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出頭と自白

少し短めとなっております!よろしくお願いします!

 次の日の朝、私はいつもより少し早く家を出た。客間のベッドを覗くと、思ったよりも健やかな寝顔があって安心する。そっと、その頭を柔く撫でた。キッチンのカウンターに、未明(ほのか)用のお弁当を置いておく。小さなメモ用紙にした書き置きを添えて。


 ―玄関扉を施錠した時のがちゃん、という音が、もうここには戻って来られないことを告げているようだった。


 「はい、じゃあこの状態で三十分ほどお待ちください。」

そう言った美容師は私の元を離れ、もう一人の客の方へと向かう。頭を包むような熱気を感じながら、私は手元の雑誌を開いた。最近CMなどによく起用されていた女優のスキャンダルなんかが取り沙汰されている。どうでもいいな、なんて思って読み飛ばす。目ぼしい記事がなくて、結局時計の秒針をぼんやり眺めて三十分を待った。きっかり三十分で美容師が戻ってきて、髪をはさむように付けられていたアルミホイルが外された。少し明るい茶色だった私の髪は、綺麗な金になっていた。人生で初めて、自分がその色を纏っているところを見る。新鮮な心地がしたけど、不思議と違和感はなかった。未明の金髪で見慣れてきていたからかもしれない。

 「お会計が二万円になります。お支払方法、いかがされますか?」

 「現金で」

カードを取り出しかけたけど、思いとどまって現金支払いにする。カードの引き落としがくる頃には、私は非日常にいると思ったからだった。

 払い終えると、はざま駅に向かう。電車に乗って、鳴島駅に行くためだった。別に、うちの近くの交番に出頭してもよかったけど、それだと未明が見つかってしまう気がしてやめた。事件現場に一番近い交番の方が信憑性が増すかもしれないし、そちらの方がいいだろうと思ってのことだった。

交番の引き戸を引いた。机の向こう側に座っている警察官が顔を上げる。

 「どうされました?」

 「あの、私、鳴島駅で男性を刺しました。」

警察官が席を立って私との距離を縮めて近づいてくる。すぐに有罪にしてもらえるわけではないかもしれない。でも、上手くいくはずだ。金に染めた髪。持ってきたトートバックは未明のもので、中にはあの男を刺す際に使われた包丁が入っている。深夜、未明が寝ている間に、しまってあった包丁を取り出して持ち手部分を布で拭った。その後私が素手で触れることで私の指紋が付いているはずだ。わからないけど、刃の部分からは被害者のDNAが検出されたりするのではないだろうか。

 素人なりに考えた最善を尽くしたつもりだった。



お読みいただきありがとうございました!

また次話でお会いできたら嬉しいです!

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