第一村人を保護したら顔見知りだった件について!
勇者の知らない間に赤竜王がパワーアップしています。
ある程度まで上昇した赤竜王は飛行膜を展開し、水平飛行に移る。
エンジン出力は二機とも三割ほどをキープしている。
以前のようなオーバーヒートの危険もなさそうだ。
しかし、エンジンが一つ増えたということは、僕の魔力もそれだけ消費するんだよね?
「シース、レーネ。魔力の残りは大丈夫?」
「「マスターだいじょうぶなの!」です!」
コンソールに新たに表示された残魔力計はFULLを振り切ってどっかに飛んでいる。
「「「そこなしのぜつりんゆうしゃー」」」
久々に姫さまの三色精霊がツッコミをいれた。この声は僕と姫さまにしか聞こえない。
二人同時に吹き出したので、同乗者の皆さんが不審な顔をする。
「すいません、姫さまの守護精霊が不思議な事を言い出したもので」
シルフィール姫にもぜつりんの意味がわかるようになったのか、それともいきなりで吹いたのかは謎だが。
ん?もえにも聞こえたのだろうか。ちょっと顔が赤い。
「そろそろリンダール村の近くです」
ソネッタさんが地図とにらめっこしながら答えてくれた。
今回は直接乗り込むことをせず、村から歩いて三十分くらいの場所に赤竜王を降ろして偵察をすることにした。
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ランサーさんとソネッタさんが偵察に向かう。
「ソネッタさん、ランサーさん気をつけて」
小声で話しかける。この辺りにも敵がいるかもしれない。
二人は頷くと姿が見えなくなった。
赤竜王を街道からすこし外れた林の中に隠し、もえと双子を抱えて僕も身を潜める。
シルフィール姫とサフラン、テスラも同じように体を縮める。
風が時折ざわざわと木々を揺らし、自分の心臓の鼓動が聞こえる。
「ぱき」
ふと、林の中で枯れ枝を踏み折る音が聞こえた。
その方向を見ると、大きなかごを抱えた子供が歩いている。
音を立てた主は一瞬びくっとしたようだが…。
「ゆ…勇者さまかにゃ?」
見覚えのある猫耳。
「ルラーニャ!」
久しぶりに会った猫耳女児はやっぱりトラブルに巻き込まれていた。
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ルラーニャに魔導ポットに入ったお茶を飲ませ、落ち着かせる。もちろんふーふーして冷ましてからだ。
「おとといの朝、山にきのこを採りに行ったのにゃ。お昼前に戻ってきたら村の人が黒ずくめの人達につれていかれたのにゃ」
彼女は怖くなって一度山小屋に避難し、今日になって助けを求める為に街道に出るところだったという。
おやつのビスケットをかじっていたというが、おなかの虫がぐーぐーと鳴り止まない。
干し肉とクッキーというひどい取り合わせだが、ルラーニャに食べさせる。
落ち着いてきたようなので、村の人がどこに連れ去られたのかを聞いた。
「村のはずれに炭坑がありますにゃ。たぶんそこにゃ…」
空腹と疲労のためか、そこまで話すとルラーニャは気絶するように眠りに落ちた。
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偵察に行ったソネッタさんとランサーさんが戻って来た。
ソネッタさんが僕が抱っこしている猫耳女児に気づいた。
「エイト様、そちらのお嬢様はあのときの?」
「はい、式典で助けたルラーニャです」※詳しくは「勇者と呼ばれる者(中編)」
ソネッタさんに村の様子を尋ねる。ランサーさんはルラーニャが気になるのか視線が釘付けだ。
「やはり村には誰もいませんでした。それに若干争ったような形跡も」
僕はルラーニャから聞いた黒ずくめの集団について話す。
「気づかれないよう暗くなってから炭坑に向かいましょう。」
それまで交代で仮眠をとることにした。
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夕方、ルラーニャが目を覚ましたので、ソネッタさんに事前に用意してもらった夕食を取る。
煮炊きは出来ないので、やはり魔導ポットに入ったスープとサンドイッチをもむもむする。
ルラーニャはツーナと呼ばれる魚をはさんだサンドイッチをものすごい勢いで平らげた。
いわゆるツーナサンドだ。
「ルラーニャ、落ち着いて食べないと」
「んみ゛ぁ!」
背中をとんとんしてあげる。口の周りのツーナを取ってあげたときに指をペロッと舐められる。
うん。猫の舌だ。ざりざりしている。
「勇者さまの指、おいしいにゃ」
ここにも生気を吸う精霊みたいなことをいう子が!
それを見ていた姫さまがキューリをほっぺたにつけて僕に見せびらかす。
この後姫さまにも指を舐められたのでした。
ソネッタさんは自重してくれた!一応任務中だからね。
「エイトさま、城に戻りましたら…」
自重してなかったよ!
僕は気づかない振りをして何も無い空間にサンドイッチを差し出し、そこにいると思われる未確認飛行妖精に食べさせる。
いるのは分かっているけれど、いま姿を現されると何が起こるか…。
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辺りはすっかり暗くなり、夜行性の生き物が活動を始める。
赤竜王をサイレントモードで移動させ、村の裏手からルラーニャの案内で炭坑へと向かう。
ちなみにコクピット内はさらにびっちりと詰まっていますが。
「ここが炭坑?」
山肌に作られた大きな入り口が暗視モニタに映し出され、左右には黒ずくめの外套が立っている。
「間違いなさそうですね」
とはいえ見張りが邪魔だ。
「ちょっと気絶させてきますわ」
ソネッタさんとランサーさんが赤竜王から飛び出し、ものの三十秒ほどで入り口の見張りを気絶させる。
ひとまず赤竜王を置いて炭坑の中を調べることにした。
炭坑の中に待ち受けるのは!




