炭坑は罠のにおい
坑道には暴走するトロッコ等がお約束ですが今回は出ません。
僕はソネッタさん、ランサーさんと共に薄暗い坑道を進む。
姫さま達はテスラに護衛を任せた。赤竜王の中にいれば安全だとは思うが念の為だ。
「エイトさま!」
坑道の奥がぼんやりと光を放っている。そこから人の声が。
ソネッタさんとランサーさんが姿を消す。
直後。
「うっ!ぐはっ!あがっ!ふべっ!」
むさ苦しい悲鳴が聞こえた。
「エイトさま、鎮圧しました」
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明かりの方向に行くと、若干開けたドーム状の穴倉があり、黒ずくめの外套が数人見事にのされていた。
武器は取り上げられ、すでに縛られている。僕がやることは…
ドーム状の穴倉には鍵のかかった鉄格子のはめられた壁がいくつかあり、その中に村人と思われる百人近い人達が囚われていた。幸いにも怪我をしている人はいないようだ。
鉄格子の部屋の一角でランサーさんが立ち止まる。魔族と思われる人達を見つけ、話しかけている。
僕は外套が持っていた鍵を奪い、鉄格子を開放して中にいた人を救い出した。代わりに外套の一味を放り込む。
村長らしき老人がふらふらと歩み出る。
お礼を言われたが、無事に脱出するまでが救出ミッションだ。
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村の人達はソネッタさんに誘導してもらい、僕は他に鉄格子の部屋が無いか確認して回ったが他に囚われている人は見つからなかった。
別の穴倉で五十体ほどのゴーレムを見つけたので、コアを抉り取って土に返しておいた。本人はこっそりのつもりだったようですが、未確認飛行妖精が手伝ってくれたので早く終わりました。
取り出したコアは後でサバンナさん達に調べてもらおう。
こうして炭坑救出ミッションは終了したのか?すごく消化不良であるが。
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真っ暗闇の中、村の家々に一つ、また一つ明かりがともる。
「「ルラーニャ!」」
「とうさま!かあさま!」
ルラーニャも無事に家族と再会できた。ルラーニャの父親は城でのお披露目の時から、僕が勇者の付き人だとずっと思っていたらしく、赤竜王を動かしてたのを見て腰を抜かしていた。
村の入り口に赤竜王を立たせて双子に見張りを頼んだ。昼間寝ていたのでまだ大丈夫!らしい。何かあったらジャッジメントレーザーでじゅばっとやると意気込んでいたのでほどほどに!と釘を刺しておいた。
村長に話を聞く。突然黒ずくめの外套の集団が現れて村人を捕らえ、ゴーレムの隠し場所になる穴倉作りと、材料となる土を掘り出す作業をさせたという。
何人かは「人操りの術」を掛けられ、筋力を強化されて無理やり土を掘り出していたが、すぐに力尽きて倒れてしまったのでそれからは術を使われなくなったらしい。
使いつぶすよりも長く使うほうを選んだのだろうか。倒れた数人は既に回復しているという。
昨日は丸一日試掘をさせられ、本格的な作業は明日くらいからと外套たちが話していたのを村長が聞いていた。もう少し遅ければ…。
ランサーさんは捕らえられていた魔族から何かを聞いている。捕まってから何組かに分けられ、それぞれ違う場所に送られたようだ。ちなみに洗脳状態にあったので赤竜王の魔導スピーカで元に戻ってもらっている。
ある程度の聞き取りが終わり、僕は見張りに立った。
姫さまとサフランは既に夢の中だ。赤竜王の後部座席で仲良くくっついている。
双子ともえはさっきまでがんばって起きていたが、三人とも眠ってしまった。
「罠だったのかな」
そんな独り言にソネッタさんが答える。
「罠にしてはすこし物足りない気もしますが…」
あの黒髪の女性の意図も不明のままだ。
物足りない理由を作ってくれた恩人にお礼を言わなくては。
「あー、ソニア。さっきはありがとう」
何も無い空間に手を伸ばし、未確認飛行妖精をいつもよりやさしく引き寄せる。(当社比1.5割増し)
炭坑に腐るほど置いてあった戦闘ゴーレムをいち早く無力化してくれたのはソニアなのだ。範囲攻撃魔導恐るべし。ただし連発は出来ないようだ。
あれが動いていたらこんな簡単に救出など出来なかっただろう。
「エイト、ちょっと、やめて!」
嫌がっているふりをして喜んでいるソニアの頭をわしわしとなでまくる。
「これは魔導士のおねーさんの部屋で下着の雨を降らせた罰でもあります!」
「シッテイタノカ!エイト!」
子供のころと変わらないやり取り。ソニアがいたずらをして、僕が怒って、精霊女王が笑う。そんな日常。
「マイアどうしてるかな」
僕の背後に何かあたたかくやわからい二つの塊が押し付けられる。
「わらわがどうしたのだ?」
「うわぁ!」
口から魂が一メートルほど飛び出しました!
月が出た出た。月が出たー。
こちらの世界では三つも四つも月が出ます。
※炭坑節ネタとか分からないと思うよ。おにいちゃん。




