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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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カミラ妹現る!

「自宅」の玄関先にあの人が!

「ギルド長、そろそろ帰りますよ?」


姫さま達を連れ、巨木の根元からお弁当を食べた場所に戻り、地面に敷いたシートの上でぺたん座りしたまま動かないギルド長をつつく。


「ん、あ、ああ」


ギルド長はどこかにトリップしたまま戻ってこないようなので、抱きかかえて連れ帰ろうと思ったがソネッタさんの目がちょっと怖いので、首根っこのあたりをつかんで持ち上げる。


糸の切れた操り人形のようにくたーっとしているけれど大丈夫だろうか。


赤竜王にギルド長を押し込み、双子やもえ、姫さま達を乗り込ませてから「自宅」へ戻る。


上空から見ても、巨木の存在感は格別だった。巨木を中心にして円を描くように緑が広がり、目を凝らすと緑の濃淡が魔導陣にも見えた。


何かの手がかりになると思い「すまほーちゃん」に記録する。


何枚か写真を撮ってから「自宅」に戻ると、玄関先に思いがけない客人が待っていた。


---


僕は赤竜王の駐車もそこそこに玄関へ駆けつける。


「あの、もしかしてシノブさんですか?」


腰まで伸びた長い金髪を軽く束ねた長身の女性。


「お久しぶりです。こちらで姉のハナエがお世話になっていると思いまして」


以前会った時とはすこし雰囲気の違う、黒髪ではないことを除いても…。


どうやら例の呪いが解けて、精神状態も回復しているようだ。


「勇者さま、赤竜王をいつもの場所に…あれ?カミラさん?」


首をかしげる姫さまに説明をする。


「姫さま、こちらはカミラさんの妹さんなんだ」


そういえば初対面だよな。


「シノブ・カミラと申します。私と姉が長い間皆様にご迷惑をおかけして…」


今にも土下座をしそうなシノブさんを制し、とりあえず「自宅」にあがってもらうことにした。


ギルド長はその後スタッフにより(僕ですが)赤竜王のコクピットから回収されました!


双子ともえはフィリーとサフランにコクピットからダイブをかましていたようです。あれは腰にくるから幼注意だ。


---


今にも泣き出しそうなシノブさんをそのまま姉とプレニルーニオのいるゲストルームへと案内する。


目つきのするどいメイド、カレラさんが相変わらずの表情で入り口に立っていた。


「カレラさん、ごくろうさまです」


「ん、いや、苦労などは感じていない。二人ともおきている…。そちらの女性はカミラ殿にそっくり。なぜ?」


話がかみ合わないのもいつもの。


「妹さんが尋ねてきたんだ」


カレラさんはふむふむとうなずきながらドアを開けてくれた。


---


「ハナエ姉さん!」


「シノブ!」


ひしと抱き合う二人。突然現れたシノブの顔を見てプレニルーニオはちょっと驚いていたが、すぐにハナエに引き寄せられる。


僕はそっとドアを閉めて、三十分ほど待つことにした。


その間にギルド長から赤竜王の中での話を…。


僕の後ろにくっついている例の精霊が右往左往している。君らの処遇については後で考えると伝えておく。


---


客間で燃え尽きてきたギルド長のほっぺたをつついて再起動させる。


「エイト殿、どうしたのだ」


聞きたいのは僕です!とりあえずギルド長にお茶を飲ませてから話を聞く。


「だれかがノリウツッテイタのですか」


思わずカタカナになってしまった。


「ああ、そこの三人にも聞いてみるといい」


お菓子と果実水でよろしくやっている双子ともえに聞いてみた。


「「マスターはマムになっていましたなの!」です!」


「あるじさまの…声が違ってました。でも、あるじさまはあるじさまで?」


マム?別人?だれが?


余計に混乱する!


念の為、瘴気と戦っていたとき「すまほーちゃん」の映像ログも見たが、やはり肝心な部分はノイズだらけで、時折ギルド長の絶叫が聞こえるだけだった。


そして、巨木の周りにできた緑地の写真をギルド長に見せる。


「これは非常に古いタイプの魔導陣に見えるが、はて、何のための…」


どちらかといえば地上絵のようにも見えるその魔導陣らしき文様は、ギルド長にも心当たりは無いという。


隣でまだもぐもぐしている精霊女王にも見せたが、「おくとーぱす焼き」をくわえたまま首を横に振るだけであった。


「そういえば。マイアは昔の精霊の記憶を持っているんじゃなかった?何か分からないかな?」


精霊女王は「んぐ!」という表情になり、口の中の「おくとーぱす」を無理やり咀嚼して、どこで買ってきたのか麦芽酒らしき液体をぐいっとあおってから口を開く。


「昔の記憶は「氷結」という状態にあって、見たい部分だけを見られるわけではないのだ。ざっくりと当たりをつけて見るにしても、非常に時間がかかる。それと、あまり知りたくない情報もつまっておるからの」


歴代女王のごく私的な記憶も生データで入っているらしい。


そんな扱いに困るものを酔った勢いで僕の頭に流し込もうとしたのかこの人、いや精霊は…。ちなみに僕に埋め込まれた精霊女王の分身に植えつけたという記憶については、未だに情報解禁されていない。


もえの髪の毛をいじりながらううむと唸っていると、客間にカレラさんが現われた。


「カミラ姉妹から話があると、伝言を頼まれた」


結局、精霊の使命について考える暇もなかった勇者。

彼女たちは無事にお仕事をもらえるのでしょうか。

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