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異世界に呼ばれた僕は姫様を食べるようお願いされた。  作者: まなみ5歳


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トラップドア

ドアを開けるとそこはドアでした。

「閉じ込められた…」


ドアだらけの部屋に閉じ込められたというのも変な話だ。


正方形の部屋にドアが二十枚。天井と床は無機質な灰色の素材。天井の四隅が明るく輝いている。


某映画のように致死性のトラップが無いだけマシであろう。一応ドアを開けるたびに木剣を投げ込んで様子を見ているが。


壁一枚につきクラシカルなドアが五枚。それぞれのドアはどきつい単色で塗られている。ちなみにドアの色数を数えたところ十色あり、ランダムな配置になっている。


「せっかくだから俺はこの赤(ry」


独り言を言っても仕方が無い。


僕は先ほどから何度もドアを開けてくぐっているのだが、同じ部屋に戻されてしまう。


そして戻るたびにドアの配置が変わるので、印をつけたドアから時計回りに…という総当りもできない。


床に書かれた「1」の隣に新たな正の字に棒を書き足す。床にペンでナンバリングを施し、何度戻ってきたのか正の字を書いて記録しているのだ。


一度だけ床に文字のない部屋に飛ばされたので「2」と書いて次のドアを開けたのだが、めでたく「1」に戻ってきた。


十六夜おもらしさんに救援を求めるか…」


ポケットから取り出した「すまほーちゃん」の画面は真っ暗のままだ。


「電池切れ?」


「すまほーちゃん」は内蔵された物精霊の力によりエーテルから魔力を生成、そこから弱い雷系の魔導を生み出し、充電し続けることができる。この世界にきて双子がやった初魔改造だ。


考えられるのはこの空間にはエーテルが無いか、魔力を阻害する何かがあるか。


「すまほーちゃん」に直接魔力を流し込んでも「適正」の問題で充電することは出来ない。


「自力で解けということか」


もう一度ドアの並びと出現する色を確認する。


黒、茶、赤、橙、黄、緑、青、紫、灰、白。


「抵抗のカラーコードだよなあ」


学生時代、クロイレイフク、コバヤシイッサなどと呪文のように覚えたカラーコード。


黒が0、茶が1と数字を色で表している。


二十枚の扉に前述の十色が二回づつ使われていると思い込んでいたのだが、ふと、この部屋のドアは赤が三枚あることに気づいた。


そして…黒は一枚。


僕は黒いドアを開ける。


先ほど床に「2」と記した部屋に出た。


次に部屋に設置されたドアをぐるりと見回すと、橙のドアが三枚あり、茶色が一枚しかないことが確認できた。


迷わず茶色のドアを開ける。


そして床に何も記されていない部屋に出た。


念の為、部屋の真ん中に「3」と書く。


途中は割愛する。


---


たぶんこれで最後だ。


白いドアを開くと、そこは。


---


人の背丈の倍くらいある書架が立ち並ぶ部屋に出た。


やはり床と天井は灰色、そして天井と床の両方に等間隔で明かりがともっている。


背後のドアは音も無く閉まり、そして消えた。


インクのにおいと皮の背表紙のにおいがまざりあい、なんとも言えない感じになっている。


さまざまな長さの書架に阻まれ、部屋の大きさが分からない。


僕は手近にあった本を木剣でつついてトラップがないか確認してから取り出し、おそるおそる中身を確認する。


「読めない…」


意味不明の記号の羅列と何かの図式が書かれていた。


どうやら精霊女王の「ことばのちから」では判読できない文字のようだ。


迎賓館の温泉にある更衣室の扉に書かれていた文字に似ている気がする。


本を書架に戻し、とりあえずまっすぐに進むことにした。


---


どのくらい歩いたのだろうか。

「すまほーちゃん」が動かないので移動した時間がはっきりと分からない。せめて腕時計くらい持ってくるべきだったか。

書架にナンバリングを施していたので、堂々巡りをしていないことだけは確実だった。

ちなみに書架の長さは一本が数メートルから二十メートルくらいとサイズがばらばらだった。


書架によじ登って周囲を確認しようと思ったが何かの力に阻まれ、上に到達しない。


「そろそろ500か」


先ほどまでまったく気がつかなかったが、目の前に突然受付カウンターのようなものが出現した。


カウンターの向こうには、銀髪の人の頭と思われる物体がひょこひょこと見え隠れしている。


「あの!すいません!」


それまでせわしなく動いていた頭がピタっと止まる。


「ここはどこですか?」


銀髪の頭が震えている。驚かせてしまったのだろうか。


突然、銀髪の頭が立ち上がった!女の子のようだ。


黒っぽいワンピースを着たその子は、目にも留まらぬ速さでカウンターに飛び乗ると、僕にめがけて弾丸のように跳躍した!


「いらっしゃいませーーーーーー」


目の前に水色の布が迫っていたところまでは覚えていた。

勇者に迫り来る水色の布!

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