第二段階(せかんどふぇいず)
勇者の身に異変が!
朝。
ソネッタさんとランサーさん、オートマタに見張りをまかせ、三時間ほど仮眠を取った。
ふと気がつくと、僕の上には妙につやつやとした精霊女王が乗っかっている。
「吸われたのか…」
そして、隣には女王の体が覆いかぶさり、悶え苦しむシルフィール姫さまとサフランの姿が。
女王は僕を含めた三人を横断するような形で寝ているのだ。
地精霊はこれまた異様に血色のいい死体さながらの姿で壁にもたれて座り込み、蔦を天井まで這わせてそこから垂らし、一メートルほど伸びた先端を天井扇のようにぐるぐると回しながら寝ていた。
ナゲナワグモか!と心の中でツッコミを入れておいた。後から聞いたら、迷宮の中で近づいてくる冒険者の気配を探るための行為らしい。黒ずくめの外套対策だと言ったが、単に寝ぼけていたと思われる。
ふと、逆サイドに目をやると半裸のテスラがいて。
さらにその隣には見慣れない十五歳くらいの美少女が三人。
二十歳モード精霊女王の無駄にでっかい山脈を押しのけて起き上がり、その三人をまじまじと観察する。
「シース、レーネ…もえ?」
僕は「すまほーちゃん」を取り出して三人を撮影した。魔導改造されまくったこのスマートフォンは、僕の思ったことを操作なしに実行できる。
撮影した理由は、これが幻惑の類かどうかを確認するためである。
「すまほーちゃん」のカメラ部分は純粋な電子機器であり、人の脳に対して作用する幻惑の術などは無視されるらしい。
「やはり成長している?」
僕が写真を確認し、ふと顔を上げるといつものちびっこ三銃士に戻っていた。
「おう?」
この後、もっと大変な変化が起こっていたことを僕は知る。
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「おめでとうエイト。そなたに埋め込んだわらわの分身は第二段階に進化した」
「なんですと!第二段階?」
異様に「っゃっゃ」した精霊女王は朝食のパンをかじりながら僕に告げた。
「エイトの生気、いや、魔力を得た者にも何かしら変化が現れるかもしれぬ」
「今朝のあれは…」
僕は「すまほーちゃん」で撮影した三人の写真を見せる。
この前、もえが一時的に「成長」したのは覚えているが、双子が一瞬でも成長するとは思わなかった。
ちなみに三人とも今朝の事は覚えていなかったようだ。
そして。
「赤竜王…おまえもか!」
今までは手足が太く短く若干不恰好だったメタルゴーレムが、なんと言うかこれぞロボといった変化を遂げていた!
車だった頃の形状がかなり失われ、わずかにヘッドライトやメーカーロゴなどが雰囲気を残すばかりとなっている。
「「マスター!さらにかっこいいなの」です!」
早速「新生・赤竜王」をなでくりまわしている双子ともえ。赤竜王の構造を隠すためにかぶせてあった幌が風になびいて完全にマントと化している。
この分だと、「ザ・シード」や「テイルズオブドラグーン」にも何かしらの変化があるかもしれない。
こうして僕以外はどんどんバージョンアップしていくのであった…。
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護送馬車が到着するまでの間、僕は例の炭鉱を調べることにした。
例の土地神さまに会うためだ。
それらしい場所を知っているという長老の孫娘(十六歳)が案内役をつとめてくれた。
ちなみにルラーニャは、炭鉱に向かう途中で顔を合わせた瞬間、真っ赤になってどこかに走っていった。
あれは完全に覚えている…。どうしよう。
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「ここが祠のはずですが・・・」
黒ずくめの外套によって、何かの封印が施されていたと思われる重い金属製の扉を開く。
蝶番に積もったさびがぎしぎしと崩れ落ち、何度か引っかかりながらようやく開いた。
そこには金色の
「まねき猫?」
「っゃっゃ」に光り輝く金色の招き猫像。今にも動き出しそうな雰囲気だ。
「あの…昔からこんな形なんですか?」
孫娘は首をかしげる。これまで祠の中をのぞいた人はいなかったそうで、何が祀られていたのかも知らないという。
僕は彼女に礼を言って地上に返し、もうすこしだけ祠の中を一人で探索することにした。
そして、ふいに服のすそを引かれる。先ほどの孫娘かと思い、振り返って声をかける。
「あの、何かまだありましたか?…ルラーニャ?」
そこにはルラーニャそっくりの女児が立っていたが、すこし様子がおかしい。
耳と尻尾が真っ白で、尻尾も二つに分かれていた。
なんとなくわかっていたがあえて質問する。
「どちらさま?」
「夕べ助けていただいた土地神ですにゃ。お礼を言いそびれてしまってどうしようと悩んでいたらこの姿になったのにゃ。戻ろうにも戻れずどうたらいいんにゃ…」
ぐー。と土地神さまのおなかがかわいらしく鳴る。
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シルフィール姫の表情が「おかん・ザ・グレート」になっている。サフランも似たような表情をしている。
この二人は本当になかよしさんだ。
「僕は捨て猫を拾ってきたわけではない。声をかけたら勝手についてきただけだよ!猫もそうだと言っているにゃ!」と必死の弁解をするが、被告には重い量刑が待っているようだ。
土地神はパンをかじりながら精霊女王と何か相談をしている。
こうして、護送馬車が到着するまでの間、僕は針のむしろの上でダンスを踊ることとなった。
ついに現れたルラーニャの2Pカラー!
次回は本人との対面なるか!




