姫さま達も従者代表として出席するのだが、衣装はいつも通りなので特に慌てる必要はない。


しいて言えばアルマのゴーレムだけは先に調整を済ませる必要があり、これは双子の仕事となる。


ちなみにゴーレムの製作者であるハナエ姉妹は今回同行しておらず、研究所に籠って新たなゴーレムの試作を繰り返しているとの事。


最近あそこに顔を出していないので、たまには行かないと…。


僕は例の古文書のデータを引っ張り出し、解析を試みる。


---


遅めの昼食を取り徐々に日が傾き始めた頃、応接間に来訪者が。


「婿殿、準備をお願いします」


ラシーマス国王直々のお迎えに何事かと思ったが、兵のほとんどが治安維持のために王宮外に出払っており、伝令すら居ないという。花壇メイドは外に出ている兵の穴埋めとして駆り出されたと。


まず先に行くのは光の女神の間。みなさんで大移動を。


サンダッティアのそれを見るのは2度目か3度目となろうか。


みっちゃんさんが光の女神の台座に虹色魔導結石を補充したことで本来の機能を取り戻し、サンダッティアの水瓶と言われる地下水脈の異常を発見できたのだ。


ロックワームによる侵攻は僕が食い止め、成り行きで成層圏近くまで飛ばされたりもしましたが。


ライスリッチフィールドの女神像と異なり、それほど盛られていない山脈の女神像に祈りを捧げ、従者となる者の名前を報告するのだと。


ちなみにレイアさんは普段着ているドレス姿で現れた。


お着換えは本番直前らしい。


「光の女神様、預言書の勇者の従者としてレイア・アメジスト・サンダッティアを加えることをここに報告いたします」


ラシーマスさんが女神像に語り掛けると、一瞬だが女神像が光ったようにも見える。


「こ、これは」


女神像に語り掛けた本人が一番驚いている様子。


光ったのは見間違いではなかったようだ。


台座の銘板にレイア・アメジスト・サンダッティアと読める部分が追記されている。


「光の女神様の御印を頂いた。これで正式に従者として認められたということになる」


どういう仕組みなのかさっぱり分からないのだが、この女神像もみっちゃんさんの力が働いているのは間違いないだろう。


女神の間での儀式を終えるころ、太陽と呼んでいいのか分からないが日が傾き、あたりが急速に暗くなる。


---


王宮前の広場に篝火が焚かれ、ゆらめく幻想的な光が集まった市民を照らす。


ラシーマスさんがテラスに出るとそこにスポットライトが落とされた。


「サンダッティアの国民よ、良く集まってくれた。これより預言書の勇者の従者を紹介する」


僕は打ち合わせ通り、プロジェクタのスイッチを入れて王宮の上空に預言書のレプリカを投影。


巨大な預言書の登場にざわめくみなさん。


ページがものすごい勢いでめくられると中ほどで停止。


『サンダッティア王族が一人、レイア・アメジスト・サンダッティアを預言書の勇者の従者として任命する』


テキストと音声で案内がなされ預言書は5分ほど投影されることになった。


「では、レイア・アメジスト・サンダッティアを紹介する」


ここでラシーマスさんから合図があり、僕はすまほーちゃんでレイアさんの姿を捉え、空中へと投影。


いかにも砂漠の民族衣装といった感じの薄紫色をしたヴェールのようなものを羽織ったレイアさんがテラスに立つ。


「あのお方がレイア姫…」


「噂では大病を患っていらっしゃると…」


「んだんだ」


国民へは直接知らせずとも人のうわさというのは勝手に流れていくものだ。


噂話がうわさに過ぎないと分かり、安堵の声も聞かれる。


まさか僕があふれ出るほどの魔力で強引に治したなどと思う人間はいないだろう。


とまぁ、ここまでは順調に進んでいたがやはりというか、横やりが。


「その者、従者にはふさわしくない。わが娘こそ預言書の勇者の従者として取り立てるべきだ!」


国王の御前で異議を唱えるとは。


「カリブ!」


あれ、お知り合いですか。


---


「あの馬鹿、何をしに来たのだ」


ラシーマスさんの隣に立つユークレスさんからそんな声が聞こえる。


もちろん聴覚を強化してもらっているからこそなのだが。


「父上、そのような病み上がりに従者など務まるとは思えません。ぜひ私の娘を」


「カリブよ、レイアは預言書により選定され、光の女神様にも祝福を受けている。この決定を覆すことは出来ぬぞ」


「ならばもう一度、預言書に問うてください。わが娘、トレノがふさわしいと答えるはずです」


獅子身中の虫とでもいうのだろうか。


敵はすぐ近くにいた。

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