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「預言書」ふたたび

ついに「預言書」がその凶悪な姿を現す。

どうする勇者!


気がつくと真っ白な部屋にいた。


うすい霧のようなもので視界は悪い。

目の前には2メートル以上ありそうな白いローブを着た人物が立っている。

顔の辺りは真っ暗で表情は見えない。


「わしが「預言書」だ。異論は認めない。」

「さて、異世界の勇者よ、初日の感想をきかせてもらおうかの。」


ローブの中から聞こえるのはしわがれた老婆のような声と子供の声が合わさって聞こえる。

正確にはローブの中ほどから声がするようだ。よく見るとローブの合わせ目が開いて大きな箱が見え、ちいさな靴のつま先がすこし覗いている。


「どうした、われの姿に恐怖したか。わはははは」


「あの、大変言いにくいのですが、踏み台が。」


「くっ!そこは見てみぬふりをするのが「おやくそく」じゃろ!」


ローブの中から何か飛んできて頭に命中した!よけられなかった!痛い!夢じゃないのか!


額に張り付いた物体を手に取る。ぺろっ。こ、、、これは角砂糖!


額を押さえてもだえていると角砂糖を放った主が台から飛び降りて近づいてきた。

真っ黒なゴスロリ服をまとい、黒髪で黒縁メガネをかけたロリだ。

分厚い本を抱えている。


不確定名「メガネロリ」とよぼう。


ボイスチェンジャーのようなものを使っているのだろうか、見た目と声のギャップが激しい。


いきなり愚痴りだした。


「小僧、あのようなかわいらしい娘っこにたべてくださいといわれたら普通の男であれば即答でいただきますじゃろ(意味深)」


「まったく変なところで偽善ぶりおって。あそこでわしの考えた予定通りにぶちゅーっとしていればいろいろ解決したというのに。」


メガネロリはただの耳年魔Lv1のようだ。


「正直、おぬしにはがっかりだ。良くも悪くも期待はずれだ。おぬしは専用の精霊をすんなり受け取れるはずだったのが計画が狂った。しばらくはあの娘っことべったりの刑じゃ。あやつがはりついていれば、ほかの娘に声もかけられまい!」


すいません、進んで女性に声をかけるなんてできません。


双子の精霊について聞いてみる。


「僕専用の精霊はあの双子ではないのですか?」


「あの双子は物に宿る精霊だ。物精霊は力のベクトルが異なるゆえ、人に宿って加護を与えるのはむずかしいのじゃ。」


そして最大の疑問をぶつける。


「そもそもなぜ僕なんでしょう。世界の危機を救うには何をすればいいんですか?」


「この世界には無いものが必要だった。その「無いもの」を持っているのがおぬしだったとしかいえない。何をすべきか?危機とは?試験のヤマを教えたらそこだけ勉強するのが人間だ。教えてしまったらほかをおろそかにするのは「目」に見えてる。だから今回の世界の危機に関して何が起こるのかあえて言わない。」


「おぬしが最初に気絶した際に見せた「結末」は少々乱暴だったかもしれんの。あれはわしが最初からヒントをすべて教え、必要な物を渡したら何故かああなってしまったという「もしもの世界」の話じゃ。」


「あのときのおぬしの反応を見るに、自分の世界を犠牲にしてまでこちらの世界を救うとは到底思えんのじゃが、なぜかわしの「目」がそうなると告げている。」


メガネロリはそう言うと、メガネをはずす。左目は僕と同じような黒い瞳だが、右目は深い藍色だ。

ずっと眺めていると突然「宇宙」が見えた。中心に星雲らしきものが見える。


「こら、あまり近づくでない!わしにぶちゅーをするつもりか!はずかしいじゃろ!」


気が付くとメガネロリと親密な距離になっていたのであわてて後ろにさがる。


メガネロリはメガネをかけなおす。「宇宙」は見えなくなり、普通の黒い瞳に戻った。


「ついでにおぬしの能力についても秘密にしておく。時期が来ればわかるじゃろ。ちなみにこの会話の記憶は消去する。これすらもヒントになるからな!」


「週1回くらいは様子を聞きに来るからたのしみにしてお!うひゃひゃhy!やめろ!そんなところをまさぐるでない!このような破廉恥な行いはあの娘っこに!あっ、やっ!」


突き放されてなにか心にくるものがあったので、原因となったメガネロリのわきをこころゆくまでくすぐりたおした。やはりまったいらだった。そしてメガネロリの足元にあたたかい水溜りが発生する。


ゆうしゃはふくしゅうをはたした!


メガネロリはふるえている!


「おのれ小僧!こ・・・これは先ほど飲んでいた紅茶がこぼれたのじゃ!決して漏らしてはおらぬぞ!」


「そういうことにしておきます。ふふふ。」


「くそう、穢れを知らぬわしのからだをもてあそんだ罰を受けるがよい。ついでに記憶も消すぞ。」



次の瞬間、メガネロリの持っていた分厚い本が勇者の脳天を直撃した。


ゆうしゃはこうどうふのうになった。


「とりあえず一週間後にまた来よう。さらばじゃ。」


---


「はぅ!」


真っ白な天蓋にはそろそろなれた。なぜか頭頂部が痛い。どこかにぶつけたのだろうか。

何かを忘れている気がする。


窓の外はすっかり明るくなっていた。


こっちの世界にもスズメっぽい鳥がいるようだ。

いわゆる朝ちゅんである。


左手にやわらかいものが触れる。ちょっとまさぐってみる。手触りのいい低反発まくらだ。

さんざんまさぐってから隣を見れば着衣の乱れた女の子。「はぅ!」とも言いたくなる。


よく観察して、いやあわててシルフィール姫のはだけた胸の辺りをあわせなおして事なきを得る。

キャミソールっぽいものを着ていたので全部は見えなかったことを記録しておく。


いつのまにかその様子を覗き込んでいた目つきのするどいメイドさんが何かいいたそうだ。ゆうべはなんとかというのは勘弁してください!


「おはようございます勇者殿、失礼いたします、額に何か白い粉のようなものがついています。」


目つきのするどいメイドさんが指で僕の額をなぞると粉をみせてくれた。砂糖の粒だろうか。何時の間に付いたのだろう。双子のいたずら?


双子はすでに起きだして朝ごはんの最中のようだ。マスターねぼうーとか聞こえる。


シルフィール姫には脱ぎ癖があることを後でマーガレットさんに教えてもらいました。


国王と会うのは午後に決まったようだ。


もぞもぞとシルフィール姫が起きだした。

まだ寝ぼけているのかコアラのようにしがみついている。


---


ふと家族のことを思い出した。

1晩くらいなら大丈夫だろうが、これが2日、3日と帰らなければどう思うだろう。正直、いつ帰れるのかもわからない。


仕事は有能な後輩がいるから大丈夫だろう。

前回のプロジェクトで後輩から散々愚痴をいわれたので、今回はこれでもかと可視化してある。

あいつはわしがそだてた。


勇者は自分が例の崩落に巻き込まれて行方不明扱いになっていることなど今は知る由も無かった。

勇者のハンドパワーにかかればメガネロリBBAもいちころのようです。

そして、城の武器保管庫で何かが起こる!


お気に入り登録ありがとうございます!

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