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第二話「日常が変わる予感」

「••••••••••」



 今は登校中、昨日の件はまだ片付いちゃいない。



 父さん、母さん、咲、僕が倒れて血だらけになっていたところを近所のおばさんが見つけてくれたらしい。

そこで救急車を呼んで病院に送られたそうだ。



 僕はというと元来頑丈な体を持っているのと、この戦染のおかげで軽症に至った。



 家族の方は命に別状は無かったらしい、このまま入院してればあと半年で退院できるそうだ、まさに不幸中の幸いだな。

 だがあのショックと恐怖は未だ消えない。



「なんなんだ、あんな化け物....」


「やつらは(ひずみ)だ」


「っ...堕?」



 また頭に声か、これでもう渦迅と話すのは三回目だからちょっとは驚かなくはなった。

でもやっぱり慣れないな。



 渦迅は堕について色々話してくれた

堕とは約三千年前、人々の残滓が堕の力を持つ人間に触発されたことによって発生した怪物らしい。

 


そこからやつらはネズミ算式に自分達の力と残滓が結び付いて増えていったそうだ。

 そして奴等は戦染を持つ人と強い信念を持つ人にしか見えないし触れない。だが人の心を奪って食べてしまうそうだ。



 堕。

 そんな化け物がいるのだろうか。だが僕は昨日この目で見て、刀で斬った。



「そんなやつらが野放しだとそのまま人類は滅亡しないのか?」



 そこで一つ疑問が出た、堕がどんどん増えていくならどうして今人類は生き延びているのだろうか。



「確かにそう思うだろう、実際そうなりかけていた」

「だが生者の高まった信念と堕の力が結び付いたことにより"戦染"が生まれた」



 渦迅は武士のような見た目をしている。

が、なんだか説明口調で話しているのでメガネをかけているように見えてくる。



「それって、昨日の刀か」



 昨日僕が握っていた刀、あれは持つだけで僕の力を増強してくれた。

 それに堕を斬った時、斬り口が火傷したようになっていた。



「正解とも言えるしそうでないとも言える」

「まあそれはおいおい話すとして、その戦染を使って人類は立ち向かい、なんとか抑えつけることができた」


 

 

 抑えつけるってことは滅ぼしたり、封印したりはできなかったのだろうか。



 でもそうか、堕は数が多いと言っていた。それに一体があの強さだ。

殲滅が追い付かないのも無理はない。



「.....そうなのか」

「じゃあ今は誰が堕を抑えてるんだ?」



 抑えるということはずっと倒し続けているということだ。

 なら僕と同じ戦染を持ってる人がいるかもしれない。



「すまない、わからないんだ」


 

 あわよくば戦染を持っている人に詳しく聞いて力を使おうと思ったけど、それは無理そうだ。

 やっぱり自分で力を使いこなしていくしかないのか。

 取り扱い説明書とかが欲しかった....



 だがなぜ堕の事はこんなに知ってるんだ?



「じゃあなんで堕の歴史をペラペラと言えたんだよ」



 そうだ、なぜ知っているのか。

堕の歴史を知っているのに他の事は知らない。普通に考えればおかしい。


 

「逆に聞くが相棒は生まれた頃から呼吸を知っていたか?」

「吸って吐く意味を理解してそれができていたのか?」



 いきなりなんだ、なんの話をしているんだ?



「いや、知らなかったな」



 吸って吐く意味なんか赤子の頃に知るわけないだろ...

 まだ物心すら付いてないんだぞ.....


 

「だろう?当たり前だ」

「それは本能だからな、俺のこの情報も生物的な本能に過ぎない」



 信念体の本能か。

ということは信念体は堕を倒すための生物ということだ。



 僕はあの化け物をこれから倒し続けないといけないのか。


「そういうもんか」



 僕はその返答になんとなく納得した。

それが自然だと思った。この世界の理で突き詰めちゃいけない気がした。



「そういうものだ、他に聞きたいことはあるか?」



 そういえば前に天使とか言ってたな、あれはどういうことなんだろうか。



「そうだ、前に言っていた天使っていうのはなんだ?」

 

「そんなことか」

「天使とは戦染を扱い、堕を倒す者達だ」



 やっぱり僕はあの時、刺された時から堕を倒す事が決まっていたんだ。それが運命であり俺の生き方になった。



「じゃあ僕はこれから堕を倒していくのか」



 覚悟は...生まれる前から決まっている!

僕がこれまでやりたい事が無かったのは、好きな事が無かったのは、全てこの時の為。

この瞬間のためだったと思える。



 僕は今、スタートラインを斬った。

今から僕は天使として生きるんだ。



 僕は足早に席に着き、HRまで窓の外を眺める。

あの化け物を今度は自分から倒しに行くか....



***



キーンコーンカーンコーン

 やっと学校が終わった。

 そういえば今日永遠来てんのかな?

