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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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狭間の本屋

ドアの向こうは…

「ううーーん。はっ!」


気がつくと、灰色の天井が見える。


そして、僕の上には何か柔らかな物体Xが鎮座している。


先ほどの銀髪の少女が僕に馬乗りになっている。


同じようなシチュエーションに遭遇したばかりな気がする。


少女は唐突に営業スマイルを生成し、


「いらっしゃいませ!当店のゴリヨーは初めてですか?」


僕はなんとか体を起こし、少女と対面する。


「ここはどこですか?そしてあなたは?」


われながらなさけない質問である。


「ここはハザマショテンです!そして私はお留守番をしているエランです!今では数少ない人族の末裔でもあります!」


本屋?人族の末裔?


痛む頭を押さえて立ち上がると、そこには多種多様な本が並んでいた。


銀髪の少女も立ち上がる。短めのワンピースがめくれているので断ってから直してあげると「?」という顔をされた。少しは気にしようよ!


相変わらず読めないタイトルが並び、ふと僕が歩いてきた方向を見ると、書架が1つだけになっていた。


「あれ、あんなにたくさん本があったのに?」


「お客様がいらした方向の棚には空間圧縮がかかっています!このご時勢、ショバ代も馬鹿にならないとテンチョーがいつも言ってます!」


「うーん?空間圧縮?テンチョウ?」


「あ、ご予約のお客様が見えられたようです!」


僕から見て右手の壁が音も無く開き、のそのそと何かが入ってきた。


「うお!!!!!!!!!!」


思わず叫びそうになったがなんとかこらえた。


魚である。二足歩行の魚がピンク色のスペーススーツのようなものを着込んで、金魚鉢のような透明のヘルメットの中からこちらをにらんでいる。


「エランちゃん、注文した本が入ったと店長さんから連絡があったので寄ってみたのだけれど…お取り込み中だったかしら?」


金魚鉢には何かの液体が満たされ、しゃべるたびにごぼごぼと気泡が上がる。声自体はスーツについたインターフォンのようなものから出ている。


「はい!奥様!いますぐご用意いたします!オトリコミチュウ?ではないです!」


エランと名乗った銀髪の少女はカウンターをひらりと飛び越え、何かを取り出した。


取り出したのはどこかで見た…ライスリッチフィールドに出回っている勇者本シリーズの女性向け小説のようだ。


それを慣れた手つきで梱包をする。


「やっぱりこのシリーズは良いわ。エランちゃんにもかっこいい勇者さまが現れるといいわねー」


そして魚が唐突に僕に話しかける。


「あなたもしかして人族?それにしては…」


魚の定まらない視線が僕をじぃーーーーーーーーーーーーっと見つめる。


エランはその様子を小首をかしげて観察する。


その均衡は突如として破られた。何かが割と機敏な動きで店内?に入ってくる。しかも後ろ向きだ!


「奥様、そろそろシフトゲートが開く頃合です。これを逃しますとしばらく待機となってしまいます」


いわゆる伊勢海老である。色違いの黒いスペーススーツ、すこし細長い金魚鉢に特徴のあるエビヘッドが収まり、やはり二足歩行をしている。


「まぁ大変!例の時空ひずみの影響でゲートの本数も減ってしまってゆっくり出来ませんわね!エランちゃん!また来るわね!」


「それでは失礼します。エランさま」


伊勢海老は低い腰をさらに折ってエランに挨拶をする。


魚は伊勢海老に本の包みを持たせると、のそのそと店の外へ出て行った。腕はどうなっているのだ…。


---


ここは竜宮城でこの子は乙姫さまか!そうに違いない。


ということはなさそうだ。


「そういえばお客様はどちらからお見えに?」


僕は空間圧縮がかかっているという書架の方向を示す。


「あちらですか?出入り口は無かったはず…ですが…」


エランはうーんとうなる。


僕はここに来るまでの経緯をかいつまんで話した。


「鍵?ですか?今はお持ちにはなられていないのですか?」


「ドアにささったまま外れなくなったのでそのままに」


「テンチョーに聞いてみますね」


エランはおもむろに自分の耳を触る。よく見ると小さなピアスが見え、触れた瞬間点滅を始めた。


「あの、テンチョー!マイゴのお客様がお見えです!」


迷子か!


エランはふむふむとうなづいている。どうやら耳たぶにあるのは通信機のようだ。


「あの、お客様のお名前を伺ってもよろしいですか?」


「マスダエイトです」


その声が向こうに聞こえたのか、エランは復唱することはなかった。


「どうやら行き違いになってしまったようです。テンチョーは「あちら側」で待っているそうです!」


エランはそう言うと先ほど魚が出て行った壁に僕を引っ張っていく。


「さぁ、行きましょう!はじめてのおつかいです!」


「お使いとは?」


「エランに重要な命令が下されました。エイトさんを無事に送り届けるミッションスタートです!」


音も無く開いたドアの向こうには闇が広がっている。エランは僕に抱きつくとそのまま闇にダイブした!


ごう!と言う空気を切り裂く音が聞こえ、漆黒の闇へと落下する。


「うおおおおおおおおおお!」


僕は無我夢中でエランにしがみついた!

すいません。夢の中で伊勢海老が語りかけてきたので今回はこんな感じになりました。


---

10/18 typo修正しましま

色違いの黒いスペースツーツ→色違いの黒いスペーススーツ

10/19 typo修正しましま

金魚蜂には何かの液体が満たされ→金魚鉢には何かの液体が満たされ

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