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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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ルラーニャの秘密

勇者にべったりモードのルラーニャ。実は…

「ふみぁーーーー」


隣であくびをするのはルラーニャ。


そして、ここはリンダール村の公衆浴場。


元々は炭鉱で働く人たちのための施設だ。


村長さんの好意で交代でお風呂を借りることになったのだが、僕一人で入る予定がなぜかルラーニャがいた。


「んふふー」


上機嫌な鼻歌を披露する猫耳女児は、僕を洗い場へと引っ張る。


割と広い洞穴にオイルランプの明かりがゆらめく。僕にはほんの数歩先くらいしか見えないが、夜目が利くのかルラーニャはお構いなしに歩いていく。


ちなみにこのお風呂は岩場をくりぬいて作られた洞穴温泉のようなもので、中の様子は外には伝わりにくい。


「勇者様、じっとしているにゃ」


岩で作られた腰掛に座らされ、ルラーニャの言いなりとなる。


お世辞にも泡立ちがいいとはいえない石鹸を僕の背中に満遍なく塗りつけ、すこし硬いスポンジでこすり始める。


ルラーニャは背中を一通り洗い終わると僕の前にしゃがみこむ。


「勇者様…」


その表情は艶かしく、とてもお子様とは思えない。


ルラーニャの手が僕に伸びる。


「ルラーニャ、いや、君は誰だ」


猫耳がびくっと震える。


「な、なんのことにゃ?」


僕は林の中で彼女を見つけてから、ずっと抱いていた違和感を口にする。


「ルラーニャは語尾に「にゃ」なんてつけなかったはずだ」


ルラーニャは、いやルラーニャの中身というべき存在は観念したのか、正体を明かした。


---


「土地神さま?」


土地神を名乗る存在は、ずいぶんと昔からこの村と炭鉱を守っている精霊の一種らしい。

例の黒ずくめの外套が炭鉱に侵入した際に、祠を封印されて居場所を失い、力も失いかけて山の中をさまよっているうちに偶然ルラーニャに入り込んだという。

僕が式典でルラーニャを助けた際に、彼女の体に残った僕の魔力の痕跡に引き寄せられたのだと。


「ルラーニャは大丈夫なのか?」


「今は眠っているにゃ」


「それで、どうするつもりだったんだ?」


「勇者様の隙をついて力をすこしもらって、炭鉱にある祠に戻るつもりでしたにゃ」


「それなら最初から説明してくれれば…」


「ここを土地神が守っていることは秘密ですにゃ。出来れば知られずに戻りたかったのですにゃ」


「それは精霊女王にも話せないのか?」


「…女王さま?どなたがそうなんですにゃ!」


どうやら女王としての威厳というものが無いらしく、この土地神には普通の「人」に見えていたようだ。


土地神は驚愕の表情を浮かべる。顔はルラーニャなんだが。


まぁ、威厳が無いのはどこかの姫さまも一緒か…。


「僕の力だけれども、どうやって、んぐ!んんんん!」


そう言い掛けた僕の口はルラーニャ、正確に言えば土地神によってふさがれた。


顔をがっちりとホールドされ、身動きが取れない。


精霊女王よりも少ないものの、かなりの魔力が吸い出され、三十秒ほどで開放された。


---


「勇者さま?」


「ルラーニャ!気がついたかい?」


「あれ、あたし、確か山できのこを採って…」


ルラーニャは自分が腰にタオルを巻いただけの半裸であることに気づく。あ、倒れた。


薄暗かったので僕には何も見えませんでしたよ?

---


僕はルラーニャを抱えて脱衣所に戻り、とりあえず服を着せてソネッタさんを呼ぶ。


「まぁ、そんなことが。それではメイドの秘密ということに。口止め料は高いですわ…」


このまま目覚めれば夢だと思ってくれるだろう。そう信じたい。


そして口止め料とは…


僕のところで眠ってしまったと半ば本当のうそをついてルラーニャを送り届けた。


空の色が徐々に変わる。もう夜明けか。


あとで炭鉱の祠に行ってすこしだけ文句を言おうと決意する僕であった。

精霊女王は以前精霊とバレて連れ去られた経験から、普段はその力を抑制する技を取得していたようです。

屋台に行くためにはなんでもする。それが精霊女王。

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