永遠は別クラスだ。

いつもは永遠から話しかけてくる。だから一緒にいるが、あんなことがあった手前、話しかけてこないのか。



「っ!?」



 夕方の太陽光が反射する校門の前に、永遠が立っていた。

 噂をすればなんとやらだな、丁度良い。

昨日の話をしたかったと俺も思っているんだ。



「荻家、話があんねんや」


「••••••••」



 昨日永遠のことについて一晩考えた。

もし僕の事を恨んでいた場合はぶん殴って正気に戻す。

何か事情がある場合はそれを聞いて信じる。

 そうすることにしよう。



「そう睨むのも分かる、けど今は俺の話を聞いて欲しい」



 僕は無意識に永遠のことを睨んでいたらしい。

やっぱり親友といっても刺されたことに対して体は警戒している。



 それに話か、やっぱり何かあるんだな。



「相棒、親友だからといって気を付けろよ」



(もちろんだ、警戒はしていく)



「••••わかった、下校しながら聞くよ」


「ありがとう」



 永遠は何かを企んでいるのだろうか。

その場合前を歩くのは危険だ。昨日の今日でまた殺されたらたまったもんじゃない

 僕は自然と永遠の後ろを歩いた。



(渦迅、昨日の刀、用意してくれ)



 さらなる警戒に備えて一応戦染を持たせてもらおう。あれがあるとないじゃ180度違ってくるからな。



「•••••••••••すまん、無理だ」



 無理?昨日は使わせてくれたのに。



(はぁっ!?なんでだよ!)


「それはだな•••••」


「荻家?どうしたねん?早く行くで」

 


 これはもう、仕方ないな。

自分の腕を信用して行くか。



「昨日のあれやけどな、正直俺も驚いてんねや」




 驚いてる?どーゆーことだ。

昨日のことはお前がやったんだろ、驚くもなにもないだろ。



「昨日俺は荻家のことを気づいたら刺してたねん、信じられへんやろ」

「こんな、馬鹿馬鹿しいこと.....」


 永遠の声色が段々悲壮感を抱いてきている。

これは、本当の事なんだろう。堕なんていうファンタジーな生き物が居るんだ。

 気づいたら刺してるっていうこともあるかもしれない。



「でも、、これが!ほんとのことやねん....」

「すまん、すまない!荻家!こんな俺は親友なんかやないよな....」


 永遠の顔を見ると、涙でぐしゃぐしゃになっていた。

自分がこの世の悪と思っていそうな顔だ。それだけ僕の事を親友として大事に思ってくれていたのがひしひしと感じてくる。



「もう謝るな、永遠の言っていることを信じるよ」



 親友を辞めるつもりで謝っているのだ。

その真摯な態度に信じないという回答があるだろうか?

いや、ない。



「.....!?」

「俺のこんな出鱈目な話を信じてくれる言うんか?」


 

 永遠は戦染や堕の事を知らないのだ。

だからだろうか、話を信じた事に対して凄く驚いた顔をしている。



「もちろんだ」

「僕も昨日、永遠に刺された後一悶着あったんだ」



 そこで永遠に昨日の事を全て話した。

戦染や天使、魂の染区や信念体、堕と僕の家族の事を。



「....そんなことがあったんかいな」

「ほな荻家は、辛い思いしたんやな」



 その瞬間、隣は昨日感じた圧を感じた。

それと共に二人の耳に轟音が入った。



「「グァァァァァァァ」」



 昨日の奴とはまた違う別の形をした堕。

首が校舎より長く、頭の上に人間の耳が生えている。

 そしてまた、ミミズのような顔をしている。



 ••••こいつ、まるでキリンみたいだ。

 


 そう思った途端、堕がとても長い首を隣と永遠に目掛けて振ってくる。



「危ない!永遠!逃げろ!」


 忠告しても、永遠の腰は抜けて動き出せない。

道路の脇道でびくびくと震えている。

 この状況だ、無理はない。


 だが、戦染を出すには間に合わない。

大切な人が目の前で傷つくのを俺は二度も見なきゃいけないのか!

 そんな隣の思いを無下に扱うように目の前の長い首は容赦無く近づいてくる。



「なにやってんのよ!」



 なんだ...?今一瞬、女性の声が聞こえた。

声は猛々しく、勇気をくれそうな声だった。

 幻聴だろうか、死にそうになる寸前だ。

その可能性が高いだろう。



「そこ、邪魔」



「「「グァァァァァァァ!」」」


 けたたましい銃声音と共に目の前の堕が一撃で葬られた。

僕の目には女性が金色の銃で堕を倒したように見えた。



「こんなとこでなんで堕に襲われてるのよ、しかもあなた達見えるの?」



第一印象の55%は見た目や表情で決まるらしい。

 その女性はお嬢様というには荒々しいがスケバンというにはあまりにも気品高い人だった。



 つまり何が言いたいのかというと。この人は絶対に関わってはいけない人だ....

 怖い!怖すぎる!堕を一撃で倒すとか何者だよ!

 俺なんか戦った時、だいぶボロボロだったぞ。



 だが第二印象は綺麗な人だと思った。

 美しい金髪に似合う、白と金のコートと手袋にスカート、帽子を身に付けていた。

コートはスカートの中に入れていて、靴はロングブーツだろうか、長くて細い足が映えて見える。

 まあ、太ももは見るからに淫らな太さをしているが。



「聞いてる?そこの二人」



 猛々しい声で僕達に話しかけているようだ。

けど僕はその強さに圧倒されて声を出すことができない。

当然だ、一瞬でキリン型の堕を倒したのだから。



 永遠の方はまだ腰を抜かしているそうだ。折角のイケメンフェイスが台無しになっている。



 僕達が一向に話さないのでそろそろ金髪の女性は苛立ちを覚えてきたそうで、足がピクピクと震え始めている。



 怒られたらひとたまりもなさそうだ。

なにか答えておかないと。



「今日、良い天気ですね」


「は?」



 やばい、ミスった?

話したことある女性が今までいなさすぎて何が駄目だったのかがわからない。



「とにかく、見えるなら私に着いてきて」



「.....わかりました」



 これから何がどうなるのかもわからないのに、了承してしまった。

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